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日本海大海戦

 日本海大海戦 日本海大海戦
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特撮メモ、NO,26、DVDレンタル

1969年、東宝、シネスコサイズ、128分、画質普通

監督- 丸山誠治、 脚本- 八住利雄、 撮影- 村井博

音楽- 佐藤勝、 特技監督- 円谷英二

出演- 三船敏郎、加山雄三、仲代達矢、藤田進、平田明彦、

土屋義男(秋山真之)、柳永二郎、加藤武、笠置衆、松本幸四郎、辰巳柳太郎、草笛光子

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映画作品としては、円谷英二の遺作となる。

怪獣物やSFでなく、史実を再現するということもあり、またかなりの予算が特撮に割かれているためか、彼が係った作品としては、才能を十分発揮することができた最高傑作だと思う。それとも最後の映画になるという予感がそうさせたのかもしれない。

まず、彼、および彼を取り巻き、その後、特撮監督となった人物が行った、シーン・カットごとにハイスピード撮影の回転速度を変えてしまう、あるいはただの24コマ撮影で撮ってしまうというような、物理感覚を混乱させてしまう間違った方法が、いっさいこの作品ではとられなかった。

そのハイスピード回転数は約5倍で、どのシーンも同じ回転数で撮影されていて、安定した実写映像感を与えていた。これは登場する軍艦のミニチュアと、海の波と爆発炎の表現に対しても、物理的・視覚的に適当な値だと思う。

そのミニチュアのサイズは遠景の物を除いて、バトルシーンで使われたものは2メートルから5メートルくらいのものだ。 ただし、砲撃シーンのアップ用に7,8メートル位のものもあるだろう。

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・ 爆発水柱の表現には火薬を使わず、圧縮空気(ガス)を一期に噴出させる方法が初めて採用された。 ユニークな方法で効果がある。 ただし私はL.B・アボット演出の「トラ・トラ・トラ」の垂直に高々と上がる爆発水柱のほうが好きである。

・ 映画の冒頭、ナレーションの解説中に流れる鉄道ミニチュア特撮は過去の「青島要塞爆破命令」の映像が使われている。

・ 大砲から噴出する黒煙の描写が良い。 被弾して爆発する火炎は円谷特撮独特のプラスチックが燃えるようなネチッコイ感じの炎だが、下瀬火薬の表現だとすれば、たまたま状況に似合っている。

・ 巨砲発射のカットでは、ミニチュアといえども、火薬にかなりの衝撃があり、海面が衝撃波で一瞬波立つ。実際でもそのようになるので実写感があり、迫力ある映像。

・  プールのホリゾントのカキワリは相変わらずプアー。 東宝のカキワリ絵、マット画は銭湯のペンキ絵のレベルである。

・ 常陸丸が玄界灘で発見するロシア艦のミニチュア映像は、実写と見間違える素晴らしいシーン。 霧に霞む船影と波の見事なこと。 ホレボレしてしまう。

・ 旅順港封鎖作戦の夜間映像もサーチライトの表現、海面ギリギリのカメラアングルが素晴らしい。

・ 各大砲発射で船首から撮ったシーンでは、ミニチュア艦とカメラを定位置に固定して撮影、艦の動きは海流を起こして表現している。 舳先はポンプで波を吹き上げさせている。一瞬だがこれも最良の特撮。

・ 全体的に過去の円谷のまずい撮影(彼は予算・撮影期間の悪条件により、素人目でもNGと分かるようなカットを編集に入れてしまう)を翻す渾身の特撮となっている。

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特撮とは関係ないが、相変わらず、爆発音、銃の発射音が、昭和30年初期から「日本沈没」頃まで、どの東宝映画でもしつこく使われているライブラリーから引っ張ってきた同じ音であり、このプアーな効果音は特撮の迫力を大分スポイルしている。

203高地の28サンチ榴弾砲が東映「二百三高地」に使われたセットよりかなり情けないハリボテ状のものでガッカリした。

ブルーバック合成があの当時の世界レベルとしては雑だと思う。

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私の土居中の町の公園に広瀬中佐の銅像が建っているが、彼のように国際感覚を身に着けたスマートな人物は、ただ戦友一人の所在確認をしたということだけのエピソードを拡大解釈され、その話が唄にもなって軍神として奉り上げられ、いくつもの銅像が各地に建ち、映画までにとりあげられていることには、さぞかしあの世でニガ笑いしていると思う。

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コメント

この映画の特撮は素晴らしいですね。円谷の遺作だったのですか。
>大砲から噴出する黒煙の描写が良い。
私もこれは良いなぁと思って見ていました。あと、艦の煙たなびく様子も美しいですね。夜の運航も粛々とした感じがよく出ていたと思います。東郷大将を日本海軍の司令官に任じた理由が「彼は運がいい」というのは、明治っぽい発想ですね(笑)。あと、「おいどん」だの「ごわす」とか、お国訛りが微笑ましかったです。
あら~、広瀬中佐の銅像が建っていますか。「杉野はいずこ~♪」で有名な方ですね。映画では結構スポットが当たってますよね。閉塞作戦に使う船にいる猫の心配までしていましたね。「坂の上の雲」では、ほんの2行ぐらいしか登場していなかったと思うのですが(笑)。秋のドラマでも広瀬は大きく取り上げられるみたいですよ。

投稿: マーちゃん | 2009年1月19日 (月) 15時47分

マーちゃん。こんばんは。
大砲の発射は結構良かったですね。いま思い起こすと太平洋戦争の映画では25ミリ機関砲が出てきますが、これを特撮でやるとポンポン花火になってしまってオモチャに見えてしまうのです。
でも日露海戦では大砲しかないので、うまくいったと思います。
若い頃はどうして日露戦争の指揮官はみんな九州弁なのか、その知識がありませんでした。笑
藤田進さんなんかそのままですね。

広瀬中佐は加山雄三でしたが、いいキャスティングですね。
ロシア令嬢とのロマンスは小説を読むまで知りませんでした。
私は彼の卒業した小学校の後輩にあたります。

投稿: スタンリー | 2009年1月19日 (月) 21時14分

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