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2008年8月

夏休みのことなど

ウォーキングしながら、横移動撮影のような景色をしだい眺めていると、子供のころの映像と空気に戻っていく。

今だと、実ってきた稲穂の匂いと、まだまだしつこく鳴いているセミの声が小学校時代に戻る、タイムスリップへの点火栓となる。

夏休みももう終わりだが、始まるころに戻ってみると、まず通知表を親に見せるのが憂鬱だった。 学校が火事になり、通知表も採点されたテストもみんな燃えてしまえば、と思ったものである。

家に帰って、親から、特に父親から「通知表は?」と言われたものなら、私の頭の上にはベートーベの「運命」の「ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン」という音、あるいはバッハの「トッカータとフーガ・ニ短調」の「チャララーン・・・・チャララララー・・ラー」という過酷な音が鳴り、死刑判決にも値する瞬間を臨まなければならない。

なんとかその瞬間も無事過ぎ、翌日から夏休み生活となるのだが、ちょっと楽しみだったのが、終業日にもらった肝油、つまりビタミンC,Aなどが甘いゼリーなどにコーティングされた栄養剤を食べることだ。

あれの値段はいくらくらいのものだっただろうか。一つのケース(浅田飴の入ってるようなプラスチックのケースのもの、あるいは六角形の透明のケースに入っている)で100円くらいしたと思う。 

1箱に100個くらい入っていてゼリービーンズのような形でオレンジ色のもの、あるいは碁石をちいさくしたような白い錠剤がはいっていたものだが、一日2個食べるようになっていたものが、1週間で無くなってしまったものだ。

一日の始まりはというと、6時10分ごろ起床し、ラジオ体操に向う。体操の時間が始まるまでの友達との時間は楽しかったものだ。地面で三つ並べをしたり、陣取りゲームをしたり。 

ラジオ体操の第一というのは長調でメロディーが進んでいくのだが、第二はところどころ短調になっていて、この不思議で陰気な曲調は、私は何かしら今日一日の不安と、宿題がたまったまま夏休みが次第に終わっていくことへの絶望感をうっすらと感じたものである。

午前中は10時ごろまでなんとか学校のお仕着せの宿題、「夏の友」を2ページほどすませ、自由研究などの課題はほったらかしにしていた。

さあ、午前10時になるとテレビで面白いものが始まる。自由研究などやったるかい。

まず「トムとジェリー」を見る。もちろん再放送であるが、こいつは何度観ても面白い。 私の中部地方ではテックス・エィブリー物を3本立てにした「まんが宇宙船」というのもやっていた。これを観ずにおけるだろうか。

また「サンダーバード」や「キャプテン・スカーレット」もこの時間帯に再放送されていた。これも観なければ。

日曜日ともなれば、この時間帯はレギュラー番組の「兼高かおる・世界の旅」、「じゃじゃ馬億万長者」、「母さんは28年型ポーター」、「ブラボー火星人」などを放映していて、宿題はおろか外に遊びに行くことなど決してしなかった。

午後になると友達と遊んだり、プールに行ったりというところだが、北見けんいちの漫画の元気くんみたいに、朝から一日じゅう虫捕りや川遊びなどはしなかった。あの漫画は昭和40年代の当時の子供たちの遊びや生活スタイルとしては少し偏りずぎていると思う。あのころの子供とってテレビは重要なアイテムであり、外遊びは二の次ということもあった。

遊びやプールから帰って、親から10円の小遣いをもらうと、売店でイチゴ味シャーベット「みぞれ」や、2本の棒がくっついている青い「ソーダアイス」などを買い食いした。このソーダアイスは二つに分離するときにうまくいかないと、片方、四分の一くらいがポロッと地面に落ちてしまい、 少年は「ああ・・・」と嘆息したものである。

午後4時くらいになると、再びテレビジョンは子供たちをひきつける。友よ遊びはもう終わった。家へ帰ろう。

「宇宙家族ロビンソン」、「タイムトンネル」、「ナポレオン・ソロ」、「バットマン」、「原潜シービュー号」、「ウルトラマン」等々の再放送が始まるのだ。

さて、それも終わり、午後6時近くになると、民放コマーシャル嫌いのうるさいオヤジが帰宅する時間だ。いちおうNHKにチャンネルを換えて、「チーンコ・チーンコ・チンコチンコチンコ」というテーマ音楽の「みんなの歌」で石原慎太郎作詞の「夜明けだ夜が明けてくる」などをしおらしく聴く。

そのうち、「ひょっこりひょうたん島」や日曜日なら「宇宙人ピピ」などの子供向け番組を惰性で観て、各地のニュースや天気予報をつきあって、夜七時となって少年の夏休みの一日はぼちぼちと過ぎていった。

夜は時には花火をやった。 特別に50円くらいの小遣いをもらって買ってきたのかもしれない。

筒状になっていて、火の球を5メートルほど連続発射する「15連発」や、地面において導火線に着火すると円谷特撮の火山の噴火のようになる、単二乾電池くらいの大きさの「ドラゴン」、

