« トコリの橋 | トップページ | 卒業 »

H2B ロケットの成功を祈る

日本ロケット物語 H-2A M-5 新版  [本] 日本ロケット物語 H-2A M-5 新版 [本]
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

2009年2月12日、三菱重工業で次期打ち上げの、H2B型ロケットブースターが公開された。第一段目の、LE-7Aエンジンが、今まで一個だったのが2つになっている。その分、直径が大きくなった。

感無量のことだ。 日本で初めてクラスター型のロケットブースターが出来上がった。 クラスター型とは、補助ロケットブースターを除く、メインエンジンを2つ以上束ねるタイプのことを言う。 

----- LE-7A、クラスター燃焼実験の映像。 

http://www.youtube.com/watch?v=Sj5E47luYgQ&feature=related

(タイトルのLE-5Bというのは間違い。)

今までは、日本の第一段・液体ロケットエンジンはすべて1個で使用していたので、ようやく大型ロケットらしくなった。

この2つ束ねるタイプのロケットでは、1960年代中期のNASAのタイタンロケットが該当する。  3つ束ねるものでは同じNASAのアトラスロケットがあるし、スペースシャトルのメーンエンジンも3つだ。

アポロを打ち上げたサターンⅤ型は5つ束ねているが、あの大型エンジンではそれが限界だろう。

ロシアも古くからクラスター型を採用している。人間を乗っけて打ち上げるものは、中心のコア部分の周りにパンタロンを4つ付けたような形態をしているが、その第一段ブースター全体には、姿勢制御ロケットを含め、なんと32個もロケットエンジンが付いて点火している。 ロシアはこのタイプのロケットを50年も前から採用しているが、すべてのエンジンをコントロールする技術が完全に確立されている。

日本もようやくその方法の仲間入りができる。

ところで最も効率の良いロケットエンジンというのは、一定の重量の燃料と酸化剤で如何に長時間燃焼できるかということにつきる。 

その効率が最も良い燃料が酸素と水素である。この組み合わせを提唱した人物は、なんと100年も前のロシアの田舎にいた。 学校教師、ツォルコフスキーである。宇宙旅行の父と呼ばれるアマチュア数学者でもある。

この水素と酸素を燃料に使ったロケットエンジンの開発は大変難渋であるが、開発に成功し、第一段メインエンジンとして運用できているのは、世界でもアメリカとロシアと日本とヨーロッパ共同体のアリアンスペース社だけである。

ただし、ターボポンプを廻した後の生焼ガスを、燃焼室で再燃焼させるという、最も効率の良い2段燃焼サイクルを採用しているのは、アメリカと日本とロシアだけであり、アリアンスペースのアリアンⅤは、この方法ではなく、タービンを廻したガスは再使用されず捨てられている。つまりその分、少し効率が落ちる。

宇宙大国となった某大陸の国は、酸素・水素を第一段に使用する方法を採用できていない。したがってあの国のロケットを見ると、衛星部分の大きさに比較して、第一段の燃料タンクが異様に長い。  大きいロケットは見栄えが良く、ゆっくり上昇する姿は堂々としているが、それは大きいものは性能が良いと思う、単細胞的思考である。

ロケットの性能は、重く大きな衛星を、効率よくフェアリングして弾頭に収め、いかにコンパクトなブースターを使い、少ない段数で打ち上げるかにかかっている。つまり、外見的には、頭デッカチで足の部分がスリムで短いスタイルほど性能がいいのだ。 日本のH2型のロケットはこのタイプだ。

因みに、あの国は有人ロケットの第一段目にヒドラジン系の、極めて取り扱いの危険な燃料を使うエンジンを使用している。 これは45年前にNASAがタイタンロケットで有人宇宙船ジェミニを打ち上げていたのと同じ方法である。

現在はNASAも、さらにロシアも当初から有人ロケットの第一段目に、この燃料は採用していない。 いつか、発射時や燃料注入時に大事故が起きなければ良いが。

|

« トコリの橋 | トップページ | 卒業 »

巴里よ! これが翼端灯だ」カテゴリの記事

コメント

さすが、スタンリーさん!お詳しいですね~。
クラスター燃焼実験の映像では「一、二、三、四、五・・・・」とカウントしていますね(笑)。好感が持てます。
宇宙大国となった某大陸の国って、あそこでしょ?偽装大国の・・・。宇宙開発でも、張りぼて的なことをやらかしているのですね。

投稿: マーちゃん | 2009年2月13日 (金) 09時58分

マーちゃん。こんにちは。
マニアックな話にコメントいただき恐縮です。
ユーチューブのコメントなどを読むと、どうもあの大国の人々は大きいロケットほど性能がいいと思っているようですね。笑
ロシアの人々はあの大国のロケットはすべてロシアのコピーであると発言していますが、それもちょっと間違いでオリジナルの技術もあります。でもこの両国の衛星はソックリの形をしていますね。
H2B型の打ち上げを早く見たいものです。
ロケットの燃焼試験ではものすごい轟音らしいですね。地球の終わりみたいな音だそうです。日本語のカウントもいいですね。

投稿: スタンリー | 2009年2月13日 (金) 11時41分

アメリカは中心エンジンは固定して回りのエンジンをジンバルにするので、奇数のクラスター。ソ連は4つのエンジンを1個のポンプで燃料をおくるシステムなので偶数クラスターです、タイタンは毒性の強い、常温保存できるヒドラジン(A50)使用の核ミサイルで、燃料漏れ事故で整備員が死亡したので。安全で整備不要の固体燃料ミサイルミニットマンに交替しました、中国では基地の周辺の村にロケットの残骸が落ち多数の死者を出したという怖い国です、基地周辺地元に漁業保証をする国は日本だけです

投稿: エンジンが少ないほど高性能 | 2009年2月14日 (土) 13時19分

某大陸のロケットの失敗では500人ほどの民間人が犠牲になっていますね。ユーチューブでその映像を観るとリフトオフ直後に大きく傾いています。でも当局は強風のせいだと発表したそうですね。
あの国の人は、自負に非があっても、絶対、責任を他に押し付ける体質があります。

投稿: スタンリー | 2009年2月14日 (土) 21時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/28023534

この記事へのトラックバック一覧です: H2B ロケットの成功を祈る:

« トコリの橋 | トップページ | 卒業 »