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さよならジュピター

さよならジュピター スタンダード・エディション

DVD さよならジュピター スタンダード・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2006/06/23
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特撮メモ、NO,20、DVD

1983年、東宝+イオ、ビスタサイズ、129分

制作・原作・総監督- 小松左京

制作-田中友幸、 監督-橋本幸治、 撮影-原一民、 

音楽- 羽田健太郎、 特技監督- 川北紘一

主演- 三浦友和、デイァンヌ・ダンジェリー、小野みゆき、レイチェル・ヒューゲット、

平田昭彦、ポール・大河、マーク・パンソナ、ウィリアム・M・タピア、

岡田真澄、森繁久弥

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公開時、観るつもりであったが、見逃した。

前々から観ておかなければならないと感じつつ、20年以上たってしまった。

制作発表された当時から撮影中は、私のみならず、多くの日本のSFファン、特撮ファン、「2001年宇宙の旅」ファンがこの映画に多大の夢と期待を持った。

結果は、私が思うには、我々ファンは戦争中、大本営発表の戦勝報告を聞かされた日本国民と同じであったと気づくことになる。

この映画は、脚本、演出、技術、音楽すべてにおいて不完全燃焼に終わっていると感じた。

脚本は盛り込みすぎで、1クール24本のテレビドラマを1本に無理矢理まとめたか、その予告編を観ているかのようだ。

演出は外国人俳優混成のため、ギクシャクしている。うまい演技と感ずる役者が一人もいない。

技術・特撮演出はあらゆる点においてハリウッドにとうてい及ばない。

音楽はチープで、特に宇宙空間のシーンでは音を消したほうが重厚に感じた。

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回転する遠心重力部がある宇宙船の登場は、予告編などにより、我々ファンの期待に添えるものだった。 

だが、本編を見てみると、宇宙船の模型が「2001」などに比較して、どうも硬質でソリッドな感じがしない。 これはひとえに照明のまずさが原因ではないか。コントラストがはっきりしなく、宇宙空間における太陽光線のメリハリが無い。

「2001」の宇宙空間の光と影の素晴らしい映像は、1コマ何十秒という露出撮影の結果だが、この映画ではどのように行われたのだろうか。たしかモーション・コントロールカメラを使っていて、「2001」制作当時より撮影はやり易いはずだがその効果が感じられない。

模型の凸凹の境に汚れを施しているが、逆にわざとらしさを感じる。

宇宙船が長方形の穴になったドックに進入するシーンは、まったく「2001」のモノマネで私は顔が赤くなった。少なくとも私だったらあんな恥さらしのシーンは造らない。オマージュにもならない。

火星にナスカ絵が現れるシーンは、洪水の流れなどのハイスピード撮影が適切でホットした。中野監督が担当していればもっと安っぽいシーンになっていただろう。

宇宙船とバックの木星などの合成が良くなく、境目がブルブルと揺れている。

木星の表面をドライアイスのスモークで覆うのもいたしかたない表現だと思うが、もっと超ハイスピードで撮影できなかったか。 ジュピターゴーストという魅力的な存在(まるでスタートレックに出てきそうな)は巨大感が感じられない。

その木星内の爆発音「ドッピューン」という怪獣映画にも使われていた効果音がチープに聞こえる。

巨大感といえば、よく指摘されていることだが、あるシーンでは何百メートルもある宇宙船がちっとも巨大に見えないことで、これは撮影に問題があるばかりでなく、川北監督の演出にも問題がある。

これは巨大で大質量の宇宙船(乗組員が中にいる)を、到底ありえないようなGによる急発進・方向転換させてしまうシーンを造ったことで、ミニチュア然に拍車をかけている。

また全体的に宇宙船の移動速度が速すぎるのもミニチュア然とさせてしまう要因である。

本編の撮影でもマズイところがたくさんあった。

一部に実際の建築物を使った撮影があり、粒子加速器などが写っていたり、どこかの廊下が使われているが、裸の蛍光灯が見えていて、22世紀にそれはないであろう。監督や撮影監督は何も思わないのだろうか。

宇宙船内の自動ドアの開閉音が、高周波音が混じっていて、これもチープに感じた。

小松左京というSF作家が制作に関与していながら、科学的にオカシなシーンも見られた。

三浦とマリアの情交シーン(これも「惑星ソラリス」のフェイク)では部屋の回転を止めて無重力状態にさせている。あの宇宙船の居住区はどういう構造なのだろうか、たしか全体が回転しているはずだが一部屋ごとに回転が制御できるのだろうか。そんな無駄な構造は宇宙船ではありえない。

妨害工作により、木星の核融合コントロール室が破壊されるのだが、無重力となって死体が宙に浮き上がっても、爆発した火花は落下していた。

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ゲバゲバの為ゴロー似のヒッピーが出演するシーンと三浦とマリアの情交シーンは、私はDVDを早送りして飛ばした。

ラストの小惑星でのお墓参りのシーンは、私は好きである。

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コメント

こんばんは。
スタンリーさんは宇宙船にお詳しいから、長所も短所もお分かりになるのでしょうね。復活の日も小松左京でしたね。
宇宙船と言えば、「ディスカバリー」の打ち上げの映像を見ましたよ~。「きぼう」の船内実験室を搭載しているのでしょ。超お高い運搬費なのでしょうね。

投稿: マーちゃん | 2008年6月 1日 (日) 20時34分

マーちゃん。おはようございます。
「2001年宇宙の旅」から「スターウォーズ」へと宇宙船は表面に凸凹をつけるのが標準になりましたね。笑
人工重力を作るために回転する部分もよく出てきますが、実際は回転部分が直径2キロ近くないと、人間の生理に影響を与えるそうです。
「きぼう」はうまくドッキングできるといいですね。あのお値段は国民一人あたり3000円ほどかかっているでしょうか。

