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2009年2月

ニュールンベルグ裁判

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    ↑ この映画のソフトはネットで見つかりませんでした。

洋画メモ、NO,57、NHKBS

1961年、ユナイト、ビスタサイズ、白黒、194分

監督- スタンリー・クレイマー、脚本- アピー・マン

撮影- アーネスト・ラズロ、音楽- アーネスト・ゴールド

出演- スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、モンゴメリー・クリフト、マクシミリアン・シェル、マレーネ・デートリッヒ、ジュディー・ガーラント、ウィリアム・シャトナー

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東京裁判のような大法廷かと予想していたが、案外、こじんまりした法廷だった。

画面をビスタサイズにし、白黒映画としたのは記録映画的にさせるためだろう。ビスタビジョンのシャープな映像がいい。

ビスタビジョンの撮影は通常の35ミリフィルムを使用するが、われわれが普段使っているフィルムカメラのように横方向に巻き取ってコマを送り撮影する。

ビスタサイズのフィルムの1コマの横幅は、ライカ判より狭くなるがスタンダードの2倍近い面積となる。この撮影カメラを観たことがないが、マガジンはカメラ本体の右と左に突き出しているのだろう。

オヤ?、と思ったのは最初、被告人はドイツ語で罪状認否に答えていたのに、以後はすべて英語で会話が始まったこと。しかし、同時通訳のレシーバーを頭にかけるので、あくまでドイツ語を話しているという設定で映画は進む。 まあドイツ人の俳優さんではないし、通訳を介するとアクションが手間取り、会話のテンポが台無しになるので致し方ないこと。

ウィドマークの最初の検察論告では、壇上の彼の周りをぐるりとカメラがサテライト撮影する。 カメラは移動中、ほとんど振動しないので、恐らく円形のレールを敷いてカメラを乗っけているだろう。 現在だとステディカムを使うところだ。

映画とはいえ、アメリカの検察と弁護側のやりとりの激しいこと。日本の裁判を見たことがないが、絶対にあんなダイナミックなものではないだろう。ウィドマークも弁護のシェルも口から泡を飛ばして激論していた。

他のサイトの情報では、最初のキャスティングはランカスターが判事で、トレイシーはヤニング司法大臣だったという。役が逆になったのはランカスターの強い要望だそうだ。

私にはランカスターはそんな名演技とは見えなかったが、トレイシーはさすが老判事にふさわしい演技だった。

一番の名演技は証人として、少し知恵遅れのパン職人を演じたモンゴメリー・クリフト。 同じ証人として呼ばれたジュディー・ガーラントもうまい。 

デートリッヒは堅い裁判シーンの合間登場し、見ている観客の肩をほぐしてくれた。(といっても心がすさんでいる未亡人役なので冷たく見える)、街の通りで「リリーマルレーン」の歌が流れるシーンは微笑ましい。しかしサービスとしてもちょっとやりすぎの感もある。

アウシュビッツの記録フィルムの映写は長すぎやしないか。 なにか劇映画の手段としてルール違反のようなものを感じる。 私がプロデューサーだったらカットしてセリフで表現するか、流すとしても、もっと短くさせたい。

ラストシーンで刑の決まったヤニング司法大臣に老判事は問いかける。

「なぜ少年を無実と知りながら死刑にさせたのか。 そもそも原因(ホロコースト)の元はそこにある。」

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洋画メモ、NO,56、NHKBS

1994、ユニバーサル、シネスコサイズ、111分

原題- The Wild River

監督- カーティス・ハンソン、 撮影- ロバート・エルスウィット、

音楽- ジェリー・ゴールドスミス

出演- メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン、デイヴィット・ストラザーン

ジョセフ・マゼロ、ジョン・C・ライソー

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メリル・ストリープと夫との関係がギクシャクしている出だしは、アメリカ映画の脚本としてはいつものパターンで、また同じような映画が始まったかと思った。

日本映画のシチュエーション(特にホラー物や怪獣物)でも、大概、夫婦は離婚寸前か、あるいは別居、あるいは死別していて、子供がどちらかの方に引き取られているという、家族関係が鬱積したアンバランス状態で始まる脚本の物が多い。 こういう使い古された凡庸な出だしの脚本は止めていただきたい。

