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ルシアンの青春

ルシアンの青春 DVD ルシアンの青春

販売元:紀伊國屋書店
発売日:2006/07/29
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洋画メモ、NO,29,NHKBS

1973年、フランス、イタリア、西ドイツ、140分

監督- ルイ・マル、撮影- ドニーノ・デリ・コリ、

音楽- ジャンゴ・ラインハルト楽団、アンドレ・クラヴォ、イレネ・ド・トレベール

出演- ピエール・ブレーズ、オロール・クレマン、オルガー・ローヴェン・アドラー

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洋画オンチで、特にフランス、いやヨーロッパの映画はサッパリなのだが、とりあえずこの映画の監督を覚えた。

この監督は、クストーの海洋ドキュメンタリー映画の助手をしていた人で、「死刑台のエレベーター」の監督だということだ。キャンディス・バーゲンの旦那だったこともあるという。

この映画は公開当時、雑誌の「スクリーン」か「ロードショー」に紹介されていて、あの当時気になっていた映画である。

タイトルも耳に心地よく、記憶しやすい。ただし原題はラコーム・ルシアンという、人の名前だけで「青春」と言う意味は無く、日本で配給会社が入れたものだろう。

雑誌の紹介記事に載っていた写真は男女のヌードだったはずだ。だからよけい記憶していたわけだ。

最初、観ていて眠かったが、フランスの田舎の風景がよかった。セミが鳴いている。 

このセミという昆虫はヨーロッパでもフランスからスペインあたりにしか生息していないと聞いている。 ドイツから上ではセミの存在すら知らない人もいるようで、日本映画でセミが鳴いているシーンに出くわすと、変なノイズが録音されていると苦情を言う人もいるという。

出演のピエール・ブレーズは公募された素人俳優で、やはり主人公と同じ、田舎住まいの若者なのだろう。鶏やうさぎのシメ方が堂に入っていた。そういうこともオーディションの条件だったのだろう。

銃や拳銃の音が「タン・タン・タン」と乾いた音で実際の銃声に近く、現実的で恐ろしく聞こえた。ハリウッドや日本の映画で使われる銃声の効果音はすべてインチキで、ただカッコヨク聴こえるように作り上げたニセモノの音である。

ルシアンは最初レジスタンスを志願するが、叶わないとなると、運命のイタズラも作用し、逆方向のゲシュタポの片割れになってしまう。

その運命のイタズラとは自転車のタイヤがパンクし、外出禁止の夜10時過ぎに街に着いてしまったことだ。そこでドイツ警察に引っ張られ、組織に入らされてしまう。

こういうことは今の日本のワケェー連中でも十分ありえることで、最近のムゴイ犯罪に至るきっかけも、それに近いことがあるかもしれない。黒澤映画「野良犬」の遊佐もそうかもしれない。

ヤダヤ人の仕立て屋の娘・フランスとの出会いは少し不自然な感じがした。彼女のルシアンへの態度がフラフラしていて、観ているこちらも煮えきれない。

ルシアンとフランス、その祖母との逃避行中で「その後ルシアンは死刑となった」というテロップでプッツリと映画は終わる。

映画の処理としてはそれでよかったのか私にはわからないが、物足りなかった。これもフランス・ニューシネマの終わり頃の作品だということか。

フランスはピアノを弾いていたが、最初はシューマンの「謝肉祭」の「前口上」の数小節を弾き、その後ベートーベンの「月光」の第三楽章の練習、そして第一楽章を弾いていた。

三人の逃避行中、廃屋を見つけて隠棲するが、ルシアンとフランスが野原で戯れているとき、唐突にフルートの音、あるいはそれに近い吹奏楽器による不可思議なメロディーの音楽が流れる。

あの音楽は、まもなくルシアンの人生が終わるという、最終楽章かもしれない。

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コメント

放送していましたねぇ。
私もヨーロッパ映画、特にフランス映画はさっぱりです。アラン・ドロンさんのは少しだけ、観ていますが。どちらかと言えば、イタリア映画の方が好きです。BSで何本かフランス映画の放送がありましたね。「鬼火」だけ見て後はパスしてしまいました。これもルイ・マル監督なのですね。「死刑台へのエレベーター」は観ました。あれは名作ですね。「ルシアンの青春」も暗い映画ですか?


投稿: マーちゃん | 2008年6月14日 (土) 23時56分

マーちゃん。おはようございます。
私はドロンの映画もあまり観ていません。録画しているのもあるのですが、そのままです。
ゴダールの映画など、映画学科の学生などは必見でしょうが、未だ手付かずです。
「鬼火」もやっていましたが、この監督のものとは知りませんでした。「ルシアンの青春」もそうですが、ああ面白かったと言う映画ではなさそうですね。
「ルシアン」もテンポが遅く、劇的でなくて、明るくはないですがフランスの里山の描写が画面を救っています。
BSはまた再放送するでしょうから、いつかごらんください。

投稿: スタンリー | 2008年6月15日 (日) 08時50分

ルイ・マルさんは、私が大ファンのジャンヌ・モローを
多く起用していた事や、音楽の使い方と流麗な映像で、
好きな監督の一人でしたが、この時代のフランス映画は
ヌーヴェルバーグの影響か“ハッキリしない、ウジウジした”
のが実に多く、頭を抱えるようなのが多かったですねぇ。苦笑

オムニバス「世にも怪奇な物語」でアラン・ドロンが出た
エピソードはマルちゃんが監督を担当してますよriceball

投稿: ぱんだうさぎ | 2008年6月15日 (日) 11時41分

ぱんだうさぎさん。こんばんは。
ルイ監督は音楽の使い方と映像が流麗ですか。勉強になります。クストーの記録映画に係っていたということで、私は親しみが湧きました。子供のころから観ていますからね。
ハッキリしない感じもよく分かりました。
ワザと分かりやすい映画にしないという作為もあるかもしれませんね。
「世にも怪奇」のドロンのエピソードは好きな作品です。
トランプのシーンが好きです。
今回はいろいろ学習しました。ありがとうございました。

投稿: スタンリー | 2008年6月15日 (日) 20時02分

おはようございます。
当分の間、ブログをお休みします。再開するかどうかは未定なのですが、スタンリーさんのところへは、今まで通り、お邪魔しますので、相手をしてやってくださいませ。

投稿: マーちゃん | 2008年6月17日 (火) 09時47分

マーちゃん。こんばんは。
わざわざお知らせいただきまして恐縮です。
しばらくお休みとはさみしいですが、復帰を心待ちにしております。

投稿: スタンリー | 2008年6月17日 (火) 20時43分

フランス映画は私も昔はあまり好きではなかったです。
なんか男はすぐ恋に落ちて、女はすぐ何人も恋人作って…、
ま、イメージですよ、私、子供だったから(ゴッツン!)
今はヨーロッパの映画、大好きです、大人になったから(バシッ!)
ところで今更ですが、こちらでもリンクさせてもらいました。

投稿: バルおばさん | 2008年6月18日 (水) 19時11分

パルさん。こんばんは。
直ぐ恋人を作って・・・言えてますね。
イタリア映画だともっとそれがダイレクトですね。
私は英語もろくっすっぽわからないのですが、フランス語、ドイツ語、はたまたスウェーデン語などニュアンスさえサッパリで、そういうことも疎遠になっている原因です。
ただイタリア語は音楽と同調していて、心に響いてきますね。
今はどんどん見ていこうと思います。
リンクありがとうございます。
パルさんの沢山のお仲間に参加できて光栄です。

投稿: スタンリー | 2008年6月18日 (水) 21時03分

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