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悪名シリーズ

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「わいは八尾の朝吉や」

自分を紹介するのに、苗字を言わないのが面白い。相手も苗字を訊かないのが面白い。本名が村上朝吉であることは、映画のずっと後で分かる。

河内弁と八尾を全国に知らしめたのはこの映画ではないだろうか。自分のことは「わい」。YOUのことは「ワレ」あるいは「オンドレ」という。誰かが何か企んで行動を起こしたことを「~さらしおった」という。怒っているわけではないのだが。

もっとも、1975年ごろ「河内のオッサンの唄」というのがヒットしたので、あの言葉はお馴染みであった。 ようするに怒っているような言葉だが、本人は親しみをこめて喋っているつもりなのだ。ちょっとシャイな気質だと思う。

映画のシリーズでは八尾駅のロケもある。昭和37年頃だと思うが、本モノの駅だとすれば、大変小さい駅だった。

朝吉のキャラクターは、弱く困っている人をほっておけない性分で、売られた喧嘩は買うがヤクザが大嫌い。一方警察も嫌い。自分の信念を押し通す。義理を守る。そのくせやっぱりシャイで、朝吉は「照れまんがな」というセリフをよく言う。河内人の気質をよく出しているのではないか。

ケンカは強く、負けたことがない。めちゃくちゃハンサムでもないが、女はコロットまいってしまう。

カレーライスが大好きで、酒が全く飲めない。横文字が苦手で嫌いなので、ルー大柴など張り倒されるかもしれない。

酒が飲めないのは残念で、勝の飲みっぷりが観たかった。

勝の食べるシーンが面白くて、毎回楽しみだ。ウドンは噛まずに丸飲みで、しかもセリフをタイミングよくはっきりと喋る、実にうまい。

特にカレーライスの食べっぷり(セリフを喋りながら)は絶品で、一皿を1分ほどで平らげる。NGを出したらもう一遍食わなければならない。「カレーは飲み物」と言っているマイウータレントがいるが、まさにそんな食い方だ。

朝吉の相棒は田宮二郎で、シリーズ最初の二作は「モートルの貞」(苗字不明)という。

モートルとは「日立モートル」などの電気モーターのことだろうか。以前、漫画週刊誌で、「悪名」のことがマンガの中で触れられていて、「ロートルの貞」と間違っていたので笑ったものだ。年寄りには見えないが・・・。

田宮二郎はこの映画で人気大爆発し、二作目で、殺されてしまうのだが、ファンの要望だろうか、三作目より、ソックリな弟役「清次」で復活する。

「梅にウグイス、松に鶴、牡丹に唐獅子、朝吉親分に清次兄いや」

と、兄貴のときよりパンチのあるキャラクターで画面を明るくしてくれた。この人の自分の腕や手をポンと叩きながらのマシンガントークは、まるで鉄火場のアニさんのようで、弾けるような芝居を見せてくれた。

また、朝吉に「ケタクソ悪い」と言われながら、英語まじりのセリフ運びは楽しかった。

清次は根本的にヤクザで、それを朝吉が咎めたり、愛想をつかして、つっぱねるシーンが良く出てくる。これは映画製作者の良心である。

ケンカのシーンは日活などより、リアリズムよりだと思う。ビールで頭を叩くという、実際だったら死んでしまうようなアクションはない。

追記: シリーズ後半編ではビールびん(キャンディグラス)で頭を叩くシーンがいくつかあった。

だが勝はかなり本気モードでやっていて、上田吉二郎、遠藤辰男、伊達三郎、佐藤慶などの悪役は、ゲンコツは当たっていないだろうが、あちこち振り回されボコボコにされている。

ところで、この映画シリーズ、全部で15作あるのだが、回を追って、話や状況が矛盾しているところがある。

特に二人の年齢設定が次第におかしくなっていく。

朝吉は太平洋戦争前に軍隊に徴兵されるが、そうすると大正生まれである。これはだいたい、二作目までは状況にあっている。戦後のドサクサでも30代前半である。しかし、昭和35年ごろの話では相変わらず30歳前後の格好で、変だと感じた。

また、清次はシリーズのあるエピソードで、昭和8年生まれであると分かっている。すると初登場する大阪闇市が舞台の三作目は、戦後すぐのごろと思われ、まだ中学生ではないか。