が、・・・ この映画の展開は良くできていた。どうしたらこういう脚本が書けるだろうか。 ヒッチコックのハラハラドキドキ・・・に家庭問題を掛け合わせ、「エアフォース・ワン」のような人質事件を付け足した、盆と正月とクリスマスが一度に来たような贅沢な映画。

ストリープの夫は最初、ダメ男のように見え、やっぱりミジメな終わり方となるように見せかけるが、結局、後で大活躍。 

ケヴィン・ベーコンがまたいい悪役を演じている。「透明人間」でもどうしようもない悪人をやったが、悪人でなくとも何か一癖も二癖もある人物を好演する俳優さんだ。 ゲーリー・オールドマンともどこかタイプが似ている。

ベーコンの相棒の悪党も、ツラが悪く、残虐非道の人物と見せかけ、結局どこか良心を持っているところがまた良く出来た脚本だと言える。

メリル・ストリープが逞しい。凝り性の彼女のことだから、そうとう筋肉トレーニングやボートの技術、川くだりテクニックの特訓をしたに違いない。

それにしても激流下りの映画は、俳優さんもカメラマンもヘリのエアリアル撮影も、ほんとうに大変で、ご苦労さまなことだ。

さらにワンちゃんまで出演するので、監督も頭が痛かっただろう。

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山の音

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邦画メモ、NO,43、NHKBS

1954年、東宝、スタンダード、白黒、95分、画質普通

監督- 成瀬巳喜男、 原作- 川端康成、 撮影- 玉井正夫、

音楽- 斎藤一郎、 美術- 中古智

出演- 原節子、上原謙、山村聰、長岡輝子、中北千枝子、木暮実千代、

杉葉子、金子信男、

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義父が息子の浮気で悩む嫁を思いやるという、極めて松竹の小津映画的なものを東宝の成瀬がやるとこうなるという映画。

小津の登場人物もそうだが、家庭は極めて裕福で、晩飯のおかずに伊勢えびとサザエが出る。  どうやら原節子の義父・山村聰は銀行の頭取で、夫の上原謙はその銀行の幹部のようだ。 

家の造りはあの当時としては清楚でけっこうな邸宅、ヘルパーさんも時々来るようだ。この家の美術は成瀬監督のレギュラー、中古智だが、川端康成の実家に極めて近い造りだそうだ。

以前にも書いたが、原節子の、夫やその家族に対する言葉遣いが、今の感覚では極めて学習院的ハイソサエティー言葉で驚く。 「お義父さま、なにをご覧になっていらっしゃいますの」とくる。  土肥中の家庭で、朝飯に茶漬けと漬物を食ってすましていた私の子供の頃の生活言葉とは次元が違うので、多少癇に触る。

音楽の斎藤一郎はピアノを巧みに使い私は好きだ。ポロンポロンという音が物悲しい。 小津映画では「サセレシア」のズンタッ・ズンタッのリズムによるアコーデオンのメロディーも面白いが。

ラストシーンが極めて面白く、かつ意味深い。

菊子(原節子)と義父(山村聰)は広い公園で待ち合わせる。実は義父は菊子が息子と離婚する決意があることを悟っていて、こちらの家族に気を使わず、本人の自由にまかせるよう菊子に語りかける。 

この義父役の山村聰が実にいい芝居をしている。ほんとうに嫁への慈愛を感じ取れる名演技。 私もあんな親爺を持ちたかった。山村はこの映画で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞している。因みに山村と上原は役柄では親子の関係だが、実際はほぼ同い年である。山村は当時44歳なので20歳以上のフケ役だ。

