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「生きる」のナゾのシーン

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黒澤監督の「生きる」については私などがトヤカク言えるものではない。あまりにも偉大な映画で、世界の映画作家にも多大な影響を与えた映画だ。

私はこの映画を少なくとも5回以上観ているはずだ。一つ一つのシーンやカットが目に浮かぶ。夕焼け空を見るといつもこの映画を想い浮かべる。

さて、この映画で永年気になっていたことがあるのでメモしておきたい。

それは渡辺さんが死んで御通夜を行うシーンである。そう、あの有名な、いきなり主人公を死なせ、フラッシュバックで本人の過去を語るという、世界の映画監督や映画ファンにあっといわせたシーンである。

このシーンは現在のDVDではオリジナルのまま編集されているであろうが、海外版では長すぎるという理由で一部カットされていたようだ。 実は私も助役の中村伸郎さんのところなど間の取りかたが少し冗長だと感じている。

まあ、これには個人によって感じ取る違いというものがあるだろう。それに、ひょっとして、黒澤監督も実際の通夜の、静かにゆっくり流れていく時間を表現したかったのかもしれない。

さて、その気になっていることであるが、

● どうして御通夜に職場の同僚が16人近くも列席しているのか。

である。 御通夜というのは地方によって習慣の違いもあろうが、私の地方では御通夜は簡単なお経を唱えてもらって、その後近親者で乾き物を肴に茶碗酒など酌み交わしながら一晩過ごすだけのものだ。

だから、職場の同僚に対して、料理のし出しまで準備して付き合ってもらうことなどありえない。

一歩譲っても、渡辺さんのあの席では、よほど親しかった友人(市民課の6人)くらいが列席しているのが普通ではないだろうか。

● どうしてあの席に渡辺さんの亡き妻側の親戚と、息子の妻側の親戚がいないのか。

これは私が指摘するまでもなく、完全に変である。この映画では会場が自宅であり、本来なら親戚筋であの場はいっぱいのはずだ。そうすれば、そもそも同僚など列席する余地もないのではないか。

● 助役にインタビューに来た新聞記者三人はどうして渡辺さんの死因を知らなかったのだろうか。 彼らは、渡辺さんの死因は、市役所にたいする無言の抗議による覚悟の凍死だと想像していたようだが、助役から渡辺さんが胃がんで死んだと知らさせて驚く。  新聞記者ならあらかじめ死因など取材で知っているのが常識ではないだろうか。

● 小田切みき(役名を知らない)はどうして通夜に来なかったのか。

もと同僚ならば顔を出してもいいはずだと、最初この映画を観たときに思ったが、そうすると脚本が別の方向に行ってしまうので割愛したのだろう。しかし、それはそれで面白いアプローチが出来たと思う。

この映画の脚本は黒澤・小国・橋本氏によるが、在命なのは橋本氏だけである。 ちょっとお会いしてこれらの件を聞いてみたいものだ。

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コメント

私はこの間のBSで初めて観たのですが、お通夜は俗っぽい人間たちの集まりとして描かれていましたね。たしかに、職場の同僚が16人も自宅に押しかけるというのは?ですね。最近のお通夜は式場で行なわれることが多くて、昔のように自宅で親しい人に囲まれて夜を過ごすということも少なくなりました。亡くなった病院から自宅に帰ることもなく、直接式場に運ばれることもあるみたいですよ。
小田切みきさんはチャコちゃんのお母さんですよね。顔がそっくりでした。彼女は職場の同僚たちと顔を合わせるのがイヤで欠席したのかもしれませんね。陰でそっと見送ってあげた方が、渡辺さんの供養になるような気がします。
橋本さんはもうすぐ公開される「私は貝になりたい」の脚本をご自身で手を加えられたそうですね。観にいくかどうか迷っています。あまりにも可哀想な話なので・・・・。

投稿: マーちゃん | 2008年11月 7日 (金) 22時11分

マーちゃん。こんばんは。
この映画も3人の力で脚本が出来ていますから、当然、私の思ったようなことも3人の間で議論されたはずです。結果、こうなったいきさつを聞きたいですね。
小田切さん。四方さんでしたっけ。最近お亡くなりになりましたね。信じられません。この映画では菅井きんさんだけがまだお元気ではないでしょうか。

「私は貝になりたい」はフランキーさんが無くなったときにオリジナルのテレビ版が放送されました。
昭和33年なのに何とVTR収録でした。
哀しい話でした。

投稿: スタンリー | 2008年11月 7日 (金) 23時44分

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