« 東京湾炎上 | トップページ | 波の塔 »

敵中横断三百里

 日露戦争勝利の秘史・敵中横断三百里 / 菅原謙二  日露戦争勝利の秘史・敵中横断三百里 / 菅原謙二

販売元:イーベストCD・DVD館
楽天市場で詳細を確認する

邦画メモ、NO,24、DVDレンタル

1957年、大映、シネスコ、白黒、83分

制作- 永田一雅、原作- 山中峯太郎、脚本- 黒澤明、小国英雄

監督- 森一生、撮影- 高橋通夫、音楽- 鈴木静一

出演- 菅原謙二、高松英郎、根上淳、品川隆二、川崎敬三

船越英二、柳永二郎、中村伸郎

------------------------------------------------

脚本を書いた人が有名なだけに期待したが、不発に終わった。

やっぱり、原作は戦前に書かれた軍国少年向けなので、各所にアナクロニズムが見られる。 この脚本も戦時中に書かれたのだろうか。

馬を失くしてしまったから、一行についてゆけず、責任をとって切腹するという兵が現れる。するとお前の代わりにオレが切腹するという兵が現れる。 廻りの兵隊も「いやオレもオレも」と言い出す。

こんな首筋がかゆくなるようなシーンは、戦時中の軍の検閲官が喜ぶだけのものだ。この映画は昭和32年制作だが、当時の観客も笑ったのではないだろうか。

日本軍の6人の兵隊がロシア軍の斥候に出かける。 

途中、ロシア軍の大部隊に遭遇し、一斉射撃をうけるのだが、日本兵には、シュワルツェネッガーのように一発も当たらない。 ハリウッドのご都合主義の原型。

大和魂があれば、敵の弾もよけてくれるというわけだろうか。せめてカスリ傷でも負えばリアリティーがあるのだが。

一行6人はロシア軍の物資輸送基地、つまり敵のウヨウヨしている真っ只中に潜入するのだが、スリル感が乏しい。一番映画としてオイシイ場面なのだが、アッケなく任務を遂行してしまう。ロシア兵が馬鹿に見えた。

ちょっと不可思議だったのは、斥候一行の外套が黒であることで、大雪原を敵中横断するのにソレハネーダローと思った。敵にここに居ますと言うようなものではないか。あれは歴史考証したことなのだろうか。あるいはロシア兵もあの格好なので、それに合わせたのだろうか。

兵隊の役だから仕方がないが、当時の高松英郎や品川隆二などの若い俳優のセリフのカツゼツが良く、凛々しく見えた。 最近の若い俳優に見習ってほしい。

雪原の中の木立の撮影がすばらしい。水墨画のよう。

ロシア軍の大隊に馬が100頭くらいいた。よく調達できたものだ。 「七人の侍」ではあんなに馬は出てこないが、そろえるのに苦労したという。 あれだけ集めた大映のスタッフに脱帽。冬の北海道大部隊ロケを手配したスタッフに脱帽。

音楽の一部にチャイコフスキーの「1812年」のフレーズが使われていた。

「大映スコープ」というシネマスコープの撮影だが、望遠レンズを使ったカットでは画面両端がたいへんニジンでいた。 カメラのシネスコ用レンズが良くないのだろうか。

全体的に縦に細長に写っていた。当時の日本におけるシネマスコープのレベルがよくないのか、映写レンズが良くないのか分からない。

追記: DVDのパッケージの解説で、黒澤による脚本は「姿三四郎」以前に書かれていることが分かった。 つまり戦時中であり、どうしても軍に対してヨイショする脚本を書かざるおえない。

大映におけるシネマスコープ第一作作品であった。画面のところどころに見にくい部分があるのはその為かもしれない。

|

« 東京湾炎上 | トップページ | 波の塔 »

邦画メモ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/12193334

この記事へのトラックバック一覧です: 敵中横断三百里:

« 東京湾炎上 | トップページ | 波の塔 »