投稿: スタンリー | 2008年6月 2日 (月) 08時28分

「さよならジュピター」は諸事情(笑)で劇場に観に行きましたが、
私もあのヒッピーのオッサンが登場した所で50メートル、
ギター片手に歌いだしたところで100メートルひきました。苦笑
ちょうど友和クンが方向性を模索していた時で
父兄会の親のような気持ちで観ておりました。^^

投稿: ぱんだうさぎ | 2008年6月 4日 (水) 21時27分

ぱんだうさぎさん。まいど。
そうですか、リアルタイムでごらんになりましたか。
タメゴローのオッサンは評判悪いですねー。笑
あのグループのコスチュームも安っぽくてね。
森繁さんの格好もなにか仙人がチョッキを着ているみたいでヘンでした。
私はコカコーラとマクドを、わざとらしくロゴをこちらに向けてるカットでまず100メートル引きました。
三浦クンはセリフのカツゼツは良かったですね。
友人との再会シーンではいつまでも殴りあいを続けているので笑ってしまいました。


投稿: スタンリー | 2008年6月 4日 (水) 22時48分

「さよならジュピター」は期待してロードショーに見に行きましたが、
裏切られました。まあ、「宇宙からのメッセージ」よりはましでしたが。(笑)
「2001年~」には遠く及ばず、「宇宙からの脱出」以下ですね。
でもミニチュアのデザインや作りはかなりまともになったと思います。
本当に、巨大感と太陽の強烈な光線が感じられればかなり良くなった
でしょう。でも私は公開前にこんな物を見てしまったので期待したと言っても
悪い予感も少しはあったのです。(笑) 当時、私が撮影所に忍び込んで
撮影した画像です。↓
http://groups.msn.com/KO1000/page11.msnw?action=ShowPhoto&PhotoID=961

投稿: BIGSTONE | 2008年6月 8日 (日) 22時23分

BIGSTONEさん。おはようございます。
冒頭に登場する遠心部分のある宇宙船は、ほんとうに気合が入った造りでしたね。核融合ロケットの推進剤タンク、放熱板のディテールは「2001」のディカバリーの初期スケッチにもあったものです。物理的に適合したデザインだと思います。
私は回転部分のトルクを打ち消すために、もう一つ逆回転の遠心部分があれば、もっとリアルになったと思っています。操演はむずかしいですが。
宇宙空間の照明にはガッカリしました。なんでも影の部分ではスミを塗ったところもあるとか。まーそういう手もありますが。

ジュピターゴーストの写真、拝見しました。ありがとうございます。撮影時は半分水に浸かっていましたが、グラスファィバーの光がうまく表現できていませんでしたね。映画では何百キロという巨大なものだったはずですが、その水面がチョロチョロ見えていて、ケムリがポコポコ湧いているものですから、これも巨大感が全くありませんでした。

投稿: スタンリー | 2008年6月 9日 (月) 08時46分

>「2001」の宇宙空間の光と影の素晴らしい映像は、1コマ何十秒という露出撮影の結果だが、この映画ではどのように行われたのだろうか。

この映画では、そんなノンビリした撮影をしてる余裕はなかったようです。
照明を強くすることで、露光時間の短縮をしようとしたら、ミニチュアが熱に耐えられず溶け出し断念。他にも
「合成カットで最初は数ミリずれてもNGだったのが、途中から数センチずれようがOKになっていた」「光学合成の予算が少ないから、合成したい場面でもできない」「特撮用スタジオの使用期限が来たので、仕方なくまだ撮影してるドラマ部分のスタジオの片隅を借りて撮影続行した」とか悲惨なエピソードがあります。
特撮担当の川北さんの技量の問題ももちろんあるのでしょうが、どんな有能な(2001年のトランブルでも)人でも、あの条件下では満足のいく結果は残せなかったでしょう。

投稿: ゆず | 2009年11月30日 (月) 04時09分

ゆずさん。ようこそ。
「2001」のスタッフは数年間、日曜なしで深夜・昼夜残業していたそうです。決して時間をもてあまして撮影していたのではないと思いますが、向こうが莫大な予算と数年の歳月をかけて制作していることは鑑みる必要がありますね。日本では予算と製作期間に止む終えず妥協してしまいますが、向こうのスタッフは意見や要求が通らないとアッサリと契約を切って辞めてしまいます。ただ、向こうのプロデューサー側は良いアイデアを持っているスタッフは大事にしているように感じます。日本はそうでは無いとは言えませんが、もう少し緻密に合成したいから時間をくれと訴えるスタッフに、数センチずれても観客は気が付かないだろう、簡便してくれるだろうと要求を却下する製作者側の態度には、お客として特撮ファンとして容認できるものではありません。そういう態度は、本格的SFを子供向けの怪獣映画の画質レベルに落としてしまうものです。また「はい、そうですか、そうします」と妥協するスタッフにも、もう少し「七人の侍」制作時の黒澤監督ほどとは言いませんが、生活がかかっているとはいえ、クビになる覚悟で主張しつづけるネバリを持ってほしかったですね。
私が訴える、一観客、一特撮ファンとしての「文句」は、スタッフだけへのものではなく、おっしゃるような過酷な条件で映画を拙速で作らせようとする日本の映画会社への抗議も含まれます。
もしトランブルが参加していたら、仰ったような制作条件の発生では、すぐ辞めていたと思います。

投稿: アラン・墨 | 2009年11月30日 (月) 10時35分

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