この公園(東京のどこだろうか)の並木道(「第三の男」に出てくるような)を二人で歩いた後、義父と、精神的に開放された菊子の会話が実に意味深い。

並木路を出た広場を義父が眺め廻す。

義父・「のびのびするね」

菊子・「ビスタの苦心がしてあって奥行きが深く見えるんですって」

義父・「ビスタ?」

菊子・「見通し線て言うんですって」

・・・・・ この部分が川端の原作にあるかどうか知らないが、ビジュアル的心理描写というか、新鮮な感覚のするラストシーンとなっている。

この映画もビスタビジョンで撮影すればよかったろうに。私はあの画面比率が一番好きだ。ただし、日本映画でビスタサイズの作品が当時あっただろうか。

追記: ラストシーンの並木のある公園は代々木公園と判明。

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卒業

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洋画メモ、NO,55、NHKBS

1967年、ユニバーサル、シネスコサイズ、105分

監督- マイク・ニコルズ、 撮影- ロバート・サーティース、

音楽- ポール・サイモン、ディブ・グルーシン

出演- ダスティン・ホフマン、 アン・バンクロフト、 キャサリン・ロス

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教会から花嫁をかっさらっていくシーンがエラク有名で、音楽がエラク有名で、簡単にソフトが手に入るこの時勢でもあえて反発して観なかった映画。 しかし放送を機会にようやく観る。

「サウンド・オブ・サイレンス」の歌はこの映画が公開された3年ほど後でもラジオのリクエストで盛んに流れていた。 しかし、この映画のために作曲されたのではなく、既に1965年に作られていたということをウィキで知った。

名曲には違いないが、どうも二人の歌も伴奏のリズムもちょっとズレている部分があるように感じ、あまり録音セッションの出来が良くない。

しかし、「スカボロ・フェア」はそんなことは無く、私はこの歌のほうが好きだ。この歌が流れているセリフのないシーンは凛としていて、ほんとうにステキだった。 これもウィキで知ったが、サイモンとガーファンクルの作曲ではなく、イギリス民謡だった。

撮影がすばらしく、さすがロバート・サーティースである。どのシーン・カットもいい写真。 そう。スチルにしても良い写真である。

いろいろな撮影技法を見せてくれるが、監督・撮影監督ともども楽しんでいるようだ。 説明のいらないお笑いシーンもいくつかあった。

その撮影で一つ面白いものを挙げるとすれば、アパートの階段を昇り降りするカットで、四角い螺旋状階段の中央の空中にカメラを置き(あるいは手持ち)、降りるホフマンをぐるりと回転し、下りながらチルト撮影しているところだ。

これをやるとすれば、カメラマンをワイヤーで吊るし、滑車で降ろしながら回転させるしかない。

また、ドア越しのミセス・ロビンソンとエレーンが写っているカットでは、カメラのピントが合っている背後のバンクロフトが去ったあとでも、手前のロスにピントを合わせず、しばらくボケたままにしていた。これは撮影助手の単なるウッカリミスだろうか。 それとも故意にやったことだろうか。 そうだとすればベンジャミンの視線をウツロに止めたように見せるテクニックだろう。 面白い。

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H2B ロケットの成功を祈る

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2009年2月12日、三菱重工業で次期打ち上げの、H2B型ロケットブースターが公開された。第一段目の、LE-7Aエンジンが、今まで一個だったのが2つになっている。その分、直径が大きくなった。

感無量のことだ。 日本で初めてクラスター型のロケットブースターが出来上がった。 クラスター型とは、補助ロケットブースターを除く、メインエンジンを2つ以上束ねるタイプのことを言う。 

----- LE-7A、クラスター燃焼実験の映像。 

http://www.youtube.com/watch?v=Sj5E47luYgQ&feature=related

(タイトルのLE-5Bというのは間違い。)

今までは、日本の第一段・液体ロケットエンジンはすべて1個で使用していたので、ようやく大型ロケットらしくなった。

この2つ束ねるタイプのロケットでは、1960年代中期のNASAのタイタンロケットが該当する。  3つ束ねるものでは同じNASAのアトラスロケットがあるし、スペースシャトルのメーンエンジンも3つだ。

アポロを打ち上げたサターンⅤ型は5つ束ねているが、あの大型エンジンではそれが限界だろう。

ロシアも古くからクラスター型を採用している。人間を乗っけて打ち上げるものは、中心のコア部分の周りにパンタロンを4つ付けたような形態をしているが、その第一段ブースター全体には、姿勢制御ロケットを含め、なんと32個もロケットエンジンが付いて点火している。 ロシアはこのタイプのロケットを50年も前から採用しているが、すべてのエンジンをコントロールする技術が完全に確立されている。