やたらパチパチと明るい光を発するピストルの形をした「サーチライト」、手に持つものでは先が金・銀紙で巻きつけられた明るい光とこぼれる火花を発する花火、針金の廻りにキリタンポのような火薬が付いてるもの。

「マグマ大使」のロケット噴射のような、アセチレンバーナーのような炎を吹き出す花火などがあり、テレビの特撮もこんな仕掛けを使っているのかなと思ったものだ。

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ローレライ

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発売日:2005/08/19
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邦画メモ、NO,33、レンタルDVD

2005年、配給東宝、シネスコサイズ、128分

珍しく横長シネスコ調の画面。最近はDVD化するためビスタサイズにするのが普通だが、潜水艦の長さを強調する為にこのサイズにしたのだろうか。

監督- 樋口真嗣、 脚本- 亀山千広、 撮影- 佐光朗、

音楽- 佐藤直紀

出演- 役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢、

堤真一

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樋口監督は平成ガメラの特撮を担当して、旧態依然の東宝・円谷特撮の流れを翻し、特撮ファンの希望に答える新しい光を発した人だが、今回の映画はどうしたものだろうか、実写特撮をいっさい廃し、コンピューターによるVFX映像の採用に徹している。

思うに、樋口監督は本編の監督・演出に力をいれるべく、特撮はVFXの専門家にゆだねたのだろうか。

それにしては、この映画のVFXはプアーで、その映像は、しょせん、どんなにがんばったところで、「U・ボート」や「U-571」などのラージスケール・ミニチュア特撮の質感にはとうてい及ばず、そのプレイステーション的映像は、「本モノと思って観てください」という円谷特撮のレベルとたいして変わらないものになってしまった。

とはいえ、この映画のストーリーは大変面白く、よくこんな話を考えたものだと関心した。 内容は、もうSFといってよく、私のオヤジの年代では「荒唐無稽」と一括される話である。 そう、大昔の軍国少年向け小説、例えば海野十三などのものに見られる話といってもいい。

原作は小説のようだが、原作者、あるいは脚本家は太平洋戦争について十分取材したのだろうか。あるいは軍事・戦略のオーソリティに監修してもらっていただろうか。たいして詳しくない私でさえも、どうも不十分だと思われるシーンが多々あった。

それは

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●潜水艦の艦長役の役所広司、特攻乗組員、あるいは堤真一のアシスタントの兵隊が長髪であること。 ・・・・・ これはもう日本兵としてはありえないヘアスタイルではなかろうか。

監督が丸坊主になることを要求しても、俳優の所属事務所がOKしないことは十分考えられるが、私が監督だったらこういうことは絶対許さないことだ。丸坊主頭になることをいとわない俳優さんに出演していただく。

●敬礼の仕方が海軍的でない。・・・・ どういう敬礼が海軍のやり方なのかは小津監督の「秋刀魚の味」を観ていただきたい。

●その長髪の特攻青年が帝国軍人らしくない、凛々しくない。・・・・ たとえ上官に不満があったとしても、一兵卒が敬礼もせず、グダグタと艦長に直訴するなど当時では考えられないことであり、とうていありえないことである。 

●アメリカ政府がテロリストというべき一日本軍将校と交渉し、ローレライと引き換えに東京に原爆を投下するという、マンガチックな設定。 ・・・・ 戦略的にも政治的にも、皇居と日本政府とアメリカ大使館とアメリカ兵捕虜収容所がある東京に、アメリカ政府が原爆投下を命令するという無意味なことは、天地が逆さまになってもありえないことであり、原作者・脚本家の幼児的センスにあきれてしまう。 所詮、大人の鑑賞に堪えられない話。

●戦闘行動としても、ありえない設定があった。米駆逐艦を、イ号潜水艦武装の砲塔で撃沈させてしまうが、仮に口径127ミリ程度の砲弾2発を命中させても、駆逐艦はビクともしないはずである。

●同じく戦闘態勢として、テニアン沖に、米駆逐艦が何十隻もひしめきあっていたが、これも軍事行動としてありえない、マンガチックなシチュエーションではないだろうか。 

●その他、脚本の不備。

・米駆逐艦が味方駆逐艦2隻が撃沈されても、残存兵の救助に行かないこと。 ・・・・ 駆逐艦というのは味方兵の救助が第一任務ではなかろうか、特に人命重視のアメリカ軍においては。

その任務を捨てても敵潜水艦を追うのは、もう艦長のパラノイアと言ってもよく、「駆逐艦ベットフォード作戦」の艦長のような強烈な異常心理がなければ説明できない行動だ。部下が救助の意見上申しないのもおかしい。そういう状況のシーンを追加すべきだ。

・ローレライの存在は口外するなと、艦長が命令していたが、いつのまにか乗組員が彼女の存在を知っていた。・・・・ 間の説明を飛ばしてしまっている。

・ローレライの娘の存在がバレるまで、石黒賢が彼女に食事を運んでいたのだろう。とうてい彼女を隠しきれるものではない。 それとも人工透析機のようなもので栄養を補給していたのだろうか。

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U-571

U-571 DVD U-571

販売元:ギャガ・コミュニケーションズ
発売日:2008/02/01
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特撮メモ、NO,22、NHKBS

