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トコリの橋

トコリの橋 [DVD] DVD トコリの橋 [DVD]

販売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
発売日:2008/01/18
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特撮メモ、NO,27、DVD

1955年、パラマウント、スタンダート、カラー、103分、画質粒子粗い

原題- THE BRIDGES  AT  TOKO-RI

監督- マーク・ロブソン、 撮影- ロイアル・グリグス

音楽- リン・マレー、 空中撮影- チャールズ・J・クラーク

特撮- ジョン・P・フルトン

出演- ウィリアム・ホールデン、グレース・ケリー、フレドリック・マーチ

ミッキー・ルーニー、ロバート・ストラウス、淡路恵子

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ヒコーキファン、必見の映画。

朝鮮戦争で活躍したF9F.パンサージェット戦闘機の実物が見られる。

しかも実際の当時の空母からの離発着が見物できる。貴重な映画でもある。

この約60年前のジェット戦闘機はまだ後退翼ではない。したがって最高速度は現在の旅客機より遅い。まあ巡航速度は時速600キロくらい、実戦でも700キロくらいだろう。遅からず速からずで、実写映像の優雅な飛行シーンがすばらしい。

エンジンは遠心式ターボジェットで、この手の旧式メカは現在では採用されていない。推力は2,6トンと現在のF-15の推力21トンと比較するとパワーはまるで原付バイクと軽自動車くらいの差がある。 しかもアフターバーナーはついていないので離陸シーンは地味だ。

でも、いいですな。 私、この当時のジェット戦闘機好きです。エンジンは1個だけで、噴射口もマンホールの蓋より小さいんですな。この非力なエンジンで空母を飛び出す姿を見ると、「きっと戻ってこいよ」と呼びかけたくなります。

因みに当時の空母にはスチームカタパルトはまだ採用されてなく、油圧式である。したがって発進のレールからは蒸気が噴出せず、これもいたって地味なシーンであるが、機体が軽い(重量約7トン。現在の艦載機F-14は31トン)のであっけなく飛び出していく。

さてこの映画のミニチュア特撮であるが、これまた「東京上空30秒」の特撮に匹敵する素晴らしいものである。

またまたアメリカの名も知れぬ特撮マンがいい仕事をしている。

公開された1955年といえば「ゴジラ」の発表された頃だが、この映画の特撮は全く円谷英二の演出した飛行機物の特撮を凌駕している。 ワンカットに残念ながら飛行機ミニチュアの操演ワイヤーが見えているところがあり、特撮と分かるが、それが無ければ完全に実写と見間違えるものだ。 トコリの谷を飛行・爆撃するシーンは実写と思っている方が大部分ではないだろうか。

追記: 横須賀への空母接岸では、艦上の固定したプロペラ機の推力を利用して船のコントロールをしている。 これには度肝を抜かれた。 ああいう方法もあるもんだ。

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・ 最初の特撮シーンは燃料切れのF9Fが不時着水するカット。ミニチュアは1メートルくらいのサイズ。 プールを使ったクレーンでの俯瞰撮影だろう。標準的な特撮。

・ 空母上での着艦誘導員やコックピット撮影、港の埠頭での人物の寄りはすべてスタジオでのリアプロジェクション撮影。あまり質は良くない。

・ ホールデン機がギリギリ着艦するカットはハメコミ合成。質は良くない。

・ トコリの橋、偵察シーン、爆撃シーンはアメリカの荒野でミニチュアのセットを製作して撮影している。カメラをティルトさせて撮影された飛行シーンは実写にしか見えない優れた特撮。 橋などのミニチュアは恐らく5メートルくらいのラージスケール。 大地でのオープン撮影による自然光の圧倒的実物感、実写感が素晴らしい。

・ トコリの谷を戦闘機目線で飛んでいく撮影は、実際の小型飛行機を使ったか、クレーンを突っ込んで行ったか、あるいはカメラをワイヤーで滑らせたか判断できない。 ジャイロカムヘリの空中撮影のような滑らかな映像が素晴らしい。

・ 実機からの機銃掃射、谷からの迎撃発砲はポンポン花火を使用。ハイスピート撮影が適切で、しかもロングなのでオモチャ感がしない。円谷英二はこういうとき、ミニチュアのアップからワイヤーでガイドされたオモチャ然のミサイルを発射するという、余計なカットを挿入し、失敗させてしまう。

・ 第二次攻撃での俯瞰撮影では、F9Fのミニチュアをガイドしているワイヤーが太陽光で反射して見えてしまっているカットがある。 残念なシーンである。

・ 被弾したホールデンのF9Fが山岳の平地に不時着するシーンが私にはどうやって撮影したか分からない。 実機のようにも見えるがそれはあまりにも危険だろう。 5メートル位の大型のミニチュアを操演しているようにも見える。 しかしワイヤーは、何回繰り返して再生し、目を凝らしても見つけられない。いずれにせよピタリとカメラの前に停止しさせる操作は至難の業である。 もうこのシーンはお手上げ。脱帽。

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アメリカ海軍はよくこの映画の撮影に協力したと思う。それはあまりにも絶望的なエンディングだからだ。

セリフに「間違った場所での間違った戦争」というのもある。決して海軍の宣伝映画ではない。 しかし、最終的に作戦が3人の犠牲だけですんだことは成功であると認めている。  アメリカ海軍はこれが言いたかったのであろう。

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コメント

おはようございます。私、ウィリアム・ホールデンを好きだった時期がありまして、その時に観たような気がします。内容は忘れてしまっているので再見したいです。空母からの離発着シーンって好きなのですよ。フックを引っかけるために低く入っていくじゃないですか、あれってパイロットの腕の見せ所ですよね~。
F9Fってミグと戦っていた戦闘機ですよね?