日本もようやくその方法の仲間入りができる。

ところで最も効率の良いロケットエンジンというのは、一定の重量の燃料と酸化剤で如何に長時間燃焼できるかということにつきる。 

その効率が最も良い燃料が酸素と水素である。この組み合わせを提唱した人物は、なんと100年も前のロシアの田舎にいた。 学校教師、ツォルコフスキーである。宇宙旅行の父と呼ばれるアマチュア数学者でもある。

この水素と酸素を燃料に使ったロケットエンジンの開発は大変難渋であるが、開発に成功し、第一段メインエンジンとして運用できているのは、世界でもアメリカとロシアと日本とヨーロッパ共同体のアリアンスペース社だけである。

ただし、ターボポンプを廻した後の生焼ガスを、燃焼室で再燃焼させるという、最も効率の良い2段燃焼サイクルを採用しているのは、アメリカと日本とロシアだけであり、アリアンスペースのアリアンⅤは、この方法ではなく、タービンを廻したガスは再使用されず捨てられている。つまりその分、少し効率が落ちる。

宇宙大国となった某大陸の国は、酸素・水素を第一段に使用する方法を採用できていない。したがってあの国のロケットを見ると、衛星部分の大きさに比較して、第一段の燃料タンクが異様に長い。  大きいロケットは見栄えが良く、ゆっくり上昇する姿は堂々としているが、それは大きいものは性能が良いと思う、単細胞的思考である。

ロケットの性能は、重く大きな衛星を、効率よくフェアリングして弾頭に収め、いかにコンパクトなブースターを使い、少ない段数で打ち上げるかにかかっている。つまり、外見的には、頭デッカチで足の部分がスリムで短いスタイルほど性能がいいのだ。 日本のH2型のロケットはこのタイプだ。

因みに、あの国は有人ロケットの第一段目にヒドラジン系の、極めて取り扱いの危険な燃料を使うエンジンを使用している。 これは45年前にNASAがタイタンロケットで有人宇宙船ジェミニを打ち上げていたのと同じ方法である。

現在はNASAも、さらにロシアも当初から有人ロケットの第一段目に、この燃料は採用していない。 いつか、発射時や燃料注入時に大事故が起きなければ良いが。

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トコリの橋

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特撮メモ、NO,27、DVD

1955年、パラマウント、スタンダート、カラー、103分、画質粒子粗い

原題- THE BRIDGES  AT  TOKO-RI

監督- マーク・ロブソン、 撮影- ロイアル・グリグス

音楽- リン・マレー、 空中撮影- チャールズ・J・クラーク

特撮- ジョン・P・フルトン

出演- ウィリアム・ホールデン、グレース・ケリー、フレドリック・マーチ

ミッキー・ルーニー、ロバート・ストラウス、淡路恵子

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ヒコーキファン、必見の映画。

朝鮮戦争で活躍したF9F.パンサージェット戦闘機の実物が見られる。

しかも実際の当時の空母からの離発着が見物できる。貴重な映画でもある。

この約60年前のジェット戦闘機はまだ後退翼ではない。したがって最高速度は現在の旅客機より遅い。まあ巡航速度は時速600キロくらい、実戦でも700キロくらいだろう。遅からず速からずで、実写映像の優雅な飛行シーンがすばらしい。

エンジンは遠心式ターボジェットで、この手の旧式メカは現在では採用されていない。推力は2,6トンと現在のF-15の推力21トンと比較するとパワーはまるで原付バイクと軽自動車くらいの差がある。 しかもアフターバーナーはついていないので離陸シーンは地味だ。

でも、いいですな。 私、この当時のジェット戦闘機好きです。エンジンは1個だけで、噴射口もマンホールの蓋より小さいんですな。この非力なエンジンで空母を飛び出す姿を見ると、「きっと戻ってこいよ」と呼びかけたくなります。

因みに当時の空母にはスチームカタパルトはまだ採用されてなく、油圧式である。したがって発進のレールからは蒸気が噴出せず、これもいたって地味なシーンであるが、機体が軽い(重量約7トン。現在の艦載機F-14は31トン)のであっけなく飛び出していく。