2000年、ユニバーサル、116分

監督- ジョナサン・モストウ、撮影- オリヴァー・ウッド、

音楽- リチャード・マーヴィン

出演- マシュー・マコノヒー、ビル・パクストン、ハーヴェィ・カイテル

ジョン・ボン・ジョヴィ、ジェィク・ウェパー

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今まで観たなかで一番すばらしい潜水艦特撮。

完全に脱帽、マイリマシタ。

造形においてVFXは使用されず、ラージスケール・ミニチュア特撮にこだわっている。

やっぱり本モノに勝るものはない。水の表現、爆発、炎、泡の動きは、どうあがいてもコンピューター映像ではうまく表現できずウソくさくなってしまう。

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・冒頭、ドイツ、ユー・ボートにより、貨物船が爆破される。そのパイロの炎のすばらしいこと、ハイスピード撮影も遅からず、早からずでピッタシというところ。

・海上ロケにおける潜水艦のスケールは実物大をはじめ、急速潜行シーン、水中シーンでは「Uボート」のように全長15メートル前後のミニチュアモデルを使用している。 その圧倒的存在感がいい。

・魚雷発射シーンでは魚雷が泡を吹きながら正確に直進しているが、この操演は難しく、魚雷ミニチュアに釣り糸のようなテグスが通してあり、ガイドされているかもしれない。過去のL.B・アボットの特撮では糸が見えてしまっている。この映画ではそのテグスが写りこまないようにCG処理で消してある可能性もある。 しかし見事な撮影。

・爆雷の水中ファィヤーボールの撮影も見事。水の爆圧を感じる。

・ドイツ軍・ユー・ボートの魚雷被弾の撮影が最大の見せ場。ブリッジから本体中央にかけて、爆圧で潜水艦表面が一瞬膨らみ、鉄板の薄さを描写している。こういうリアリズムと撮影センスは日本の過去のミニチュア特撮ではありえない。

・残念なのはドイツ駆逐艦の爆破シーンで、実際の駆逐艦映像に、CGではめ込んだパイロ映像だった。しかもお粗末な処理で、せっかくだからこれもラージスケールミニチュアでぶっ飛ばしていただきたかった。

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宮本武蔵、キャスティング-2

宮本武蔵(一)
配信元:電子書店パピレス
提供:@niftyコンテンツ

- 地の巻 - 「孫子」 から - 水の巻 - 「陽なた 陽かげ」 まで

沢庵によって捕らえられた武蔵(三船敏郎)は千年杉の2丈の高さに縛られてしまう。 1丈とは5尺未満なので、地上から3メートル位のところだ。 だが、映画では稲垣作品でも内田作品でも、芋虫のように枝から武蔵は後ろで手に縛られ吊り下げられていた。 これは映画のウソというもので、あのような体形で何日間も人間は生きて耐えられないはずだ。

武蔵は姉、お吟(原節子)を救出しようと番所へ乗り込む。

その時の武蔵の強いこと強いこと。 数十人の番士たちを、はがした木板ひとつで叩きのめしてしまう。しかも飛び交う矢が一つも彼に当たらない。

まるで、乗り込んだ敵地で一発も銃弾が当たらないランボーやシュワちゃんみたいだ。

お通(八千草薫)は武蔵と一緒に着の身着のまま遁走するが、髭の男、青木丹左衛門(浜村純)より手に入れた慶長大判を懐に入れているはずである。両替すれば10両くらいだろうか。この時代の1両は幕末より高いので、今なら300万円くらいかもしれない。当座の路銀としては十分でなかろうか。

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・七宝寺の住職       ・・・・・ 加藤 嘉、 青木丹左衛門に始終気を使う。

・七宝寺の納所       ・・・・・ 加藤 春哉、 寺の若坊主、オドオドしている。

・姫路の城主、池田輝政  ・・・・・ 丹波 哲郎、 沢庵と懇意。

・又八の叔父、権爺、    ・・・・・ 小杉 義男、  お杉婆のパートナー。

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「吉岡染」から

・吉岡清十郎        ・・・・・  佐田 啓二、  剣の腕はあるが坊ちゃん。

・吉岡伝七郎(弟)     ・・・・・  木村 功、 正義感があり、現実的。

・祇園藤次(弟子)     ・・・・・   田崎 潤、 清十郎のマネージャー。

・植田良平(老いた弟子) ・・・・・  潮 万太郎、一行のコメディーリリーフ。

稲垣作品ではこの辺りの俳優さんは誰だったろうか。 弟の伝七郎は藤木悠だったはずだが、他はあまり記憶にない。       

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宮本武蔵、キャスティング-1

宮本武蔵(一)
配信元:電子書店パピレス
提供:@niftyコンテンツ

- 血の巻 - 「鈴」 から 「茨」 まで

関が原の戦いで負け戦の野にくたばっていたのは17歳の武蔵と又八であるが、三船敏郎と三国連太郎に演ってもらうには、これまた少々老けすぎて見える。

この二人が出演している稲垣浩監督の「宮本武蔵」リメークは、昭和29年の作品であるが、この時ご両人とも30歳前後ではなかろうか。

例えば実年齢が30歳くらいでティーンエィジャーを無理なくこなした俳優さんというと「七人の侍」で勝四郎を演じた木村功さんなどがいる。 この方は晩年でも万年青年と言われ、たしかに童貞とも思える雰囲気を持つ若々しさがあった。

