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ルパンⅢ世カリ城のオートジャイロ

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著者:鈴木 英夫
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先日、テレビで「007」を断片的に観ていたら、墜落しつつあるジェット輸送機の格納扉から、ヘリコプターが脱出するというシーンに出くわした。

もちろんこれはCG映像なのだが、また物理的におかしな処理だなと感じた。

ジェット輸送機は時速800キロは出ていると思われる。

その輸送機がトラブッている。そういう場合、飛行機というのは、エンジンのパワーを絞っても、速度は変わらず高度が下がるのだ。

したがって、格納庫からヘリが脱出したとすれば、瞬時に時速800キロの強風を浴びてしまうことになる。

すると、メインローターは確実にもげて吹き飛ばされてしまうだろう。あの映画のように格納扉から脱出したあと、ローターが水平の形を保って落下していくことはありえない。

アメリカのCGを作ったお兄さん方、もうちょっと物理・工学を考えて演出してちょうだい。

一歩譲って、かろうじてローターがもげずにもったとしよう。無事、ヘリは空中分解せず放出されたとしよう。

するとジェームズ・ボンド君はヘリを飛行させようと、ターボシャフトエンジンの始動に、あの映画のようにあせることはないはずだ。

私はヘリのメカに詳しくないが、始動前はエンジンとローターをつなげるクラッチが切られてるはずである。 つまりローターはフリーの状態で、オートジャイロと同じなのである。

するとエンジン無しでも、ローターは向かい風で自然に回転し始め、やがてオートローテーションのテクニックで降下飛行させることができるはずだ。エンジン始動は飛行が安定してから、あわてず行えばよい。 あるいはそのまま軟着陸させてもよい。

(この場面に登場したヘリはテールローターの無いノーター式で、オートローテーションの方法は普通のヘリと少し違うかもしれない。)

脚本家さんよ。映画の監督さんよ。 そういう演出をすればCGでもリアリティーが出て、ボンド君も余裕のある頼もしさが見せられて、かっこよかったんですがね。もうちょっと知識を広げてください。

ところで、オートジャイロと言えば、「ルパンⅢ世・カリオストロの城」に出てくるものがユニークで、印象に残っている。

あれはあきらかにオートジャイロの姿であるが、ちょっと普通と違っているのは、ローターの先にジェット推進のメカがついていることで、これを専門用語では「チップジェット式」という。

つまり、小さなジェットエンジン(パルスジェット、ラムジェット)でローター自体を回転させ、ヘリのように垂直上昇・ホバリングをさせるシカケである。

だから、あの映画のように、城の塔にホバリングしてルパンを助け出すことができた訳だ。 これが、ただのオートジャイロではホバリングができず、ああいう飛行は無理である。

いかに、大塚氏と宮崎氏がメカに精通していて、航空工学的に矛盾のない演出をしているかが分かる。

余談であるが、ヘリコプターが活躍する映画・テレビでは、物理的・航空工学的に大きな間違いをしているのは「エアーウルフ」である。

これに登場する主役のヘリは音速を突破して飛行するということだが、こんなことは天地が逆さまになってもありえない。

プロペラやローターというものは、回転の先端速度が音速に近づくと、回転のエネルギーが衝撃波に変わり、それ以上回らなくなってしまうのだ。

したがってヘリコプターがマッハで飛ぶことは不可能である。

これは飛行機ファンでも常識であり、航空工学の基礎だ。

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