さてこの映画のミニチュア特撮であるが、これまた「東京上空30秒」の特撮に匹敵する素晴らしいものである。

またまたアメリカの名も知れぬ特撮マンがいい仕事をしている。

公開された1955年といえば「ゴジラ」の発表された頃だが、この映画の特撮は全く円谷英二の演出した飛行機物の特撮を凌駕している。 ワンカットに残念ながら飛行機ミニチュアの操演ワイヤーが見えているところがあり、特撮と分かるが、それが無ければ完全に実写と見間違えるものだ。 トコリの谷を飛行・爆撃するシーンは実写と思っている方が大部分ではないだろうか。

追記: 横須賀への空母接岸では、艦上の固定したプロペラ機の推力を利用して船のコントロールをしている。 これには度肝を抜かれた。 ああいう方法もあるもんだ。

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・ 最初の特撮シーンは燃料切れのF9Fが不時着水するカット。ミニチュアは1メートルくらいのサイズ。 プールを使ったクレーンでの俯瞰撮影だろう。標準的な特撮。

・ 空母上での着艦誘導員やコックピット撮影、港の埠頭での人物の寄りはすべてスタジオでのリアプロジェクション撮影。あまり質は良くない。

・ ホールデン機がギリギリ着艦するカットはハメコミ合成。質は良くない。

・ トコリの橋、偵察シーン、爆撃シーンはアメリカの荒野でミニチュアのセットを製作して撮影している。カメラをティルトさせて撮影された飛行シーンは実写にしか見えない優れた特撮。 橋などのミニチュアは恐らく5メートルくらいのラージスケール。 大地でのオープン撮影による自然光の圧倒的実物感、実写感が素晴らしい。

・ トコリの谷を戦闘機目線で飛んでいく撮影は、実際の小型飛行機を使ったか、クレーンを突っ込んで行ったか、あるいはカメラをワイヤーで滑らせたか判断できない。 ジャイロカムヘリの空中撮影のような滑らかな映像が素晴らしい。

・ 実機からの機銃掃射、谷からの迎撃発砲はポンポン花火を使用。ハイスピート撮影が適切で、しかもロングなのでオモチャ感がしない。円谷英二はこういうとき、ミニチュアのアップからワイヤーでガイドされたオモチャ然のミサイルを発射するという、余計なカットを挿入し、失敗させてしまう。

・ 第二次攻撃での俯瞰撮影では、F9Fのミニチュアをガイドしているワイヤーが太陽光で反射して見えてしまっているカットがある。 残念なシーンである。

・ 被弾したホールデンのF9Fが山岳の平地に不時着するシーンが私にはどうやって撮影したか分からない。 実機のようにも見えるがそれはあまりにも危険だろう。 5メートル位の大型のミニチュアを操演しているようにも見える。 しかしワイヤーは、何回繰り返して再生し、目を凝らしても見つけられない。いずれにせよピタリとカメラの前に停止しさせる操作は至難の業である。 もうこのシーンはお手上げ。脱帽。

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アメリカ海軍はよくこの映画の撮影に協力したと思う。それはあまりにも絶望的なエンディングだからだ。

セリフに「間違った場所での間違った戦争」というのもある。決して海軍の宣伝映画ではない。 しかし、最終的に作戦が3人の犠牲だけですんだことは成功であると認めている。  アメリカ海軍はこれが言いたかったのであろう。

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20世紀少年、もうひとつの第一章

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邦画メモ、NO,43、TV放映

2008年、東宝、CM含んで2時間以内

監督- 堤幸彦、 撮影- 唐沢悟、 音楽- 向井良明

出演- 唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、平愛梨、香川照之、石塚英彦、

宇梶剛士、宮迫博之、石橋蓮司、中村嘉津雄

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この映画のTVコマーシャルで、ハットリくんのお面をかぶった人物が出ていて、それが何か異様な雰囲気で、なんだか面白そうで、前から気になったので観ることにした。