投稿: マーちゃん | 2009年2月 7日 (土) 11時00分

マーちゃん。こんにちは。
ホールデンは包容力ありそうで頼もしいですね。
いっぽう、今回のグレース・ケリーは私はそれほどステキには感じませんでした。ヒッチコックの「裏窓」はよかったですが。
淡路恵子さんの英語は地声だとすれば結構いい発音でした。
空母の着艦はいつ見ても凄いですね。私は怖い。制御された墜落とも言われます。ユーチューブに着艦失敗して火達磨になる映像があります。おっそろしいです。
F9Fはたぶんミグ15にはコテンパンにやられたはずです。
次ぎのF86セイバーがミグをやっつけました。
セイバーは丁度日本のゼロ戦に匹敵する戦闘機だったらしいですね。

投稿: スタンリー | 2009年2月 7日 (土) 16時13分

コメントありがとうございました。
この映画は劇場で観たきりでして、記憶は薄れていました。
スタンリーさんのレビューから、確かに迫真性に富む撮影だったなぁと、うっすらですが思い出す場面もありました。
思い出すための一助として、当時の雑誌広告の画像を、私のレビューに追加して眺めました。
TBさせていただきました。

投稿: アスカパパ | 2009年2月 7日 (土) 19時58分

アスカパパさん。こんばんは。
広告の画像、拝見させていただきました。
日本公開時は日米合作と誇大宣伝していたのですね。
淡路恵子さんの出番はほんの僅かですが。笑
日本ロケで「ショーボート」というキャバレーが出てきますが当時実在していたのでしょう。
箱根の日本風呂のシーンは日本人には奇異ですが、日本公開版ではカットされていたのではないでしょうか。
私はあの部分は早送りしてしまいます。
この映画の特撮には高校当時、少なからずショックを覚えた記憶があります。

投稿: スタンリー | 2009年2月 7日 (土) 20時42分

相変わらず暑いですね。そちらは如何ですか。
トコリの橋の特撮は私も大好きなんですが、アランさんが仰るとうり、終盤の被弾したホールデンの搭乗機の平地への不時着シーンは私も謎でした。私はかなり大型のミニチュア、そう、5メートルぐらいでしょうね、をヘリコプターで吊り下げて進入し、計算した位置で切り離して、自由落下させたのではと考えているんですが。もう40年近く前に出版されたmovie magic by john brosnanという特撮を解説した本がありまして、私はボロボロになるぐらい愛読していますが、その中にフルトンがカメラを装備した特種な小型ヘリに乗っている写真があり、「トコリの橋のミニチュア撮影にのぞむフルトン」と説明されていますので、この映画ではかなりヘリを活用していたようです。あと、昔のハリウッドでは高いやぐらを組み、長い傾斜レールを滑らせて、不時着シーンを撮っていますが、それではちょっと無理なような気がします。いずれにしても私も大好きな特撮ショットです。

投稿: artkimiyuki | 2012年8月31日 (金) 10時44分

artkimiyukiさん。こんばんは。
こちらは避暑地なのですが、9月に入るというのに相変わらず33度くらいまで温度が上昇しています。

仰る通りこのシーンはナゾですね。
実機ではないのは、あまりにも機体が頑丈すぎることで証明出来ます。実機なら最初の地面への激突でバラパラになり炎上するはずです。
私も大きく頑丈なラージスケールのモデルを使用していると見ています。
たぶん、模型用のパルスジェットエンジンの動力による無線操縦ではないでしょうか。
あるいはご推察の通り、ヘリから落下させ滑空させたのかもしれません。
いずれにせよ、特撮に見えないテクニックには脱帽です。

投稿: アラン・墨 | 2012年8月31日 (金) 22時50分

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 日米合作と銘打っても、淡路恵子もお付合い程度で、完全なアメリカ映画だったがかなり良かった。戦争に対する疑問が滲み出ている。  主人公と艦長-。次にジェット機で爆撃に行くラストが迫力あり。共産軍の砲撃、山を越せぬジェット機の姿。  1週間前は妻と日本の温泉を楽しんでいたのに、不時着し共産軍と戦って死ぬ主人公は描き足りない。  彼は初めから軍人で登場する。その前の彼の前歴や思想が不明だ。弁護士と解るのは死の直前だ。  ウィリアム・ホールデンと、グレース・ケリーも好演だが、フレドリック・マーチの... [続きを読む]

受信: 2009年2月 7日 (土) 19時49分

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