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ラドン

空の大怪獣 ラドン DVD 空の大怪獣 ラドン

販売元:東宝
発売日:2007/01/26
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特撮メモ、NO,16、DVD、レンタル

1956年、東宝、スタンダード、イーストマンカラー、82分、画質普通

制作- 田中友幸、監督- 本多猪四郎、特技監督- 円谷英二、

音楽- 伊福部昭

出演- 佐原健二、白川由美、小堀明男、平田昭彦、村上冬樹

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東宝怪獣映画で初めてのカラー映画。ただし未だシネスコサイズではない。

シネスコサイズでカラーの怪獣映画は「キングコング対ゴジラ」まで待たなければならない。

コダックのカラーということで、当時の大映と同じフィルムを使った。

微妙な色合いが面白い。黄色が目立つ。もっともDVDで当時の色を忠実に再現しているかどうかは不明であるが。

この映画は「ゴジラ」と同じ、一匹(親子で2匹)の怪獣を日本の防衛軍が退治するストーリーで、後年の複数の怪獣によるプロレスシーンが無い。

私はこういうシンプルな話が好きで、怪獣映画の中でも好きなものの一つだ。

複数の怪獣がプロレスをするのは、子供のころの私も、どうも子供ダマシだな、と感じていて、特に、ハイスピード撮影を使わず、チョコマカと怪獣が動くのは見るに耐えなかった。 この思いは今も変わらない。

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九州の鉱山従事者の家屋が懐かしい。昭和20年、30年代の家のたたずまい。

地球温暖化の危機を、既に暗示しているシーンがある。

広場に集合した炭鉱従業員の面々が様になっている。本多の演出がさえる。

目立たないが、中谷一郎がヤゴの怪物に襲われる。若い。

白川由美のユカタ姿がいい。

ヤゴのキグルミが良く出来ている。3人がかりで動かしている。たぶん、かなりの制作費がかかっている。

ヤゴの鳴き声は、「宇宙大戦争」のナタール星人の音に使われてもいる。 指で擦る楽器の音。

ヤゴに向けて撃つ機関銃は本モノを使用している。

何万年も眠っていた怪獣が蘇る理屈として、3000年前のハスの実が花を咲かせたという例をもってくる。 怪獣出現の常套手段。

原水爆の実験が、その引き金になったというのも常套手段。

いつのまにか「ラドン」という名前で呼ばれている。いつ命名したのか。

ラドンの風圧によりミニチュアのジープがひっくり返る。 クローズアップのカットは良い。

戦闘機のブルーバックシーンの技術がまだ完成されていない。にじんでいる。

戦闘機のミサイル発射が相変わらずオモチャっぽい。これは後年の映画・テレビでも進歩がない。

西海橋の崩落はカメラの回転も適切であるが、特に優れているものでもない。ミニチュアの造形は良い。

佐世保(福岡?)の市街の崩壊は円谷のものでは、良いほうに属する。特にアサヒビールのビルが風圧で崩壊するシーンが良い。

崩壊するビルの中に、逃げまとう人が合成(おそらくリアプロジェクション)されている。「ゴジラ」でも同様のシーンがあったが、気配りのある演出。

電車がひっくりかえると、モーターの配線などが見えてしまい、興ざめ。そういうディテールも作りこむべきだ。

戦車やポンポン砲などの質感が良くない。あいかわらずカタカタとオモチャっぽい

企業タイアップは「ダットサン」、「森永ミルクキャラメル」、「アサヒビール」、「カルピス」か?

この映画のミニチュア特撮で特筆すべきは、火山噴火口内の描写で、オープンで作りこまれたそれは、火山の噴煙も含めて、実写映像そのものに近い。スタッフに脱帽。

その、火口にミサイルを撃ち込み、爆破するシーンは、ハイスピード撮影も適切で、飛び散る土砂、火花は円谷映像でも、もっとも成功したものといっていい。

良くないのは、ミサイルの発射台の角度調整のシーンで、スタッフが素手で、ワイヤーを引っ張っているので、ギクシャクしており、メカニカルな動きでないことだ。

これは円谷特撮の操演、全般に言えることで、ミニチュア特撮をオモチャっぽくさせてしまう要因の一つである。

そういう演出がウマイのはアンダーソン作品、「サンダーバード」などの演出を手がけたデレク・メディングスである。 また小さなミニチュアを使った爆発パイロも彼を超える特撮監督はいない。

