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あにいもうと

 あにいもうと あにいもうと
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邦画メモ、NO,44、NHKBS

1953年、大映、スタンダード、白黒、86分

監督- 成瀬巳喜男、 原作- 室生犀星、 脚本- 水木洋子、

撮影- 峰重義、 音楽- 斎藤一郎、

出演- 京マチ子、森雅之、久我美子、山本礼三郎、浦辺粂子、潮万太郎、船越英二、本間文子

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恐らく私の10代のころ、テレビで観た映像の記憶断片で、なんという映画か長い年月不明だったものが、本日、この映画であると判明した。

その記憶の断片は、船越英二が揺れるバスの中で饅頭をパクついているシーン。 あんなに揺れるバスで饅頭を食うなんて、乗り物酔いしないかと当時思ったものだ。 私の記憶では船越は進行方向に向って左の位置に座っていたが、実際は右側だった。記憶がネガティブになっていた。

もう一つは夏の茶店でオヤジがカキ氷を客に出しているシーン。匙をぞんざいに洗って客に渡しているのが印象にある。

あとの筋書きやらシーンは全く記憶になかった。ひょっして当時、途中で観るのを断念したのだろう。 成瀬の映画はティーンエイジャーには退屈だったのかもしれない。

この映画は成瀬監督が東宝争議のゴタゴタから脱出して大映で撮ったもの。したがって、脚本の水木、音楽の斎藤を除き、成瀬にとっては馴染みのスタッフではない。心なしか録音が良くなかった。最初の部分はセリフが良く聞き取れなかった。

映画のクライマックスは兄の森雅之と妹の京マチ子が大喧嘩をするところで、成瀬の映画でも、私が観たものでは、カット割も多く、怒りのテンションを維持した一番ダイナミックなシーンだった。

着物姿の京マチ子さんが粋で、そのスタイルや顔は、昔の富山の薬の包装に描かれている女性の絵のようだ。(富山の薬の包装は今でも昔のままだが)

森雅之は珍しくインテリではなく、荒くれ男の役。妹を見れば始終、罵倒を繰り返すが、内面では妹想いである二面性をうまく演じている。

久我美子は姉の正反対ともいえる実直な性格。 男で不幸になった姉の姿を見ているので、恋人との駆け落ちを断念してしまう。 5.6年前の映画の彼女の姿というと、セーラー服が似合うあどけないものだったが、もうこの映画では大人びていて、落ち着いた女性を演じている。

成瀬の演出はセリフのないシーンでの顔の表情が秀逸。 

溝口監督は成瀬映画を「あの人の映画にはキン〇〇がありませんね」と評したそうだが、その意味については、私はなんとなく判ったような、そうでもないような。 

この映画では、兄弟の大喧嘩のシーンと、森と船越が相まみえるシーンが二つのキン〇〇のような気がする。

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コメント

記憶がネガティブねぇ・・・笑
断片とは言え、些細な記憶違いがあるにせよ、スタンリーさんの記憶力には脱帽します。私は『あにいもうと』というタイトルは聞いたことがありましたが、監督は市川 崑さんだと思っていました(汗)。

投稿: マーちゃん | 2009年4月 9日 (木) 13時37分

マーちゃん。こんばんは。
市川監督には「おとうと」というのがありますね。でも未見です。カラーフィルムを脱色したセピア色の映画として有名ですね。
「あにいもうと」の室生の原作は読んだことがありませんが、この映画は全人物の心理描写がよく表されていました。
記憶の断片はもっと古い、幼児のときのものもあります。なにかインパクトがあって、脳に焼きこまれているのですね。

投稿: スタンリー | 2009年4月 9日 (木) 20時32分

コメントありがとうございました。

そうですか。スタンリーさんは10代のころ、テレビで観た記憶をお持ちだったのですね。
その年代の時に、既に
>揺れるバスで饅頭を食うなんて、乗り物酔いしないか
>船越は進行方向に向って左の位置に座っていたが、実際は右側だった。
>匙をぞんざいに洗って客に渡しているのが印象にある。
と感じ取られている鋭いセンスに、尊敬の眼を向けたいです。
あの時代の田舎道は、もちろん舗装などしていませんでしたから、バスの中はよく揺れました。
私は、その結果はどうあれ、座席の位置まで潜在的に記憶する天性は持ち合わせませんもの。
山本礼三郎がスプーンをぞんざいに洗う場面で、私は当時利用していた屋台の夜泣きラーメンを思い出していました。
中華蕎麦屋の親父は、屋台車のバケツの水で何回も食器を洗った鉢で、客に食べさせていました。またこれが巧かったです(笑)。

>最初の部分はセリフが良く聞き取れなかった。
確かにそうでしたね。当時の録音は、黒澤映画に限らず、みんなあんなものでした。

あの大喧嘩は白眉でしたね。久我美子についても同感です。
>溝口監督は成瀬映画を
そのようなエピソードがあるのですね。知りませんでした。勉強になります。

投稿: アスカパパ | 2009年4月12日 (日) 11時06分

アスカパパさん。こんばんは。
私の十代のころは、このような作品の価値が分からず、しょうもないことだけを記憶しています。この作品はロケ嫌いと言われた成瀬監督にしては、珍しく野外シーンが多かったですね。夏の風俗の描写がいい感じでした。
屋台ラーメンの丼の洗い方は、つい、この間まで仰るとおりだったようですね。現在は発砲容器で使い捨てになっているみたいです。やはり保健所がうるさいのでしょう。
当時の映画の録音では松竹が良いように感じます。

投稿: スタンリー | 2009年4月12日 (日) 19時44分

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 4度映画化されている室生犀星原作の一本。 [続きを読む]

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