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デルス・ウザーラ

デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD] DVD デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD]

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洋画メモ、NO,51、NHKBS

1975年、モスフィルム、カラー、70ミリ、画質不良、141分

原題- Derusu Uzala

製作- ニコライ・シゾフ、松江陽一

脚本- 黒澤明、ユーリー・ナギービン

監督- 黒澤明、 撮影- 中井朝一、ユーリー・ガントマン、フョードル・ドプロヌラーボフ

音楽- イサーク・シュワルツ

出演- ユーリー・サローミン、マキシム・ムンズク、スベトラーナ・ダニエルチェンコ

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久しぶりにいい映画を観ました。これからも繰り返し・繰り返し観るでしょう。

黒澤映画で唯一観ていなかったもの。

1980年ごろの黒澤ブームでも、一切、東京の映画館で上映していなかった。これはたぶんソ連映画だったためだろう。おいそれと配給できなかったようだ。

というわけで、永年の憧れの映画をついに観ることができた。なんと三十数年の夢が果たせたという訳。

「カピターン」の声が耳に残っています。

私の高校生のころ、この映画の製作が行われていた。当時、テレビで見た撮影現場のレポートからは、黒澤やスタッフの疲れた表情が窺がわれた。 ロケの昼食でのスナップでも彼らに笑顔がなかった。

大変困難な撮影であることが画面から解る。 凍てついた大地での、めまいがするような魅力的な望遠ショットの撮影では、風はエンジンのついた大型扇風機を使っているだろう。70ミリの大型カメラを廻すにしても発電機が必要である。わずか1カットのためそれらを何日間も待機させ、キャンプを張って夕日待ちと天気待ちをしなければならない。 黒澤の妥協を許さぬネバリが画面からヒシヒシと伝わってくる。

その丹精こめた魅力的なシーンがいっぱいありすぎる。書ききれない。

ただ、カメラはいっさい人物のクローズアップをしない。人物は常に引いていて自然の中の人間として淡々と表現している。

しかし黒澤的、骨太のダイナミズムもしっかりある。

デルスが河に流され、隊員が救出するシーンは「七人の侍」の村の合戦や、「天国と地獄」の列車内のシーンのような一発勝負の緊張感があった。

ただ、デルスが町暮らしに戸惑うところは、もう少しエピソードがあってもよかったと思う。早く森に帰りすぎた感じがする。

ソ連時代のカラーフィルムの色合いが面白い。あの色はアグファ系である。

ただし、フィルムのコンディションが良くない。所々、色むらがあり、サウンドトラックにノイズが入っている部分がある。この映画もデジタル・リマスターしてほしい。

ユーリー隊長の家で息子がピアノを弾いているが、これがバイエルの59番だった。懐かしい。

この教則本はドイツからロシア、日本へと伝わったと聞いているので間違いではない。 その他の国ではほとんど使われていない。

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洋画メモ」カテゴリの記事

コメント

私も観ました。今までBSで放送された黒澤映画は、頑張って全部観ましたよ~。残りはあと6本です。「影武者」と「乱」は再見になりますが・・・・。「デルス・ウザーラ」は貴重な映画なのですね。スタンリーさんも未見だったなんて!ラストはちょっと悲しかったですが、デルス・ウザーラに最新兵器は不必要なモノだったということなのでしょうね。
ところで、番組解説で「どですかでん」の興業成績が振るわなかったと言ってましたが、私、この映画は大変面白かったのですよ。黒澤映画を分かっていないからでしょうかねぇ(汗)。

投稿: マーちゃん | 2008年12月11日 (木) 10時05分

コメント、ありがとうございました。
念願だった「デルス・ウザーラ」を鑑賞出来た喜びを、スタンリーさんと共有出来て嬉しいです。
困難な撮影を専門的に解析されているスタンリーさんの記事を読ませて頂いて、実感が迸ってきます。
>あの色はアグファ系である。
というスタンリーさんの書込に「ハタッ!」と思い当たるところがあります。そう言われれば「石の花」(46)や「虹の世界のサトコ」(53)などのソ連映画も、アグファ・カラーだったのではないか?と思います。アグファ系は独特の色合いがありますね。
日本映画でも、「いとはん物語」(57)が、アグファカラーでした。イーストマンカラーのすっきりさはないが、物干し台の夕焼けの美しさは、弦楽器による主題歌の新鮮さと共に印象に残る。と、当時の手記が残っていました。
ユーリー隊長の息子が弾く曲は、バイエルの59番ですか。さすが、スタンリーさんと、敬服します。

