« 「新世界より」 | トップページ | ダイヤルMを廻せ »

地球防衛軍

地球防衛軍 DVD 地球防衛軍

販売元:東宝
発売日:2007/02/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

特撮メモ、NO,18、DVD、レンタル

1957年、東宝、シネスコサイズ(東宝スコープ)、

カラー、88分、画質良

制作- 田中友幸、監督- 本多猪四郎、撮影- 小泉一

音楽- 伊福部昭、特技監督- 円谷英二、

特技撮影- 荒木秀三郎、有川貞昌

出演- 佐原健二、平田昭彦、白川由美、河内桃子、志村喬

村上冬樹、佐田豊、山田巳之助、藤田進、小杉義男、土屋嘉男

----------------------------------------------------

♪  ♪  ♪  ♪  ♪♪♪♪ ♪♪♪- 

という伊福部のテーマは「フリゲートマーチ」ほど有名ではないが、時々聞かれる。「風雲タケシ城」のオバアチャンが座布団に乗っかるゲームに流れていた。

オープニングの小松崎氏による宇宙ステーションはすばらしいデザインで、古さを感じない。ステーション全体が回転しているのではなく、居住区のみ回転している。しかも上部のアンテナは回転方向が逆で、凝った作り方だ。このステーションは「宇宙大戦争」のオープニングでも使われた。

宇宙ステーションから左にパンして、小型円盤、地球へと行く。そしてタイトル。良い演出。

SFの雰囲気からいきなり日本の盆おどりのシーンへ。 外国人も喜ぶのではないか。このモブ撮影がいい。本多監督の演出がさえる。タイアップは森永チョコレート。

森林火災のシーン、村落が陥没するミニチュア特撮は円谷の演出では上々のシーン。ハイスピード撮影も適切だと思う。

モゲラの出現では、スノーシェーダーの崩壊がいまいち良くない。コンクリートが細かく破壊すればよかった。少し雑だ。

佐原健二が白川由美の入浴している旅館の脱衣所にいきなり現れる。ここに至るシーンが必要と思う。

モゲラが町を襲うシーンは後期の怪獣の特撮より良い。家のミニチュアの造形が細かく実写に近い、その家屋の燃焼も良い。

モゲラに対する自衛隊の活動と、住民のテキパキした避難は本多演出の中でも最高のものと認めたい。

自衛隊の隊員による武器・火器の砲撃は本モノで迫力が違う。

しかし、後のシーンで、それをミニチュアのタンクや大砲がスポイルしてしまう。これも本モノで撮影できなかったか。

ミニチュアのカタカタ戦車の特撮より、ライブラリの実写映像を使ったほうがリアル感が出ると思うが。一部カットに戦車のハッチから脱出した隊員(人形)がタイミングよく写っている。

火炎放射器の実写映像から、モゲラの特撮映像へのパニング・接続は本多・円谷コンビの演出でも名シーンに選ばれるものだ。

これに対するシーンはモゲラによる光線の火災の消火活動で、放水の向きは火炎放射器のシーンの反対方向である。 本多が意識してそのように演出したのだろうか。

モゲラの進行を阻止するため鉄橋を破壊するが、煙が多すぎた。モゲラもアッケなく停止してしまう。

山間の村が山津波に襲われる。 後年の「日本沈没」や「ノストラダムス」の特撮のレベル。特筆するものでもない。

富士山の宇宙人ドームの地中からの出現は、土煙の噴出がなかなか良い。

ミステリアン基地内のネオン管発光の機器がユニークで良い。これが宇宙人の使っている機械に、秋葉原で売っている電機部品がくっついていたのでは観る気を失くす。 赤と青の発光が印象的。

ミステリアン基地地下の描写に「禁断の惑星」によく似た俯瞰特撮カットがある。

ミステリアンのリーダーは顔が分からずミステリーだが、土屋嘉男氏が演じている。利吉さんは宇宙人の役もやってみたかったそうだ。

ミステリアンの地声と思われるものがブーブーと聞こえる。喋る日本語は翻訳機を通した声という設定であり、凝った演出だ。

国連所属の二人の博士、リチャードソンとインメルマンという名前は「宇宙大戦争」でも登場する。

三機の光る円盤の飛行シーンはすばらしい。実際のUFO目撃映像のよう。

地球防衛軍・国際会議室にミステリアンの基地の詳細図がある。どうやって入手したのだろうか。

防衛軍のα号、β号は主翼が無いので、飛行は基本的に垂直リフトエンジンが使われるが、航空工学的に無理がある。水平飛行にはロケットエンジンを使う。このロケット噴射は推力を感じられ、なかなか良かった。

マーカライトなんとかというパラボラ兵器は直径200メートルあるのだが、それを格納運搬するロケットは600メートル近い大きさと思われる。

しかし巨大感が全くない。ミニチュア然としている。その打ち上げシーンも飛行シーンも手抜きを感じる。ロケット噴射に迫力がない。

映像で気が付いたが、発射光線の合成シーンではフィルムのキズがひどい。合成していないシーンはキズが認められない。

ミステリアンのドームが光線の攻撃によって弱っていくシーンはどうも説得に欠ける。地下に潜ったりまた現れたり。 地下に退避すればいいと思うが。

相変わらす、地上のミサイルの爆発音やミステリアン基地内のネオン管機器の爆発音が全く同じ音。 この効果音は1974年ごろまで使われる。

十数年も変わらず録音ライブラリから同じ音を引っ張ってきてハメ込むのは、手抜きの何物でもない。

負傷・死亡したミステリアンの焼け爛れた素顔を見せ、哀れさを感じさせてくれる。本多監督の演出。

|

« 「新世界より」 | トップページ | ダイヤルMを廻せ »

特撮メモ」カテゴリの記事

コメント

さすがスタンリー調名解説!!。半世紀前の「上野東宝」がおぼろ気ながらよみがえる。正月で超満員。
出来ればシネスコでなく「東宝スコープ」として欲しかった。わがままか?。なれど東宝初のワイド・スコープ(の筈?)。(まさかパッケージにシネスコと表記あるのですか?)

投稿: ロンリー・マン | 2008年5月 5日 (月) 17時10分

ロンリー・マンさん。こんばんは。
すいません。そうですね東宝スコープです。
シネマスコープというのは別会社が商標登録してあると思います。
私はビスタサイズが好きですが、当時はテレビジョンとの差別化のため、たとえ監督がいやがっても、チリ紙よりトイレットペーパーにせざるをえなかったのでしょうね。
でも小津監督はガンバリましたね。たしかにあのローアングル、バストショットにシネスコサイズでは、落語の舞台を観ているようで、合わないですね。笑

投稿: スタンリー | 2008年5月 5日 (月) 20時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/20196536

この記事へのトラックバック一覧です: 地球防衛軍:

« 「新世界より」 | トップページ | ダイヤルMを廻せ »