三船と三国には青年期を演じさせるには少々不満なところがあるが、このまま稲垣作品からシフトして出演していただく。

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新免武蔵  ・・・・・   三船 敏郎

本位田又八 ・・・・・  三国 連太郎

お通      ・・・・・  八千草 薫、   この方意外は考えない。病弱でも強い意志を感じる人

朱美      ・・・・・  岡田 茉莉子、  原作では15歳であり、これも彼女では大人っぽい感じがするが、このまま出演していただく。

お甲      ・・・・・  水戸 光子、   このまま出演していただく、元日本軍帰還兵、小野田さんがファンだった人である。 中年の色気を持つ。「~かえ?」と言う喋り方がこの人に似合う。

辻風典馬   ・・・・・  加藤 武、  武蔵に叩きのめされるが、この俳優さんは時代劇ではそういう目に合うことが多い。

沢庵      ・・・・・  西田 敏行、  普段はバカなことを演じているが、実際は大変な人物。人脈も重い。 心の底ではお通を好いているが、そのアクションは一切起こさない。

お吟      ・・・・・  原 節子、   武蔵の姉。 出番は少ないが武蔵の理解者、心の支え。

お杉婆    ・・・・・   浪速 千栄子、 これは内田吐夢監督作品から起用。彼女以外考えられない。 オロナイン軟膏ぬってがんばっていただく。

どじょう髭の男 ・・・・・ 浜村 純、  姫路城の武士(青木丹左衛門)、お通のストーカー、後々まで登場する重要な役どころ。 いずれ改心するので生真面目さも必要。

・武蔵が最初に出会う村人 ・・・・・ 谷 晃  追加。

----- 武蔵のフラッシュバック映像に登場 -----

新免無二斉  ・・・・・  宮口 精二、  武蔵の父、剣一筋。実の子でも容赦しない。

武蔵の母    ・・・・・  田中 絹代、  武蔵にとっては聖母マリアのような存在

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原作をここまで読んで、疑問に感じていたことは、お杉婆の策略で武蔵は風呂に入って油断してしまうが、そのときまで武蔵の体は胃液を口から吐くほどのすきっ腹である。そんなフラフラの体で風呂に入れるだろうか。しかも「気持ちいい」とまで発言している。しかもその後大立ち回りまでやっている。ちょっと無理な運びと思う。メシを食わせてから風呂に入らせるべきだ。

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宮本武蔵、キャスティング

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前口上・・・・・・・・

秋風が吹くと読みたくなるのが、吉川英治の「宮本武蔵」で、武蔵がさまよう荒野はススキの原っぱという私個人の持つイメージだからかもしれない。

この原作は新聞の連載だったこともあり、たいへん読みやすく、東京大学や早稲田大学を出た大文豪の書くような美文調や古典調の小難しい文体はあえて使われていなくて、大変親しみやすく、上の学校に行けず独学した吉川英治の人柄が偲ばれる。

したがって映画化もされやすい小説で、さっそく戦前、戦中、稲垣浩監督によって映画となっている。

そのときの武蔵は片岡千恵蔵が扮しており、武蔵の晩年ならともかく、千恵蔵の武蔵はたいへん老けていて、私はミスキャストだと感じた。

尚、お通さん役は宮城千賀子で、30年ほど前、テレビ「独占・女の時間」の司会でガバイ婆ちゃんをやっていた人だが、70年前の彼女のお通さんは、労咳病みでか弱く、原作のイメージにぴったりのものだった。ただし彼女の演技はデビューしたてで堅く、まだダイコンであった。

また、佐々木小次郎はなんと上田吉二郎。「ヤローども、たたっ斬っちまえ、ブハハハハー」といまだモノマネにされるあの人である。原作では小次郎は美少年なんですが。

戦後、稲垣監督はカラー作品で「宮本武蔵」をリメークしている。

そのときのキャスティングは武蔵(三船敏郎)、又八(三国連太郎)お通(八千草薫)、佐々木小次郎(鶴田浩二)、朱美(岡田まり子)、お甲(水戸光子)である。沢庵は歌舞伎役者で、私はいまだ知らない人だ。

尚、又八役は続編では三国から堺左千夫に変更となっていた。たぶん三国のスケジュールの問題だろう。 これには当時の観客もズッコケただろう。

ところが、なんと三国は後年の内田吐夢監督の「宮本武蔵」で沢庵を演じているのだ。

その武蔵を中村錦之助が演じる内田監督の映画もすばらしく、稲垣監督のものと甲乙つけがたい。

しかし、稲垣作品のお通さんの八千草薫があまりにも可憐で強烈で、どうしても三船・八千草コンビのイメージに傾いてしまう。

数年前のNHKによるこの原作の大河ドラマは、私のVTR収録嫌いのためほとんど観ておらず、全く影響を受けない。

ということで、私のキャスティングは稲垣作品の役者を中心において進めたいと思う。

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愚痴・ぐち・グチ

江分利満氏の優雅な生活 DVD 江分利満氏の優雅な生活

販売元:東宝
発売日:2006/02/24
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ああ、今日は酷い日だった。

