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妻の心

成瀬巳喜男 演出術―役者が語る演技の現場 成瀬巳喜男 演出術―役者が語る演技の現場

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邦画メモ、NO,30、NHKBS

1956年、東宝、スタンダード、白黒、97分、画質普通

制作- 藤本真澄、脚本- 井手俊郎、監督- 成瀬巳喜男、助監督- 梶田興治、

撮影- 玉井正夫、音楽- 斎藤一郎、

出演- 高峰秀子、小林桂樹、三好栄子、千秋実、中北千枝子、根岸明美、三船敏郎、

田中春男、杉葉子、加東大介、沢村貞子、北川町子、塩沢登代路、本間文子、土屋嘉男

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東宝の知ってる俳優さん、好きな俳優さんばっかりで、その顔ぶれを観るだけで満腹しました。

高峰秀子さんはほとんど和服で登場。地味な生地で清楚。似合っている。この女優さんの半生は、たいへん気の毒な私生活だったことを最近知った。女優業もイヤイヤ仕方なしにしていたということらしい。

成瀬映画にめずらしく三船が出演、野武士やヤクザや侍でなく、背広でバッチリきめた銀行員というインテリ役で、アクションのない彼もまたいい。

高峰とは心では惚れあっているのだが、声に出して言えない。このデクノボー的演技が、黒澤映画でのダイナミックさとは対称になっていて、また違う三船の顔が見られた。私生活での三船も不器用な人物でこのキャラに近いのではないか。

二人が茶店で雨宿りしているときの目の演技がいい。

裸の大将から総理大臣までこなす小林桂樹さんは高峰の夫役なのだが、今回は意志の弱い人物を好演。社長シリーズでの秘書のように「ハイーッ」と言って走り回るのでなく、まったくボソボソした人間なのだが、やっぱりなんでもできる俳優さんだ。

成瀬映画定番の金の工面に困る話。借金して予算100万円で喫茶店を開業するのが話しの柱となっている。高峰と小林が、裏の空き地でテーブルやカウンターの位置を想像するシーンは黒澤の「素晴らしき日曜日」を思い起こす。

最近亡くなった根岸明美さんが、ごく普通の娘さん役で出演している。洋服を着ていてもたいへんグラマー。

甲斐性のない千秋実の夫をもつ中北千枝子さんは成瀬映画のレギュラーと言ってもいい。この人はこういう情けない夫を持っているか、子供を連れた未亡人、あるいは離婚した役がほとんど。

加東大介、沢村貞子の兄弟は喫茶店経営の夫婦として出演。ふたりともコズルイ役も結構、映画では多いが、今回は全くの善人、喫茶店の開業のため調理を勉強する高峰をやさしくバックアップする。 この喫茶店のシーンはこの映画で唯一明るく楽しい。この二人の息がぴったりで、実の兄弟であることは観客も分かっているので、このキャスティングは監督かプロデューサーの作戦かもしれない。

塩沢トキさんがちよっとオテンバな芸者役で朗らかな顔を見せてくれる。このころは登代路という名だった。基本的に美人で、たしか東宝ニューフェースの応募で狭き門をくぐって女優になった人である。

喫茶店の開業のシーンはなく、高峰と小林がなんとなく、よりを戻して、二人の笑顔で終わりとなるが、文学的センスの無い私は開店シーンまで見たかった。

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