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日本沈没

日本沈没 DVD 日本沈没

販売元:東宝
発売日:2003/09/25
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特撮メモ、NO,19、レンタルDVD

1973年、東宝、東宝スコープ、カラー、140分、画質良

制作- 田中友幸、田中収、 脚本- 橋本忍、監督- 森谷司郎、

撮影- 村井博・木村大作、音楽- 佐藤勝、特技監督- 中野昭慶

出演- 藤岡弘、小林桂樹、いしだあゆみ、滝田裕介,二谷英明

中丸忠雄、丹波哲郎、島田正吾、中村伸郎

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映画公開当時、小松左京氏が雑誌の対談で、「自分が20年かかって仕上げた小説を半年で映画にしちめーやがった」とボヤいていたことを思い出す。

実際、あの壮大な内容の小説を、2時間や3時間という尺で映画にするには無理があると思う。

ということは、テレビドラマがふさわしいと、私は思うが、後にテレビドラマ化されたものでは、肝心の、もっとも重要で小松氏の描きたかった話、つまり世界に散らばった日本人の運命については、全く触れられておらず、日本国内のストーリーで終始していた。 そのテレビドラマも、毎回、「うさぎおいし、かのやま・・」の歌を持ち出す、日本人亡国のセンチメンタルな話ばかりで、ウンザりしたものである。

・・・・・尚、担当者には気の毒だが、鎌倉の大仏がブヨブヨと揺れて地中に沈んでいくシーンや、金閣寺が箱庭みたいな池に沈んでいく特撮シーンには、当時、高校生だった私を大いに笑わせてくれたものだ。

さて、映画では、特技監督は円谷英二の助手をしていた中野氏が担当している。

到底ありえない状況の怪獣映画の特撮と違い、限られた予算で、ありえるかもしれない地震による崩壊・火災・津波を描写しなければならず、大変なプレッシャーだと推察するが、お手並みは、所詮、怪獣映画のレベルだと感じた。

丹波哲郎の熱演が見もの。この人も、もう故人か。

中村伸郎の英語の発音がひどくて、おもわず顔が赤くなった。

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潜水艇「わだつみ」の水中シーン。円谷から受けついた、スタジオにおける擬似水中撮影で「水中感」がない。水の重さを感じない。 「わだつみ」の潜行速度が速すぎて重量感がない。 こういう撮影は、L.B.アボットのように、なんとしても水中で撮影してもらいたいものだ。 ただし、海流にもまれるカットのみ水中撮影だった。

天城山の噴火はスタジオ然としている。山のスケールに対して、爆発の粉塵の速度が速すぎる。

地震で倒壊する東京下町のミニチュア造形は、かなり精密。

石油コンビナートの爆発・類焼は、派手でリアリズムに欠けるが、視覚的効果はよい。ハイスピート撮影も適切。 尚、中野氏は以後の映画の石油施設火災シーンでは、この場面のテクニックを繰り返し、または何度も使い回しをしている。

ミニチュアの自動車が暴走・火災を起こすシーンは、まったく怪獣映画のお粗末特撮と変わらない。

同様に見るのも笑ってしまうのは、自衛隊のミニチュアヘリの飛行シーン、墜落シーン。あんなオモチャを見せてどうするのだ。

ビル群の火災シーンも、まったくリアリズムに欠けていて、ゴジラが火を付けたような、あんな燃やし方では、建築工学方面から抗議がきてもおかしくない。

しかも、後の東宝ゴジラ映画でのビル群のように、ただ箱を並べて撮影した感じがいなめない。つまりビルの下の道路、交差点、ショーウンドーなどのを見えなくして撮影している。

下町の堤防が津波で破壊されるシーンはこの映画の特撮でもっとも優れたものだ。カメラアングル、ハイスピード撮影も適切。 「サンダーバード」でクラブ・ロガーが街のレンガ造りの壁を破壊する、迫力あるシーンを思いださせる。

マンション状ピル建築の倒壊も、上々の撮影だが、ハイスピードカメラの回転が遅い。

富士山の爆発も、あのスケールに対して爆発の速度があまりも速すぎて、山の巨大感がまったく感じられない。遠くにあるという空気感がない。スタジオに盛った土山に火薬を仕掛けた撮影と見えてしまう。

これはミニチュアの高圧鉄塔が二本立っている地割れのシーンでも同じで、映画スタジオで撮影を見学しているかのようで、これが特撮とはいいかねる。

漁村が津波に襲われる、波の合成をともなったミニチュア特撮は、過去の映画のシーンを使っている。どの映画かは記憶が定かでない。 同様に山津波のシーンも過去の映画のものかもしれない。

よくできた日本列島の俯瞰撮影も、もう少しハイスピードで撮影できなかったか、ケムリがポコポコ噴出しているところはお粗末だ。

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コメント

小松の左京さん、そんなふうにおっしゃってましたか。
長編小説を映画化すると、部分的にしか表現できないという事がありますよね。脚本が橋本忍さんなのですね!
先日、TVで2006年版を放送していましたね。こちらの方は少しだけ、見ました。ご覧になりましたか?

投稿: マーちゃん | 2008年5月15日 (木) 23時42分

マーちゃん。いつもありがとうございます。
そうなんですよ。小松さん憤慨していましたね。
でも、橋本さんの脚本はうまくできていると思います。
その小松さんも「さよならジュピター」の映画では失敗しましたね。
でも、なつかしいですね。ラジオドラマもありました。
江守徹さんが小野寺で加藤武さんが田所先生でした。
2006年版は未見ですが、観たいと思います。
地デジのお兄さんの骨っぽい顔がどうも好きじゃないんですよ。
あ ファンだったらごめんなさい。

投稿: スタンリー | 2008年5月16日 (金) 08時44分

なつかしいですね~♪小林桂樹のあの怪演もなつかしい。。。笑
確かに小松の親分さんの作品を短時間で語るのは難しいかも
しれませんね。。健闘したのはこれと復活の日くらいですかね。
「さよならジュピター」は、知り合いの義理立てで観に行きました
が、そやつによると「スター・ウォーズ」と「2001年宇宙の旅」を
足して2で割ったような感じと申しておりましたが。。。
そういえば、「エスパイ」も薦めてたなぁ、あやつは。。。笑

投稿: ぱんだうさぎ | 2008年5月16日 (金) 23時22分

ぱんだうさぎさん。おはようございます。
「さよならジュピター」は予告編では期待したのですが、本編をチラリとテレビで観たときはガッカリしました。
巨大な宇宙船が猛スピードでやって来ていきなり停止したりして、物理感覚がなってないですね。あれじゃ中に居る人が前方にぶっとんじゃうでしょう。
そういうときの演出センスが欠けているんです。
木星の表面も、案の定、東宝お得意のドライアイスの煙でね。
「私に演出させろ」と怒鳴りたかったですね。笑
総監督の小松さん、オイオイどうしたんだ、と感じました。

投稿: スタンリー | 2008年5月17日 (土) 08時50分

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