日本の株価がどんどん下がっている。瞬間では今年の二番底を形成してしまった。

どうして、日本の株は弱いのだろうか。農耕民族、日本人の性根が現れているみたいだ。 おどおどしているのだ。心配ばかりしているのだ。

映画「七人の侍」で、高堂国典演じる農民の長のセリフに、「百姓は雨が降っても、日が照っても、風が吹いても、ビクビクするしか能がねえー」というのがあるが、それに合わせれば、

「日本の株価はニューヨーク・ダウが下がったの、原油価格が上がったの、円高になったの、アジア株が下がったの、ビクビクするしか能がねえー」というところだろう。

全く日本株は情けない。

それに加え、オリンピックで野球が韓国に逆転されてしまった。昼のときには2点リードしていたので、まあ勝つだろうと予想していたのだが、夕方帰ってみると、テレビが全然騒いでいない。静かなのだ。 嫌な予感がしたが、7時のニュースでようやく負けたことが分かった。

なんということだ。女子ソフトボールの金メダルの雰囲気を星野ジャパンは相殺してしまった。

日本の株価が後場(午後)、低調だったのは、金曜日というのも理由だが、この野球の負けが影響しているのは間違いない。

ああ、面白くない。 黒犬。・・・尾も白くない。

私はシャレは嫌いだが、今回は特別。

面白くないので、テレビ東京の「ポチ・タマ」でも観ようと思ったが、が今日はやっていないではないか。 私の地方ではこの番組は金曜夜7時に放映され、毎週、ダイスケ君の天然バカを観るのが楽しみだったのだか、今週は時代劇スペシャル「刺客請負人」というドラマで「ポチ・タマ」は潰れてしまっていた。

なんということだ。ただでさえ、オリンピックのために、毎週楽しみにしているレギュラー番組が潰れてしまっているというのに。

おまけに、このドラマ「刺客請負人」というのが、チラット観た限り、内容はともかく、VTR収録を生の素の映像で放映するという、ひどい見せかたで腹が立ってしまった。

つまり、映像を擬似フィルム映像化していないのだ。ビデオテープ収録のまま、生のビデオテープ映像で放送している。

この方法だと、あまりにもシャープに見えてしまい、まるで収録現場を見学しているような雰囲気にさせらてしまう。 殺陣のシーンでは、その見学ロケのようなシーンに、効果音の刀の打ち合う音「チャン・チン」と、人を斬る音「ザバッ・ブシュ」が入っていて、ウソクサイことこの上ない。

さらに、家屋や武家屋敷が、太秦撮影所のセットを見ているみたいで、照明の具合と映像のシャープさにより、まったくチープに感じてしまう。

この番組のプロデューサーさんよ。ディレクターさんよ。時代劇では、VTR収録だとしても、フィルム映像化にするのが常識でしょうが。 フィルム映像だから、光と影が美しいんでしょうが。フィルム映像だから、セットや衣装やヅラのボロが隠せるんでしょうが。 オメーさんたちゃワカッチャイナイねー。

もし、予算の関係で、フイルム映像化(こういうことはIMAGICAが処理しているはず)ができなかったとすれば、番組企画の重役連中のアンタガタがワカッチャイナイねー。私と同じくらいの歳だと思うが。

面白くないので、NHK教育の「サイエンス・ゼロ」を観ようとしたら、これがまた再放送ときたもんだ。太陽の素顔、黒点の高温のナゾは、以前観たものだった。

NHKさんよ。ちょっと、本放送にしてもBSの映画にしても、再放送が多すぎやしないかい。

これまた面白くないので、TBSに換えてみると、例の大食いタレントが出ている。 私は大食いの場面を見るのが大嫌いである。 この女性タレントにしても、ホットドック早食いにしても、私は彼女ら彼らの食道や胃袋や十二指腸や小腸や大腸の中の状態がどうなっているか想像するだけでも気持ち悪くて観るに耐えられない。どうしてこんなものが流行るのだろうか。

今日はなんという最悪の一日だろうか。

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荒木又衛門、決闘鍵屋の辻

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( ↑、この映画のソフトがありません。)

邦画メモ、NO,32、NHKBS

1952年、東宝、スタンダード、白黒、画質不良。

監督- 森一生、 脚本- 黒澤明、

撮影- 山崎一雄、 音楽- 西梧郎、

出演- 三船敏郎、片山明彦、小川虎之介、志村喬、加東大介、

千秋実、高堂国典、左卜全

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そもそも、歴史に弱く、また講談によるこの話を聞いたことがないので、なぜ、仇討ちをするか、その理由が分からなかったが、検索して調べてみると驚いた。

