零戦燃ゆ
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零戦燃ゆ [DVD] 販売元:東宝ビデオ |
特撮メモ、NO,30、DVDレンタル
1984年、東宝、ビスタサイズ、128分
原作- 柳田邦男
監督- 舛田利雄、 撮影- 西垣六郎、 音楽- 伊部晴美
特技監督- 川北紘一
出演- 丹波哲郎、加山雄三、あおい輝彦、目黒裕樹、堤大二郎、橋爪淳、早見優、南田洋子、北大路欣也
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ゼロ戦レプリカのスピナーの回転が我慢ならぬ。
センターのとれていない、凸凹だらけのプロペラスピナーが、ブヨブヨと回転しているのを見るのは、ヒコーキファンとして悲しい。
この映画は零式艦上戦闘機が主役の映画だ。あんなことが許されるだろうか。監督は何も感じないのか。撮影・美術監督は何も感じないのか。 酷すぎる。 観客をナメている。 零戦を侮辱している。
このスピナーのブヨブヨ回転は過去の東宝、戦記物映画の撮影でも見られる。
スピナーだけは精密に作っていただきたい。モーターへの取り付けもしっかりしていただきたい。
特技監督は川北氏、この人の演出は明らかに円谷英二氏を超えている部分がある。
ミニチュア撮影はカット数も多く、特にドッグファィトのシーンは大人が観るのに耐えられる。ただし、過去の円谷氏によるフィルムの流用シーンが随所あり、その場面はフィルムの質感が違うので違和感がある。
東宝のミニチュア特撮で特に気になるのは、ミニチュアモデルに反射するスタジオの照明が良くないことで、モデルプレーンのエッジで光るライトの反射光が、ことさらミニチュア然とさせてしまう。 できれば野外の太陽光で撮影したい。(ラジコンによる撮影は野外)
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・ ゼロ戦のミニチュア離陸シーンは土ボコリの描写が良い。サンダーバード的テクニック。
・ ゼロ戦のギアの閉じ方が間違っている。実際は片方ずつ閉じる。
・ 加山雄三がセリフで、世界初の引き込み足の戦闘機と説明しているが間違い。ゼロより前のソ連のI-16戦闘機は引き込み足である。また馬力も1000馬力と言ってるが初期型は940馬力だった。
・ ラジコンによる撮影はもう少しハイスピート撮影したい。まだ動きが速く、チョコマカすぎる。
・ ミニチュア飛行シーン、およびコクピットシーンではカメラに振動を与えるべき。実写感が増す。(例)「ライトスタッフ」。
・ ゼロ戦の7.7ミリ機銃と20ミリ機関砲の発射音を区別させるべき。同じ音では興ザメ。
・ B-29の爆弾投下がオモチャ然としている。 一番ひどい撮影。
・ ゼロ戦の現地飛行場に、日産の昭和40年代のサニートラックやダットサントラックが走っている。こういうインチキはやめていただきたい。
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ラストシーン。ゼロ戦の炎上は、私が監督だったら、プロペラの回転をしだいに落とし、停止させたい。
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コメント
スタンリーさんは、ほんとお詳しいですね~。
先日、ふらりと入った古本屋さんで、面白い本を見つけました。元航空自衛隊の戦闘機パイロットの服部省吾さんが書いた『戦闘機の戦い方』というものです。その中に「零戦パイロットの技量」について書かれた箇所があるので、抜粋しますね。(長くて申し訳ないのですが)
歴戦の零戦パイロットでエースでもある岩井勉氏に直接聞いたことだが、零戦に乗って空母から発進する時には、重要な作戦であればあるほど、司令長官等多数の人に見送られる。当然、見送る人たちは手を振ったり帽子を振ったりする。見送られるパイロットは足でラダー・ペダルを踏み、右手で操縦棹を握り、左手はスロットル・レバーを持ってエンジン出力を上げてゆきながら空母の甲板を走って離艦して行くのである。・・・(中略)・・・・ベテランは、見送る人たちの方を向いて、にこやかに手を振りながら発進していく。そして、手を振り、うなずきながら甲板を離れた零戦は、実にスムーズに車輪を引っ込め、少し下げていたフラップも上げていく。車輪の上下をコントロールするレバーもフラップ操作レバーも座席の右側にあるのにである。人間には手が二本しかない。にもかかわらず、にこやかに手を振りながら、しかも飛行機を加速していきながら大波に揺れる空母の甲板をまっすつに離艦して行く間に車輪のレバーもフラップ・レバーもちゃんと操作する・・・。
ですって!私は操縦についてよくわからないのですが、これって凄いことなのですか?
投稿: マーちゃん | 2009年4月21日 (火) 21時57分
マーちゃん。こんばんは。本の抜粋ありがとうございます。
発進状況が、たいへんよく分かりました。
離陸操作に忙しいのに、敬礼や手を振らなければならないのですね。なるほど、これは大変です。
たぶん、フラップの戻しと、車輪の格納は発艦の後でよいので、後回しにするでしょう。スロットルレバーは最大パワーにしているので、さわらなくても良いと思います。結局、操縦桿を左手に持ち替えて、右手で敬礼や手を振っているでしょう。
この状況は、敵に遭遇したわけではなく、まだ余裕があるからできるのだと思います。
私が聞いたゼロファイターのモサの話は、ドッグファト中、機銃を打ちつつ、無線のモールス信号を送っていたパイロットがいたそうです。操縦桿はどうしていたのでしょう。笑
当時、下手で遅いモールスを送ると、「ヘボ、カワレ」と返信されたそうですから、無線操作もベテランだったのですね。
投稿: スタンリー | 2009年4月21日 (火) 22時56分
はじめまして。大変おもしろく拝読いたしました。
先日「零戦燃ゆ」が放送されていましたので、初めて見ました。
サニートラックには笑いました。1984年当時は新車で販売されていたのでは。
スピナーのセンターが出てないのは気になりますね。
私は操縦士が乗り込んで、外から撮影している零戦の閉めた状態のキャノピーの形の悪さに我慢できませんでした。地上でキャノピーが開いている状態だとさほど気にならなかったですけど。
ラストシーン、プロペラの回転をしだいに落とし・・・大賛成です。
投稿: MMK | 2013年11月20日 (水) 03時39分
MMkさん。コメントありがとうございます。
BS民放の番組で流れたのでしょうか。私も録画すれば良かったです。レンタルソフトを1回観ただけですので。
放送されたのは、多分、ジブリの「風立ちぬ」による、ちょっしたゼロ戦ブームの影響かもしれませんね。
サニートラックについては、私が指摘するまでもなく、大分、みなさんから突っ込まれているようですね。あれは無いですよ。観客は気が付かないとでも思ったのでしょうか。
東宝のゼロ戦レプリカは、「太平洋の・・・」シリーズではペラの回転バランスが悪いため、機体が大きく振動してしまい、それを隠すため、空母の甲板の上で整備員が翼を抑えていて、ちょっと笑ったものです。
キャノピーの造形については気が付きませんでした。
それが分かるMMKさんも、
かなりのヒコーキファンであられますね。
また、いろいろお気づきの点、お知らせください。
投稿: アラン・墨 | 2013年11月20日 (水) 22時03分
ご返事ありがとうございます。
「零戦燃ゆ」は日本映画専門チャンネルで放送されました。「東宝空戦映画」特集ということで、今月は24、29日にも放送されます。
投稿: MMK | 2013年11月21日 (木) 01時18分