阿蘇の火山噴火シーンでは溶けた鉄を使用。 恐らく世界で始めての試み。ユニークな手法で、また撮影も大変危険。 ビジュアル的にも成功している。

溶けた鉄は、カメラ側まで流れないように、奥行き、手前と二つのセットで分け、溶鉄を下に落としている。

ラドンのワイヤーが片方切れてしまったが、カットせずそのまま使用。ラドンの断末魔となった。 有名なエピソード。

そのラストシーンで、登場人物は一言も発しない。 伊福部の短調の悲しい音楽で「終」のマーク。 

外国にも「ロダン」というタイトルで放映されたそうだが、同じラストなのだろうか。極めて日本的な終わり方だと思うが、外国の人に違和感はないだろうか。

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コメント

おぉ!ラドン!!
私の住む街を徹底的に壊してくれた怪獣です。
私が生まれる前の映画ですが、幼い頃の街の記憶が甦りました。
アサヒビールやら森永の看板がある所は、九州最大の歓楽街「中洲」です。天神岩田屋の屋上から西鉄福岡駅を踏み潰すあたりは、感動でした。逃げ惑う新天町商店街の人たちも時代を感じますね^^

投稿: ぴろQ | 2008年2月25日 (月) 01時51分

ぴろQさん。ありがとうございます。
ああ 中洲ですか。 タモリの中洲産業大学があるところですね。
西鉄福岡駅は今どうなっていますか。だいぶ映画と違うでしょうね。
西海橋は行ってみたいですね。新しい橋ももう一つあるんですね。
平成ガメラにも出てきたと思いますが、なにか高い煙突のようなものが、4本ほど立っていますね。あれがずっと謎でしたが、最近、旧海軍の無線塔と分かりました。

投稿: スタンリー | 2008年2月25日 (月) 09時34分

え~、ラドンって1956年ですか。私、生まれていませんが、知っていますよ(笑)。ラドンはシリーズ化されたのでしょうか・・・
企業タイアップの「ダットサン」、「森永ミルクキャラメル」が時代を感じます。今は「森永ミルクキャラメル」は発売されていないですものね。

投稿: マーちゃん | 2008年2月25日 (月) 17時38分

マーちゃん。こんばんは。
ラドン知っていますか。うれしいですね。
地味な怪獣なんですよ。
シリーズ化されていないんですが、後の映画に
いろいろゲスト出演しています。
佐原健二さんはウルトラQの万条目君ですね。
「ラドン」が主演第一号です。 「モスラ」では悪役です。
森永ミルクキャラメルは発売されていませんか。
アレレ。 そうでしたっけ。

投稿: スタンリー | 2008年2月25日 (月) 20時09分

すみませ~ん、森永ミルクキャラメルは現在も発売されていますね。いい加減な事ばかり言って申し訳ない!世情に疎くて(滝汗)
ラドンはゲスト出演しているのですね。あ~、それで私も知っているのだと思います。

投稿: マーちゃん | 2008年2月25日 (月) 23時04分

マーちゃん。こんばんは。
「ポピポピ」の森永のキャラメル。復刻版もありますね。
歯にくっついちゃってね。
ラドンはウルトラQの「鳥を見た」でも出演しています。
万条目君は「またこいつか」というとこですかね。
でも怪獣の中では一番弱そうで、人にも害を加えないヤツです。。

投稿: スタンリー | 2008年2月26日 (火) 00時11分

佐原健二、うーん、懐かしいなー。地球防衛軍も?。好きでした。声質としゃべり方は今のフルヤ・イッコウと似てませんか?。
当然、この映画以降でしょうね、「ラドン温泉」なんて街にあったような(笑)。

投稿: ロンリー・マン | 2008年2月26日 (火) 03時02分

ロンリー・マンさん。こんにちは。
そうですね、古谷一行に似てますね。
佐原さんは特撮俳優と言われますが、B級コメディーにも
沢山出ていて、お調子者が多いみたいです。
ウルトラQ以後、パイロット役も多いです。
ラドンという放射性物質はこの映画でお馴染みになりました。
微量の放射線を浴びると、免疫力が高くなるそうですね。

投稿: スタンリー | 2008年2月26日 (火) 11時07分

すでにごぞんじかもしれませんが・・・

>崩壊するビルの中に、逃げまとう人が合成(おそらくリアプロジェクション)されている。「ゴジラ」でも同様のシーンがあったが、気配りのある演出。

こちらのシーンはミニチュア内に鏡をはめこみ、ミニチュア側面の遠くにいる人々を映しこんだものです。遠近法を利用して、サイズを合わせているわけですね。俳優にはチョコマカと演技をさせて、ハイスピード撮影に合わせていたとか。
予算やスケジュールの問題もあって粗いカットを多用するかわりに、アイデアでカバーしようと奮闘していた円谷らしい特撮かと思います。

投稿: | 2013年7月29日 (月) 11時39分

貴重な情報ありがとうございます。
鏡を使ったトリックとは知りませんでした。
ミニチュアの向こうの方でリアルタイムに演技していたのですね。
パンフォーカスになるので、ライプの方では、かなり強烈な照明を当てていたと想像できます。

投稿: アラン・墨 | 2013年7月29日 (月) 23時32分

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