河合又吾郎の側室の女性の代わりをする役目、つまり男色問題からきているという。 こんなことで、殺傷事から仇討ちへと事件が進むのは前代未聞のことだろう。今なら週刊誌や写真雑誌のネタだ。

脚本が黒澤ということで、やはり、リアリズムを問う展開だった。

講談では荒木又衛門は36人を切ったということであるが、実際は二人しか切っていない。人を刀で殺めるということが、芝居と違ってどんなに大変であるか・・・という映画である。 (とはいえ、黒澤は後の「椿三十郎」で、三船に30人ほど連続で斬らせているのだが。)

このアプローチは私の、前々からの興味事項であり、おおいに黒澤明と共鳴するところがある。

前にも書いたが、天下泰平の当時にあって、武士が刀を抜いて人に向けるというのは、現代において、警察官が拳銃を現場で抜くに等しいことであり、一生に一度あるかないかの事だと思う。

よって、侍とて人の子、実際の現場では刀を構えてもヘッピリ腰になる者もいたであろう。

という展開が、仇討ちシーンで繰り広げられるが、数馬役の片山と、加東、小川の三人は極端にオーバーなヘッピリ腰に描かれていて、それがまた繰り返され、しつこくて、逆にリアリズムを損ねているように感じた。

また、居酒屋・鍵屋の親爺、高堂国典も始終ビクビクしすぎで、演出が単調だ。

ただ、三船の又衛門は、いまにも血管が切れそうな緊張度が良く演出されていた。三船敏郎という、生真面目さを前面に噴出させたベストキャスティングだといっていい。

リアリズムといえば、この映画においても、斬られても着物は裂けず、血だまりなど、ほとんど見られないが、そういう特殊撮影は昭和27年当時ではまだない。このころはGHQが消滅し、チャンバラ映画の解禁となったはずだが、リアリズムをめざしたとはいえ、血だらけの残酷映像は思いもよらなかったのかもしれない。

また、人を斬るときの「バサッ・バサッ」という効果音も無いが、これは実際でもこの通り、あんな大きな音はしないのではないだろうか。だからかえってこのほうが不気味な現実味を感じる。

荒木又衛門はこの事件で、自分の名刀を折ってしまったそうで、映画でも堺左千夫のめくら滅法に合い、折られてしまうのだが、刀というのは横から衝撃には弱いのかもしれない。

以前、テレビ「トリビアの泉」で、日本刀が、発射された拳銃の弾を二つに裂き、なおかつ、ブローニングM2マシンガンの50口径弾にも、数発の被弾に耐えたのは、驚いたとともに感動したものである。

決闘シーンの撮影は東宝の砧撮影所で行われたものと推測する。この場所のバックの遠景には必ず松ノ木が何本か見える。ハリボテの石垣がプアだった。

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高校野球は苦手です。

今ありて Music 今ありて

アーティスト:谷村新司
販売元:エイベックスイオ
発売日:2008/03/19
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毎年、春と夏の選抜高校野球のテレビ放映があると憂鬱になります。

私、高校野球が嫌いなんであります。イヤなんです。

テレビの中継はもちろんのこと、ニュースでも高校野球の結果やハイライトシーンになると、間髪入れず、リモコンで他のチャンネルに切り替えます。

できるだけ高校野球という存在が目に入らないよう、耳に聞こえないように心がけています。

特に夏の高校野球は嫌です。

理由は

① 観ていて暑苦しい。 炎天下、応援団も選手も、ひたすら我慢・我慢の試し合いをしている。

② 太平洋戦争の匂いがする。その理由。

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1、 敗戦日の8月15日を挟んで試合が行われる。

2、 まるで軍隊召集・入営を祝うような旗を振った壮行会と見送りが行われる。

3、 開会式は太平洋戦争末期の学徒出陣式のように見える。・・・。一糸乱れぬ場内行進は戦時中撮影された大学生の学徒出陣式の記録映画のようだ。あるいは将軍様の国の軍事パレードを想像してしまう。

4、 選手の丸坊主頭が兵隊さんに見えてしまう。・・・ 長髪も嫌だけど、普通の髪型の選手団がいてもいいのでは。他校がそうだから、ウチの高校もそうしようという事なかれ主義もイヤ。

5、 いまだ神風特攻隊のような精神主義が感じられる。・・・ あきらかにアウトとなると分かっていながら、全力疾走してベースに突進するあの自爆的ウソクサイ動作。

6、 プレーポールはサイレンの音で始まる。・・・ あの音は空襲警報を連想するんですな。

7、 学校の中のたった一人の不正により、出場停止となってしまう全体主義。これは陸軍内務班で一人の不始末が全員の責任になってしまう軍隊のイジメのなにものでもない。

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③ 野球はゲームでなく、真剣試合であるという、取り巻きの年寄り衆の考え。・・・ 彼らは野球は精神と肉体の鍛錬を伴う競技であって、よってグランドは神聖な場所であり、ツバを吐くなどとんでもないというアナクロニズムが嫌。

④ その年寄り衆の一部が監督となっている。彼らは少年時代に観た「巨人の星」を手本にしている傾向がある。 つまり努力・ど根性を美化している。・・・ 「のどが渇くのは精神がたるんどる証拠だ」。・・・ こういう監督は今はさすがにいないと思いますが、でも、まだ感じるんですな。

