明日への遺言
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邦画メモ、NO,28
あしたへのゆいごん
2007年制作、この地区では2008年4月26日公開
監督- 小泉堯史、脚本- 小泉堯史、ロジャー・パルバース
撮影- 上田正治、北澤弘之、 音楽- 加古隆
主演- 藤田まこと、ロバート・レッサー、フレッド・マックィーン、リチャード・ニール
西村雅彦、蒼井優、田中好子、富司純子、頭師佳孝
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マルチカメラや望遠のショットが黒澤的で面白かった。
観客は法廷現場にいるようで、緊張を強いられる。ただし傍聴席からのアングルは少なく、やっぱり神さまの視線で裁判の行方を見守っている。
弁護側に多くのシーンが割かれていたように感じた。そちら側に多くの被告が並んでいるのも原因の一つだが、これは裁判官から見て、心理的にどうしても右側が集中しやすいためではないだろうか。これは私の漠然とした感覚なのだが。
だから左側の検事のマックィーンの弁術を聞くのはちょっと疲れた。
証人として、「赤ひげ」のちょー坊、「どですかでん」の六ちゃん役だった頭師佳孝氏が出演していてなつかしかった。あの子役も今は頭髪が薄い。
田中好子の証言シーンは長廻しでセリフも多く緊迫感があった。マルチカム使用でつながりが自然。
そういう証言シーンでは私のような凡人だと、カットバックで過去を再現してしまうが、小泉監督はあえてそうせず、役者の語りだけで観客に訴えた。
田中好子の証言による機銃掃射の様子や、べつの証人による爆撃の地獄絵図は映像の説明がいらないほど十分に伝わっていると思う。
独房でのシーンも望遠で撮影し、黒澤の映画を見ているような懐かしさを感じた。
ほっとしたのは、男女の役者さんが、ほぼあの当時のヘアスタイルをしていることだ。 最近の戦争もの映画では、アイドルタレントを引っ張り出してくると、髪を切らず、当時ではとてもありえない格好で出てくることがある。 軍人役として出演するならば、少なくとも男性タレントはこの映画のように丸坊主にさせるべきだ。 あるいは、そんなタレントなど映画に使うべきでない。どうせ芝居もお粗末だし。
ひとつ気になったことは開廷中、赤ん坊が傍聴席に入って来て、藤田が裁判席に尻を向け、プライベートを話し出すことで、こんなことはありえないだろう。 判事の特別許可があったなら、そのシーンが必要だ。
もうひとつは、富司純子さんが、冷静にぐっと感情を押し殺す軍人の妻を好演していたが、斜め横からのアングルだけ、照明の具合か、口が笑っているように見えた。監督の見落としではないだろうか。
110分の放映時間が短く感じられ充実した時間であったが、なにか満腹感が足りない。
法廷を離れた場所で、検事や判事の、岡田に対する想いというものが表現してあれば、もっとよかったように思う。
例えば、検事のマックィーンが助命嘆願書にサインするシーンなどがあれば。
死刑囚を絞首刑台に見送る(ここでもカメラは神さまの目線になっている)のはイヤなものだが、最後の岡田のセリフ「ちょっと隣に行くようなものです」という言葉には救われた。 遅かれ早かれ、我々も見送ったお坊さんも扉にいたMPもいつかは死ね。
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コメント
ご覧になられましたか~。スタッフが黒澤監督の下で、基本をきっちりと身につけた人たちだから、黒澤的だったのでしょうね。黒澤作品にお詳しいスタンリーさんならではの評価ですね。私はまだまだ黒澤作品のことが分かっていなくって・・・・汗。漫才師や歌手や映研の延長にある人たちまでもが監督する昨今、小泉監督のような下積みを経験した人が作る映画は、やはり素人監督とは違う質の高さがありますね。
投稿: マーちゃん | 2008年5月 1日 (木) 22時32分
マーちゃん。おはようごさいます。
小泉監督は黒澤の弟子という肩書きで有名になりすぎましたので、そう呼ばれるのは光栄だと感じるいっぽう、師匠の映画とは違うのだという意気込みがあると思います。
思うに、彼の作風は晩年の黒澤の作風に似ていますが、絶頂期の黒澤映画よりは緻密さに欠ける感じがしますが、逆にそれが持ち味なのでしょう。
最近のロクスッポ助監督から修行もしていないワケーやつの作った映画は、やっぱり最近のテレビのようにスタッフだけでゲラゲラと笑って、現場で楽しんで造っただけの映画があるのではないでしょうか。
投稿: スタンリー | 2008年5月 2日 (金) 08時05分
スタンリーさん ご無沙汰しております♪
恥ずかしながら帰って参りました。( _ _ )笑
久しぶりに朝からパソコンを扱っておりますが、
たった1、2ヶ月でブログのパスワードやらIDやら
操作方法忘れる始末
歳はとりたくないものですね。苦笑
このマックィーンさん、あのスティーヴ・マックィーンの
息子サンなんですってね。感慨(′∀`)感慨
まだ、観てないのですが似てますか?