観たら驚いた。すべて省略・省略でストーリーが進んでいく。漠然と解ったような気がするが腑に落ちない。

いつの間にやら時間がたって、唐沢はテロリストと誤解され、氏名手配されている。

あのウィリスは接触感染のものなのだろうか、触った本人だけが感染し死に至るというのは都合が良すぎる。

なんでホームレスたちは、コンビニの唐沢を呼び出すのに、弁当の万引きをしなければならないのだ。

なぜ「ともだち」の教祖はカンナの拉致失敗の責任者を、わざわざコンビニの中で殺さなければならないのだ。 しかも火達磨にさせて。それにあのガソリン容器はどこから持って来たのだ。

まだまだ、腑に落ちない箇所が多々あったが忘れてしまった。

ただ、一番強烈に疑問なのは、あの巨大ロボットはどこからやって来たかということで、スタートレックの転送のように瞬時に都心に現れたのだろうか。 海から這い上がってきたのだろうか。

少なくともこのロボットの件だけは、次回作でしっかり説明していただきたい。

どうもこの映画は、原作のコミックを全巻読破した者だけが対象のようで、脚本家も監督もスタッフも、「観客はどうせ解っているからいいだろう、カットしちゃえカットしちゃえ」、そんな製作姿勢を感じる。 

それに映画にするには長大すぎる話なのではないか。26話くらいのテレビドラマにするべきだと思う。  この映画は連続ドラマの総集編を観ているみたいだ。

いま公開中の2作目も、おそらくこんなものだろう。

しつこいようだけどロボットの出現方法をちゃんと説明してくれなきゃ怒るよ。

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邦画メモ、NO,42、DVDレンタル

1952年、松竹、スタンダード、白黒、97分

監督- 渋谷実、 原作- 井伏鱒二、 撮影- 長岡博之、 音楽- 吉沢博

出演- 柳永二郎、増田順二、田村秋子、三国連太郎、佐田啓二、

角梨枝子、多々良純、岸恵子、淡島千景、鶴田浩二、十朱久雄、中村伸郎

- あらすじ -

戦争で一人息子を失った三雲医院の八春先生は甥の伍助を院長に迎え、戦後再出発してから丸一年の記念日、伍助はこの日看護婦の瀧さんたちと温泉へ出かけて行き、三雲医院は「本日休診」の札を掲げた。八春先生はこの機会にゆっくり昼寝でもと思っていた矢先、婆やのお京の息子勇作が例の発作を起こしたという。勇作は永い軍隊生活の悪夢にまだ折々なやまされ、八春先生はそのたびに部隊長となって号令、部下の気を鎮めてやらなければならぬ。勇作が落着いたら、こんどは警察の松木ポリスが大阪から知り合いを頼って上京したばかりで昨夜おそく暴漢におそわれたあげく持物さえうばわれた悠子という娘をつれて来た。折りから十八年前帝王切開で母子共八春先生に助けられた湯川三千代が来て、悠子に同情してその家へ連れて帰った。が、八春先生はそれでも暇にならず、砂礫船の船頭のお産あり、町のヤクザ加吉が指をつめるのに麻酔を打ってくれとやって来たのに、こんこんと意見もしてやらねばならず、悠子を襲った暴漢の連れの女が留置場で仮病を起こし、兵隊服の男が盲腸患者をかつぎ込んで来て手術をしろという。かと思うとまたお産があるという風で、「休診日」は八春先生には大変多忙な一日であった。が、悠子は三千代の息子春三の世話で会社につとめ、加吉はやくざから足を洗って恋人のお町という飲み屋の女と世帯を持とうと考えた。しかしお町が金のため成金の蓑島の自由になったときいて、その蓑島を脅迫に行き、お町はお町で蓑島の子を流産して八春先生のところへかつぎ込まれた。兵隊服の男は、治療費が払えず窓から逃げ出すし、加吉はまたまた賭博であげられた。お町は一時あぶなかったが、しかしどうやら持ち直した。八春先生をとり巻く周囲には、いつも色々な人生問題がうずをまいていたが、しかし先生はそれでも希望を失わず、勇作の号令で夜空を横切って行く雁に向かって敬礼もするのだった。     - goo より -

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どっちかというと悪役のバイプレーヤーである柳永二郎がこの映画では初めての主人公役で、しかも「医は仁術」を地でいく教科書的な善人を好演。