⑤ 高校野球球児の青春のサワヤカサを演出するNHKの放送。・・・ 特に出身校を紹介するときの音楽、ター・タッタッタッタ・ターラ、タッタタッタ・ターラーラー、という曲の「青年の主張」的・「明るい農村」的、「昼のいこい」的、高校生の純粋さ・あどけなさの演出が嫌。これは、かつての「オールナイト・ニッポン」でのタモリの心境といってもいい。

⑥ 球児はそのサワヤカな青年をグランドでは装っている。 ・・・ つまり裏では眉毛を薄くし、吊り上げ、髪に剃り込みを入れ、ヤンキーとなって下級生をイジメている。・・・ ま これはほんとに一部の例ですが。

と いうわけで、私の思いもちょっと極端かもしれませんが、野球はやっぱりプロ野球、そしてメイジャーリーグの「ベースボール」が私にはいいですな。

ところで、日本人はそのアメリカのイチローが活躍しているプロ野球を「メジャー・リーグ」と言っていますが、この発音では「巻尺連盟」になってしまうんですな。

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東海道四谷怪談

東海道四谷怪談 DVD 東海道四谷怪談

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/01/25
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邦画メモ、NO,31,NHKBS

1959年、新東宝、シネスコサイズ、カラー、76分、画質普通

監督- 中川信夫、原作- 鶴屋南北、

撮影- 西本正、音楽- 渡辺宙明

出演- 天地茂、若杉嘉津子、江見俊太郎、池内淳子

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面白かったー。2回観ました。堪能しました。

映画だけど、御ひねりをステージに投げてやりたい。今なら500円玉を包んでやればいいだろうか。

お岩さんのことはなんとなく知っていたけれど、ストーリーは全然知りませんでした。 話は作者の脚色によって違うらしいのだけれど、とりあえず鶴屋南北の作を今回、勉強しました。

映画は始めに芝居の舞台を見せてくれます。 「これは映画だけれど、半分は芝居だと思って観てください。」というわけである。

ということで、舞台のように話の幕切れがあり、そのつながりは完全な省略主義。 言ってみれば説明不足が多々ある。 

でも、「お岩さんの話はみなさんお馴染みでしょう。細かい説明は野暮ですから省略します。」という制作方針。これはかえって大胆ですっきりしている。

完全に舞台芝居かというとそうではなく、華麗な映画テクニックを見せてくれる。

冒頭のお岩の父の惨殺シーンでは、溝口映画のようなワンショット長廻しで緊迫感ある映像を見せてくれる。

それに、もう50年前の映画でありながら、近年のホラー物の基本がある。

音楽なら、シンコペーションのような間を使ったカメラの使い方、つまりフェイントを使ったドッキリシーンや、地面から手や顔が這い出してくる演出は、後年のハリウッド映画がマネしているのではないかと思うほど。

光と影の使い方がすばらしい。原色・赤の使い方もいい。

下から仰ぎ見るカメラ、上から覗き見るカメラ。等々、飽きない撮影も楽しめる。

この映画で撮影監督の西本正氏というテクニシャンを知った。

音楽は怪談芝居のような単純なヒュー・ドロ・ドロではなく、暑苦しい胡弓の音を使った「怨念」を感じるもので、ユニークだった。オープニングでは歌舞伎の邦楽を使っていた。

また天知茂(この人が武士をやると、どうも平手造酒をイメージしてしまう)をはじめ、あまり知られていないお岩さん女優の迫真の演技(赤ん坊をかかえているので何度もNGが出たでしょうね)、それに直助の男優さんも演技がよかった。

原作がそうだと思うが、お岩を殺めた伊右衛門が完全な悪党ではなく、心底では咎めていて、お岩に詫びを乞うているのは、いかにも日本の話らしい。外国の話では、こういう展開は絶対ありえないことである。

ローテクでもこれだけ怖い映画ができることに感嘆した。

それに、怖い一方、人の情けやお岩を不憫に想う日本人の心情・やさしさを刺激しているのがウマイナー。

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愛の調べ

 Movie/愛の調べ Movie/愛の調べ
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洋画メモ、NO,38、ワンコインDVD

1947年、MGM、スタンダード、白黒、118分、画質不良

原題- SONG OF LOVE

監督- クラレンス・ブラウン、音楽監督- Bronislau.Kaper

ピアノ- アルトゥール・ルービンシュタイン、

楽団- MGMシンフォニーオーケストラ、指揮- ウィリアム・スタインバーグ

出演- キャサン・ヘプバーン、ロバート・ウォーカー、ポール・ヘンドリー

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ワンコインDVDの売り場には、なかなか欲しいものが並んでいないものだが、めずらしく前から気になっていたものがホームセンターにあった。