投稿: アスカパパ | 2008年12月11日 (木) 17時23分

マーちゃん。こんばんは。
デルスの死はさみしかったですね。葬儀もありませんでした。
デルスはあの新型の銃を、盗賊から身を守るために使わなかったのではないでしょうか。人に向けて撃たないという信念があったのだと思います。素手で戦ったため殺されたのでしょう。
「どですかでん」は面白かったですか。黒澤監督も喜びますね。素直に楽しむ映画だと思います。伴淳さんや南伸介さん。
夫婦入れ替えの話など笑っちゃいますね。
何度観ても新たな発見があります。

投稿: スタンリー | 2008年12月11日 (木) 20時41分

アスカパパさん。こんばんは。いつもありがとうございます。
まだ未見だった「デルス・ウザーラ」は絶対、大スクリーンで観ようと30年も楽しみにしていたのですが、リバイバル公開も田舎ではされず、とうとうテレビ画面で観てしまいました。テレビ画面では、まだまだこの映画の魅力が薄められているでしょう。

この映画がのフィルムがアグファ系であると偉そうに推測してしまいましたが、実は私がどこかで仕入れた知識です。
アグファは東ドイツの会社でしたので、必然的に戦後、ソ連が技術を移植したのです。
それで、アグファの特徴として赤色が映えるのですね。
赤が目立つのでだから共産党にもマッチしていますし。笑
小津監督もアグファが好きでしたね。画面に必ず赤いヤカンなんか置いてありました。
ロシア映画では「シベリア物語」を観た事がありますが、やっぱり赤っぽい色彩でした。
バイエルの曲を洋画で聴いたのは初めてでして、ちょっと新鮮な感じを受けました。
小津監督の映画にもバイエルはよく聴こえますね。それとコーラスも。

投稿: スタンリー | 2008年12月11日 (木) 20時57分

ご無沙汰しています。
この作品のロード・ショーは東京日比谷の有楽座で70ミリだった記憶です。無論大画面マニアの私は観に行っております。
アグファですが恐らくs33年頃の小学校6年の頃に生家にはエルモのダブルの8ミリ撮影機があり、時々はアグファのフィルムを使用しましたが出来上がるのに1ヶ月弱かかりました。理由は当時は香港にしかラボがなかったからのようです。

投稿: ロンリー・マン | 2008年12月13日 (土) 21時16分

ロンリーマンさん。お久しぶりです。ありがとうございます。
70ミリを上映する映画館はもう無いみたいですね。
当時も少なかったかもしれません。
「2001年宇宙の旅」がもう上映できないのも残念です。
アグファの現像所が香港にあったのですか。すると現像料も高かったでしょうね。
8ミリのダブルというと16ミリフィルムを使うのでしょうか。
巻き戻して撮影するのですね。

投稿: スタンリー | 2008年12月14日 (日) 09時14分

スタンリーさん、こんにちは。
確かに物理的には16ミリですね(笑)。
後年に「私にも装填出来る」シングル8が普及するまではスーパーであれダブルであれ厄介でした。
ダブルは巻き戻すのではなく「オープン・リールの録音テープ」と同じと考えて下さい。つまり片方を撮り終えたらひっくり返しフイルムの反対面を撮る訳になります。
今でも棚にはスーパー、ダブル、シングル8の撮影機は鎮座しています。
(そうそう巻き戻す事によって二重露光、一人二役なんかデジタルより遥かに気をつかい面白かったです)

投稿: ロンリー・マン | 2008年12月14日 (日) 11時17分

ロンリーマンさん。こんにちは。
ダブルのフィルムはひっくり返して使うのですね。なるほど。
「マガジン、ポン、フジカシングルエーイト」というコマーシャルは今だに覚えています。笑
私は学生時代、8ミリで粘土のアニメーションをやってみたいと思ったことがあります。
現在ではこれもデジタルカメラで行われていますね。

投稿: スタンリー | 2008年12月14日 (日) 15時22分

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