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灰とダイヤモンド

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洋画メモ、NO,31,NHKBS

1958年、ポーランド映画、白黒、スタンダード、103分

原作- イェジー・アンジェイエフスキー

監督- アンジェイ・ワイダ、 撮影- イェジー・ウォイチック

出演- ズビクニェフ・チブルスキー(マチェク)、エバ・クジジェフスカ(クリスチーナ)

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ワイダ監督のドキュメンタリーをNHKBSで放送したので、これを機会にと、彼の監督作品で以前録画しておいたものを観た。

ほんとうは「地下水道」を観たかったのだが、録画していなかった。

ポーランド映画は実は初めて観る。ポーランド語がサッパリ分からない。ロシア語に近いので、ダー、とニェットくらいは分かるがもともとロシア語すら分からない。 音の雰囲気としては、ロシア語はサシスセソ、ナニヌネノ、の音韻が多いような感じだが、ポーランド語ではそれにプラス、ザジズゼゾの言葉が聴こえる。アルファベットだとZ(ゼット)が付く言葉。

ただ、ところどころ英語も含めたヨーロッパ語共通の単語がチラットで出くるのでその部分は目立つ。 例えば共産主義者の「コミュニスタ」とか友人の「カンパニ」など。

尚、電話の呼び出しはこの国でも「ハロー」だった。

内容は大変、文学的でセリフに含蓄がある。だから一度観ただけでは消化しきれない。字幕スーパーに頭が追いつかない。「灰とダイヤモンド」のタイトルもポーランドの詩人の碑文から来ている。この文章がまた文学的。

撮影が秀逸で、夜のシーンが多いのだが、室内の撮影も野外の撮影も照明とアングルが良い。「第三の男」の影響もあるかもしれない。

過去のワイダ監督のインタビューでは、一部に雨のシーンを取入れたのは黒澤映画からの影響だと本人が言っていた。

ラストシーンのゴミ捨て場でのマチェクの惨めな死に方も、黒澤映画の「酔いどれ天使」や「野良犬」の影響を感じる。

マチェクを演じた俳優はサングラスを始終かけているが、それを外すとたいへんイケメン。ところが今の感覚ではセンスが悪いといえるサングラスのおかげで顔をスポイルしてしまっている。

終盤、マチェクは偶然、出会い頭にぶつかった兵隊に持っている拳銃を見せてしまい、逃走。 射殺されるのだが、どうもここの部分の脚本が弱い。銃を所持しているからといってマチェクは逃げ出すことはないし、兵隊もその理由で、同じポーランド国民に向って発砲する権限はない。時間的に見て、マチェクがシチューシカを殺害した事実はまだ警察にも軍隊にも通報されていないはずだ。

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コメント

当時はルブリン革命政府によって、ロンドン亡命政府系のAK(国内軍)の残党狩りが行われていたので、拳銃所持が見つかって逃げて撃たれるのは当然のことなのです。あの当時のポーランドはソ連統治下にあり国家主権を回復しておらず、共産主義側と自由主義側の勢力が事実上の内戦を展開していました。

投稿: ぴっちゃん | 2008年6月24日 (火) 07時15分

ぴっちゃん。コメントありがとうございます
また当時のポーランド情勢のご説明、たいへんよくわかりました。
ただ、監督もポーランド国内だけでなく、他国、西側にも作品を観てもらいたいと意識するならば、もう少し前の段階で説明があってもよいと感じました。
例えば、ポーランド人にはワザとらしくても
「銃が軍隊に見つかってみろ。即逮捕だぞ」というようなセリフのシーンが以前にあれば、マチェクが軍隊に近づくシーン(マチェクがクリスチーナと二人で夜の街を歩いている時)でスリルが増すうえ、後の逃走シーンでも観客は納得がいきます。

ただし、私がそのようなシーンを見逃しているかもしれません。
もう一度観てみます。
また、当時のことですから、監督も入れたかったのですが、検閲でカットされたかもしれません。

投稿: スタンリー | 2008年6月24日 (火) 08時59分

ズビクニェフ・チブルスキーは、“東欧のジェームス・ディーン”と
言われ日本でも一時人気がありましたね。。^^
ただ、この人の名前を覚えるのに5年くらいかかりました。苦笑
アチラの人は名前が難しいですね。「ひまわり」のロシア妻、
リュドミラ・サヴェーリエワなんていまだに覚えられません。coldsweats01
話はナチス亡き後、共産党主導政権が樹立したポーランドに
おいてテロリストとなった自由主義のマチェクの葛藤の
物語でしたね。
時代の流れに取り残され裏切られる青年の姿が、社会派なのに
おっしゃるとおり、文学的・詩的な感じもする日本人好みの
まさに滅びの美学でしたね。

投稿: ぱんだうさぎ | 2008年6月25日 (水) 20時25分

ぱんだうさぎさん。こんばんは。
学生時代は難しい英単語ほど印象にのこりましたが、今となってはズビクニェフは頭にはいらないですね。笑
そうです。ロシアの名前もアキマヘンナ。クワシニャーとか。「どん底」の登場人物ね。笑
リュドミラ・サヴェーリエワ・・・難しいですね。

彼はその後、列車事故で若くして亡くなったのですね。東欧のディーンと言われるのも分かります。
滅びの美学というのはぴったりの表現です。


投稿: スタンリー | 2008年6月25日 (水) 21時19分

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