投稿: ぱんだうさぎ | 2008年5月 4日 (日) 10時41分
ぱんだうさぎさん。ようこそ、おひさしぶりです。
しばらく、さみしかったです。
私などパソコンは高齢者より扱えません。これでも昔は大型電算機を扱っていたのですが、今のはてんでだめです。
マックィーン・ジュニアは樋口監督の潜水艦の映画(タイトル忘れました)にも主演したそうですが、名前を変えていたそうです。マックィーンの子と言われるのがイヤで。
でもこの映画から堂々と名乗ることにしたそうです。
顔では鼻から目元、額などオヤジにそっくりです。
「タワーリング・・・」のころのマックィーンという感じです。
「大脱走」のころよりは若くないですね。
芝居のほうは本人も認めていますがマダマダです。
でも力演してました。。
投稿: スタカンリー | 2008年5月 4日 (日) 11時20分
はじめまして。先日は私のブログにお越し頂きありがとうございました。
マーちゃんのブログで、お名前は存じておりました。お声もかけずに失礼していました。お許しください。また、よければ、これをご縁によろしくお願いします。
さて、スタンリーさんの「明日への遺言」のレビュー拝読しました。
非常にマニアックであり、殊に撮影や照明や美術、衣裳などに関しては、ご専門ではないのか?と感じ入った次第です。
>心理的にどうしても右側が集中しやすいためではないだろうか。
と述べて居られますが、鋭いご感覚ですね。私は劇場で映画を観る時、座席が空いていたら右側に座ります。今のようなワイド・スクリーンではなくて、縦横比1:1.33のスタンダード・サイズ時代は、スーパーインポーズが右側に縦書きで出ましたので、その時代からの慣習と思っていましたが、そう言えば映像に対しても右側の方に集中度が高いかもしれない?と、ふと感じました。
>ほっとしたのは、男女の役者さんが、ほぼ当時のヘアスタイルをしていることだ。
全く同感です。私は当時の“銃後”の様相はリアルタイムで知っていますので、現代の風俗や言葉で若い役者さんが登場するのを見たりすると、当該監督に対し「時代考証をわきまえているのか」と言いたくなる時があります。
そんな私ですので、当時を思いだし、ただただ感動するばかりでした。ということで、スタンリーさんのように、より専門的な大所高所からの観察力には欠けていたかもしれません。もう少し客観的に鑑賞していたら、私も満腹感が足りなかったかもしれない?と、一瞬浮かびました。
投稿: アスカパパ | 2008年5月 5日 (月) 11時44分
アスカパパ様。ようこそおいでくださいました。
私のつたない文と内容の薄い記事を批評していただきまして、とても感謝しております。
まったくこの齢になっても文章が書けず、ボキャブラも乏しく、お恥ずかしいかぎりです。
私の場合、映画の鑑賞は制作方面に眼が向いてしまい、映画の内容をおろそかにしてしまいます。
今後とも御批評をよろしくお願いします。
アスカパパ様は昭和20年代、30年代の映画をリアルタイムにご覧になっているとお聞きしております。この時代は映画の黄金期でした。またお伺いし、当時の新鮮な評価を楽しみに、読ませていただきます。
私の記事は、時々辛らつなことも書いておりますので、御気にさわることもあるかもしれませんが、どうかお許しください。
投稿: スタンリー | 2008年5月 5日 (月) 20時26分