脚本は、ほとんど依田義賢氏であるが、シリーズを重ねるにしたがって、やむをえず、映画の公開している昭和30年代に、二人の設定を合わせていることが分かる。

ただし、清次の生年月日が分かるエピソード「悪名太鼓」は、藤本義一氏の脚本で、製作者ともども、ウッカリしていたのかもしれない。昭和元年生まれくらいにするべきであった。

追記:シリーズ最終作「悪名一番勝負」は朝吉、番外編で、原作・監督はマキノ雅弘がやっている。 この映画の朝吉は完全にヤクザで、ケンカでも刃物を使う。田宮二郎は出演していない。 私はヤクザがきらいで、堅気の朝吉を応援していたのだが、この映画では以前の悪名シリーズのように、完全に素手で、チンピラをコテンパンに叩きのめすという期待を裏切られる。 したがって途中で観るのを止めた。 私はヤクザ映画は観たくない。

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コメント

悪名シリーズは15作もあるのですか?!田宮次郎さんの印象が強いのですが、二作目で死んでいるのですね(笑)。で、ソックリな弟を出してくるとは・・・ハハッ。双子なのでしょうか?
苦肉の策ですね~。

PS:画面、元通りになりましたね♪

投稿: マーちゃん | 2008年1月25日 (金) 18時24分

マーちゃん。こんばんは。
画面の異常は左側の宣伝のひとつが原因でした。
つぶしたら直りました。どうしてか分かりませんが。笑
無料ですから文句言えません。
知らせていただきありがとうございました。

田宮さんは双子ではなかったはずです。弟なんです。
お母さんは名前をしりませんが、ガンコなばあちゃん役でお馴染みの人です。
田宮さんはモートルの貞のとき、藤原礼子と結婚して、子供ができるときに殺されます。ちょっとショックな展開でした。
ところで、藤原さんは私の好みの女優さんです。笑
若山富三郎の奥さんでした。

投稿: スタンリー | 2008年1月25日 (金) 20時28分

こんばんは。レイアウト直りましたね。おめでとうございます♪
パソコンはちょっとした事でへそを曲げますからね~。

清次のキャラクターは私も大好きでした。田宮二郎さんは
素顔は繊細な面はあるものの、明るい関西人だと昔なにかで
読んだ事がありましたので、案外にこのキャラに近いかも
しれませんね。。(ま、ここまで極端じゃないでしょうが。。笑)
何作目か忘れましたが、朝吉が河内音頭を唄ってたのが
ありましたが、やはり粋、スターですね。見惚れてしまいました。
スゴイ二人でした。

投稿: P・うさぎ | 2008年1月25日 (金) 21時52分

P・うさぎさん。こんばんは。
画面が変なのに昨日の晩まで気がつきませんでした。
申し訳ありません。

田宮二郎は「白い巨塔」などの陰鬱なイメージがあったのですが、「悪名」を初めて見たときは、あまりにも身軽で明るくて軽薄なキャラなので驚いたものです。
「タイムショック」もテキパキと司会してかっこよかったです。
猟銃自殺の臨時ニュースは今でも覚えています。
「河内音頭」は何回か歌っていますね。
三味線(本業)や太鼓も歌も玄人ですから訳ないですね。
「兵隊やくざ」で芦屋兄弟が、大宮一等兵に「河内には八尾の朝吉ちゅう偉い親分がいてますが知ってまっか」と訊き、勝が「知らん」という楽屋落ちシーンがありました。

投稿: スタンリー | 2008年1月25日 (金) 22時26分

清次の苗字がどうしても知りたい(思い出したい?)ので教えて下さい。

投稿: 黒田官兵衛 | 2017年1月 7日 (土) 22時48分

黒田官兵衛さん。コメントありがとうございます。
お尋ねの件、ネットで自分も調べてみましたが、なかなか資料が見つからず、今だ判明しません。
「新・悪名」だったかで貞の母親の家へ訪れるシーンがあるので、ひょっして家の表札などがあれば画面停止で推測できるかもしれません。
また、今東光の原作ではどうなっているのか探せば分かるかもしれませんね。
黒田さんのご指摘で、貞、清次の苗字を探る楽しみが増えました。

投稿: アラン・墨 | 2017年1月 8日 (日) 09時45分

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