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2008年1月

セブンチャンス

キートンのセブン・チャンス DVD キートンのセブン・チャンス

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洋画メモ、NO,12

1925年、バスター・キートン

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25年ほど前だったか、トヨタ・スターレットのコマーシャルで藤山一郎の

「丘を越えて」の唄に合わせ、キートンは走っていた。

スタコラ・スタコラ速いこと、速いこと、砂ボコリ蹴散らし、丘を飛び跳ね、デングリガエッテ、感動した。うれしかった。人生くじけても走ればなんとかなる。

ただし、岩石落としのシーンはCMにはなかったと思う。

700人?の花嫁候補に追っかけられるモブシーンはゲリラ撮影だろうか、道路沿いに駐車しているタクシードライバーがキョトンとしている。

チャップリンの映画にも、ものすごい数のオマワリに追いかけられるシーンがあったと思うが、どちらが先にやったのだろうか。

追記:大量のオマワリサンに追っかけ廻られるのはキートンの映画にもあった。

かなり高い位置での移動クレーンを使っての撮影。エキストラへのギャラで予算を喰っただろう。

冒頭の告白シーンでは4シーズンの変化を、犬の成長とともに、フィックスで見せる。これがまあフランス調と言うべきか。英語の詩のような解説とともにオシャレだ。

車の移動も固定カメラでワープさせて粋である。あの処理は難しいのではないだろうか。

スタントなしの生身で撮影。クレーンに高くぶらさがり、ほんとに危ない。

走ってきて、絶壁の寸前で停止、木に飛び移る。そのまま倒れるが、カットしてありそこだけは人形であった。

崖を滑り落ちたり、ジャンプ回転で降りたり、何気ないカットでも実際はスリキズだらけのはずだ。よくやるもんだ。

岩石落としのシーンもハリボテといえども危険であるが、ちょっとやってみたい気もする。「風雲タケシ城」で似たようなのがあった。

ところで、700万ドルとは、当時の金でいくら位だろう。

1000億円くらいではないだろうか。

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椿三十郎・リメーク

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退屈で早く終わってほしいと思った。

織田裕二という俳優さんは、うまいだろうか。私にはそうは見えないが。

どうも黒澤監督だったら一番いやがる芝居をしていると思う。

まったくオリジナルと同じシナリオなのだが、ことば運びのリズムを壊している。

たとえば、「さっきのは3匹でも猫だが、こんどのは1匹でもトラだぜ」というセリフがあったと思う。

これは丁度真ん中で、リズムの休符があり、二つに分けてしゃべるのが妥当ではないか。 

それを猫とトラでリズムを切り、動物のアクションをしてみせる。奇をてらう余計なサービスで三十郎のスマートさをスポイルしている。

そういうリズムバランスを壊したシーンはたくさんあり、あえて黒澤作品と違うようにやっている。 「マネじゃありませんよ」というわけである。

また、織田裕二と、特に旧作で田中邦衛が演じた若侍の俳優は、トレンディドラマのようなオーバーな演出やアクションで、鼻持ちならなかった。

これは映画であり、演劇の舞台ではないのだ。顔や体を大げさに変化させなくともよい。

撮影はよかった。オリジナルと変えた部分は、例えば、左から右へ行くシーンを逆にしていても、不自然さは感じなかった。

劇場に来ていた客は、オリジナル作品を知っている客層で、笑いを取るシーンは既に知っており、誰も笑わなかった。

R15指定をクリアするということで、血糊ブシューがない。子供に見せる必要なんかないから、遠慮なくやってほしかった。ガッカリした客は多いと思う。

エンドロール早々に席を立つ客が多かった。

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兵隊やくざシリーズ

勝新太郎/兵隊やくざ 勝新太郎/兵隊やくざ

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「♪遊女が客に惚れたという~」

勝新太郎の「兵隊やくざ」も面白かった。昭和40年ごろから制作されているから、「座頭市」、「悪名」より後となるが、勝は、同時期、ほぼ3本の映画を掛け持ちしていた。

兵隊の日常が描写されている映画を観るのが好きで、他にも「二等兵物語」、「与太郎戦記」など深夜放送の映画でよく観たものだ。

私は軍隊というものが大嫌いであり、「兵隊やくざ」の田村高廣演ずる有田上等兵の気持ちは、私の気持ちそのものだ。

田村高廣の有田上等兵が、映画の冒頭、ナレーションで言う。

「20年たった今でも、軍隊を思い出すとムナクソ悪くなる。」

だから、戦後の平和な時代に生を受け、あの時代に遭遇しなかった喜びと幸福を。 戦争で犠牲になった人への感謝を、軍隊映画を観ることによって、素直に感じてしまう。

勝新太郎の大宮は、元ヤクザで石頭、岩石顔。 軍隊お馴染みのビンタなど屁でもなく、殴った相手の手が逆に怪我をしてしまう。

軍隊では階級の星ひとつ多いだけで、神様であるが、そんなことはお構いなし、重営倉入り覚悟で大暴れする。

ただし、軍隊というところは、星の数よりメンコの数がものを言う。ということをこの映画で知った。メンコの数とは、何年軍隊でメシを食ってきたかということである。

二年兵の伍長より、三年兵の上等兵がデカイ顔できるのだ。

そんな大宮の暴走を知的にセーブするのが有田上等兵で、力と頭脳のバランスがとれたコンビは、権力に仕返しをし、悪徳上官の手足をへし折、あげくのはて脱走をする。 これがまた爽快だ。