開院記念日として、骨休みを予定していたせっかくの休日が、すべて押しかけてきた患者でテンヤワンヤの台無しとなってしまう。 

なんらかの事情がある複数の患者さんへ、それぞれフォーカスがあたるので、いわば「グランドホテル」形式と言えよう。 

盲腸の急患を手術するのだか、あいにく看護婦が休みでいない。すると患者のつれが、元衛生兵だったから手伝うという。あの時代を反映している。

演出は今の感覚からはノンビリしていて、ちょっとトロくさい。 が、医者の柳の性格でホノボノとする。 渋谷監督の作品では「好人好日」を観ているが、これも主演の笠智衆のノンビリした演技でホノボノとなったものだ。 そういう演出スタイルの監督なのかもしれない。

佐田啓二、岸恵子が初々しい。鶴田浩二も若いのだが、ヤクザ役なので、もうこの頃からデカイツラをしている。 淡島千景がキレイ。

三国連太郎が、今だここは戦場で自分は中尉だと思っているイカレタ復員兵をやっていて傑作。 元々図体がデカイので軍隊では真っ先になぐられそうな人物(「陸軍残酷物語」での彼のよう)だが、妄想の世界では、今や母親や柳、お隣さんが部下となって敬礼を受けたり、口真似の消灯ラッパの音でおとなしくなったり、爆笑ものである。

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上海陸戦隊

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邦画メモ、NO,41、DVDレンタル

1939年、東宝、スタンダード、白黒、89分

監督- 熊谷久虎、 撮影- 鈴木博、

出演- 原節子、 大日方傳、 小杉義男

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海軍省プロパガンダ映画。

映画のタイトルは「隊戦陸海上」と当時の読み方。

上海事変で海軍陸戦隊は、いかに正当な自衛手段によって租界の日本人民と外国人を守り、中国民間人を丁重に扱ったか。 という内容。

フィルムの状態が悪く、セリフも半分しか解らない。 大分早送りして観てしまった。

原節子は当時19歳。 日本軍にたてつく中国人娘の役だが、チャイナドレスで色っぽい。

隊長役の大日方傳(おびなたでん)という俳優を知った。この人、戦後はブラジルに移民しているので1950年代までの俳優生活で、私の世代では目立たない俳優さん。サイレント時代は2枚目スターだったという。

この映画、なんと太平洋戦争以前の映画だが、出てくる武器などは全部ホンモノ。 したがって発砲シーンは空砲を使っていて大変迫力がある。 

現在の日本映画では撮影用ステージガンを使っているが、その発砲シーンでは、実物とは程遠い火薬の発火のため、反動・衝撃波は「屁」みたいなものに見え、どう見たって情けないアクションとなってしまうが、さすがホンモノは違う。

発射音も効果音ではなく実際の音らしく、「パン・パン」と乾いた音に聴こえるのは真に迫っていて恐ろしい。

38式歩兵銃の発砲実写を初めて観た。 薬莢の排出がうまくいかない兵士が居て、指でいちいち取り出していた。5発入りのカートリッジには弾丸部分がついているので、このシーンの撮影では実弾を使っているのかもしれない。ただし、そもそも私は空砲弾というものを見たことがないので何ともいえないが。

弾倉がホチキス型の軽機関銃も実物が登場。 反動がすごい。発射音は「パパパパパ」という感じ。 これも戦場にいるようで恐ろしい。 ガンマニアにはうれしい映画だろう。

ところで前にも書いたが、TV「コンバット」を観ていて気が付いたことは、彼らが使っている小銃やトミーガンの銃口をよく見ると、中に小さなノズルが見えることだ。

これは調べてみると、銃口内のガス圧を高めるために小さな穴の開いたノズルを銃口内にはめ込んであるのだそうだ。

つまり空砲弾を実銃でそのまま使うと、飛んでいく弾が無いために、反動が減少し、ガス圧による弾の自動装填のメカが働かないんだそうである。

これも撮影用ステージガンと言えるだろうが、元はホンモノの銃であり、日本映画で使われているニセモノと比べれば、圧倒的、迫力に差がある。

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