音楽家の伝記映画としてはよく出来ていて、さすがMGMという感じがした。それというのも以前観た「楽聖ショパン」の出来がよくなかったので。

劇中に流れるピアノ曲の吹き替えはピアニストのルービンシュタインが演奏している。ただし、彼の名はクレジットタイトルに載っていなかった。

彼の自伝によると、この仕事は楽しかったそうだが、俳優や状況による弾き分けがむずかしかったようだ。 ヘプバーンの弾きマネは良かったとも言っている。ただし、私には彼女の和音を弾いた後の受身が下手に見えた。

こういう撮影用のピアノは音が出ないようにしてあると思う。しかし、ダンパーのメカはちゃんと動いていた。

ヘプバーンのクララはあまり似合っていないように感じた。実際のクララの肖像画(映画の中でも壁に掛かっていた)を見ると、丸顔で小柄な人である。同じヘプバーンでもオードリーの方が似ている。とはいえ当時は彼女はまだデビューしていなかったので無理な話だが。

シューマン役のロバート・ウォーカーも少し老けて見える。ピアニストのアシュケナージに感じが似ていた。

ブラームスのポール・ヘンドリーは似合っていた。それに彼のピアノの弾きまねは一番うまかった。

リスト役の俳優は知らないが、これも老けすぎ。それにもっとイケメンでなければならない。私にはドラキュラに見えた。 あの当時は「恋人にするならリスト、夫にするならショパン」という言葉が独身女性の間で流行っていたのだ。

ところで、ピアニストのリヒテルも映画でリストの役を演じたことがあるが、かれのほうがカッコヨカッタ。それに弾きマネではなく、実際に超絶技巧を披露している。

リヒテルのリスト

http://jp.youtube.com/watch?v=pug_j54MI08&feature=related

シューマンの「献呈」をリストが編曲してゴテゴテのテクニックで披露したのを、クララが端正なオリジナルの演奏で弾きなおし、リストをいさめたのが一番印象に残る。 この曲のコーダには「アベ・マリア」のフレーズがあり、たいへん気持ちを穏やかにさせてくれる。

劇中に流れる曲目をメモすると。

リスト、ピアノコンチェルト1番。

シューマン、「子供の情景」-トロイメライ。

シューマン、「献呈」

ブラームス、ラプソディー、スケルツォ?、ワルツ、子守歌

リスト、メフィストワルツ・・・リストが弾いている最中、ピアノの弦が切れてしまう。

シューマン、トッカータの数小節。

シューマン、「謝肉祭」のドイツ風ワルツ、告白、プロムナード、行進曲。

ブラームス、交響曲。

シューマン、アラベスク、交響曲。

エンディングに

シューマン、ピアノコンチェルト1番。トロイメライ。

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崖の上のポニョ

崖の上のポニョ サウンドトラック Music 崖の上のポニョ サウンドトラック

アーティスト:久石譲,林正子,藤岡藤巻と大橋のぞみ
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
発売日:2008/07/16
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あれ? これで終わりなの。

エンディングの「おしまい」の文字が画面に出たとき、そう思った。

もう少しアニメーションを見たかった。

絵本的なタッチが面白く、その中で、人物・・・ポニョやそう介たちのフルアニメーションの動きが良かった。

宮崎アニメでは人物の垂直に動くときの動画がとくに面白く、そう介が崖から降りてくるシーンはロトスコープなみの細かく滑らかな動きで目を見張る。

また、ポニョの母親の動きも超フルアニメで色っぽい。

海の波はディフォルメされていて、もはやアートである。

ポニョはトトロのメイのように愛くるしい。特に大波に乗って走って来るシーンは何回でも観たいものだ。これもフルアニメで一瞬たりとも目が離せない。

過去の作品からのつながりとしては、ポニョは「トトロ」のメイ。フジモトと老人たちは「ハウル」から。不気味なトンネルは「千と千尋」をイメージする。

この映画で、物語の説明や構成に対して、「なぜ」、「どうして」、「WHY」と求めるのは野暮な気がする。 単純に絵本の世界とアニメートを楽しめばいいのではないか。

宮崎監督も晩年の黒澤明のようになってきたのだろうか。理屈や観客の解釈を超えてきたような気がする。

夜空の星なども美しく幻想的で、色鉛筆調の背景も、おそらくDVD化すればもっと綺麗だろう。 私の観た映画館のプロジェクターは光源が暗くて色が冴えなかった。

そう介が母親と父親を友達のように名前を呼び捨てにしていたが、最近の子供はそういう習慣なのだろうか。アホな私は一瞬、歳の離れた兄弟かと思ってしまった。

音楽はチャイコフスキーとワーグナーをチョットバカシ感じた。でもフルオーケストラの音響はすばらしかった。

宮崎アニメとしては珍しくアマ無線の描写があった。リサの使っている無線局のコールサイン、JA4LLは検索したら存在しない局であった。たいへん古いコールサインなのだが、私は承諾を取って使ったのかと思った。 無線機はアイコム製のもので、使用した周波数は50.194メガヘルツだったと記憶する。 無線免許の無い?そう介がマイクに向ってしゃべっているが、バック音声を拾ったということで、法律的に拡大解釈できるだろう。

リサとそう介のライトを使ったモールス信号が実際の文字と合っていたかどうかはDVDで確認したい。どうでもいいことだが。

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