荒木又衛門、決闘鍵屋の辻
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邦画メモ、NO,32、NHKBS
1952年、東宝、スタンダード、白黒、画質不良。
監督- 森一生、 脚本- 黒澤明、
撮影- 山崎一雄、 音楽- 西梧郎、
出演- 三船敏郎、片山明彦、小川虎之介、志村喬、加東大介、
千秋実、高堂国典、左卜全
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そもそも、歴史に弱く、また講談によるこの話を聞いたことがないので、なぜ、仇討ちをするか、その理由が分からなかったが、検索して調べてみると驚いた。
河合又吾郎の側室の女性の代わりをする役目、つまり男色問題からきているという。 こんなことで、殺傷事から仇討ちへと事件が進むのは前代未聞のことだろう。今なら週刊誌や写真雑誌のネタだ。
脚本が黒澤ということで、やはり、リアリズムを問う展開だった。
講談では荒木又衛門は36人を切ったということであるが、実際は二人しか切っていない。人を刀で殺めるということが、芝居と違ってどんなに大変であるか・・・という映画である。 (とはいえ、黒澤は後の「椿三十郎」で、三船に30人ほど連続で斬らせているのだが。)
このアプローチは私の、前々からの興味事項であり、おおいに黒澤明と共鳴するところがある。
前にも書いたが、天下泰平の当時にあって、武士が刀を抜いて人に向けるというのは、現代において、警察官が拳銃を現場で抜くに等しいことであり、一生に一度あるかないかの事だと思う。
よって、侍とて人の子、実際の現場では刀を構えてもヘッピリ腰になる者もいたであろう。
という展開が、仇討ちシーンで繰り広げられるが、数馬役の片山と、加東、小川の三人は極端にオーバーなヘッピリ腰に描かれていて、それがまた繰り返され、しつこくて、逆にリアリズムを損ねているように感じた。
また、居酒屋・鍵屋の親爺、高堂国典も始終ビクビクしすぎで、演出が単調だ。
ただ、三船の又衛門は、いまにも血管が切れそうな緊張度が良く演出されていた。三船敏郎という、生真面目さを前面に噴出させたベストキャスティングだといっていい。
リアリズムといえば、この映画においても、斬られても着物は裂けず、血だまりなど、ほとんど見られないが、そういう特殊撮影は昭和27年当時ではまだない。このころはGHQが消滅し、チャンバラ映画の解禁となったはずだが、リアリズムをめざしたとはいえ、血だらけの残酷映像は思いもよらなかったのかもしれない。
また、人を斬るときの「バサッ・バサッ」という効果音も無いが、これは実際でもこの通り、あんな大きな音はしないのではないだろうか。だからかえってこのほうが不気味な現実味を感じる。
荒木又衛門はこの事件で、自分の名刀を折ってしまったそうで、映画でも堺左千夫のめくら滅法に合い、折られてしまうのだが、刀というのは横から衝撃には弱いのかもしれない。
以前、テレビ「トリビアの泉」で、日本刀が、発射された拳銃の弾を二つに裂き、なおかつ、ブローニングM2マシンガンの50口径弾にも、数発の被弾に耐えたのは、驚いたとともに感動したものである。
決闘シーンの撮影は東宝の砧撮影所で行われたものと推測する。この場所のバックの遠景には必ず松ノ木が何本か見える。ハリボテの石垣がプアだった。
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