また、脱走中は、P屋に化けたり、ニセ将校になって軍隊に舞い戻ってうまく立ち回っている。

ゲスト出演は、お馴染み大映の悪役俳優さんがいて、またかという感じだが、時々、勝新太郎のどこかユーモラスなキャラに合う人が共演している。

例えば、玉川良一などがそうで、元僧侶の兵隊役であった。 そのエピソードでは、死んだ兵隊(藤岡琢也)の仲間内でやる、ささやかな葬儀でお経をとなえている最中、「勝ってくるぞと勇ましく」の歌がお経の中入っていて、大爆笑したものだ。

ところで、大宮は女好きであり、休暇になるとさっそく札束携えてP屋(PROSTITUTE宿・・・海軍が使っていた隠語であるが)に直行する。

軍隊というところは、兵隊の衣食住は、今の自衛隊と同じでタダであり、もらった給料はそういうことに使える。

大宮はいくら位の給料をもらっていたかというと、一等兵の一ヶ月の棒給は5円50銭で、さらに外地手当てが同じくらいつくので、合計10円程度ということだ。

当時の工員の一日の賃金が1円から3円ということなので、3円を今の1万円くらいと換算すると、3万円くらいということになる。

なお、戦地では兵隊はみな一等兵以上であり、二等兵というのは内地で招集され、教育を受けているときだけの位である。意外と知らない人がいるのではないか。

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悪名シリーズ

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「わいは八尾の朝吉や」

自分を紹介するのに、苗字を言わないのが面白い。相手も苗字を訊かないのが面白い。本名が村上朝吉であることは、映画のずっと後で分かる。

河内弁と八尾を全国に知らしめたのはこの映画ではないだろうか。自分のことは「わい」。YOUのことは「ワレ」あるいは「オンドレ」という。誰かが何か企んで行動を起こしたことを「~さらしおった」という。怒っているわけではないのだが。

もっとも、1975年ごろ「河内のオッサンの唄」というのがヒットしたので、あの言葉はお馴染みであった。 ようするに怒っているような言葉だが、本人は親しみをこめて喋っているつもりなのだ。ちょっとシャイな気質だと思う。

映画のシリーズでは八尾駅のロケもある。昭和37年頃だと思うが、本モノの駅だとすれば、大変小さい駅だった。

朝吉のキャラクターは、弱く困っている人をほっておけない性分で、売られた喧嘩は買うがヤクザが大嫌い。一方警察も嫌い。自分の信念を押し通す。義理を守る。そのくせやっぱりシャイで、朝吉は「照れまんがな」というセリフをよく言う。河内人の気質をよく出しているのではないか。

ケンカは強く、負けたことがない。めちゃくちゃハンサムでもないが、女はコロットまいってしまう。

カレーライスが大好きで、酒が全く飲めない。横文字が苦手で嫌いなので、ルー大柴など張り倒されるかもしれない。

酒が飲めないのは残念で、勝の飲みっぷりが観たかった。

勝の食べるシーンが面白くて、毎回楽しみだ。ウドンは噛まずに丸飲みで、しかもセリフをタイミングよくはっきりと喋る、実にうまい。

特にカレーライスの食べっぷり(セリフを喋りながら)は絶品で、一皿を1分ほどで平らげる。NGを出したらもう一遍食わなければならない。「カレーは飲み物」と言っているマイウータレントがいるが、まさにそんな食い方だ。

朝吉の相棒は田宮二郎で、シリーズ最初の二作は「モートルの貞」(苗字不明)という。

モートルとは「日立モートル」などの電気モーターのことだろうか。以前、漫画週刊誌で、「悪名」のことがマンガの中で触れられていて、「ロートルの貞」と間違っていたので笑ったものだ。年寄りには見えないが・・・。

田宮二郎はこの映画で人気大爆発し、二作目で、殺されてしまうのだが、ファンの要望だろうか、三作目より、ソックリな弟役「清次」で復活する。

「梅にウグイス、松に鶴、牡丹に唐獅子、朝吉親分に清次兄いや」

と、兄貴のときよりパンチのあるキャラクターで画面を明るくしてくれた。この人の自分の腕や手をポンと叩きながらのマシンガントークは、まるで鉄火場のアニさんのようで、弾けるような芝居を見せてくれた。

また、朝吉に「ケタクソ悪い」と言われながら、英語まじりのセリフ運びは楽しかった。

清次は根本的にヤクザで、それを朝吉が咎めたり、愛想をつかして、つっぱねるシーンが良く出てくる。これは映画製作者の良心である。

ケンカのシーンは日活などより、リアリズムよりだと思う。ビールで頭を叩くという、実際だったら死んでしまうようなアクションはない。

追記: シリーズ後半編ではビールびん(キャンディグラス)で頭を叩くシーンがいくつかあった。

だが勝はかなり本気モードでやっていて、上田吉二郎、遠藤辰男、伊達三郎、佐藤慶などの悪役は、ゲンコツは当たっていないだろうが、あちこち振り回されボコボコにされている。

ところで、この映画シリーズ、全部で15作あるのだが、回を追って、話や状況が矛盾しているところがある。

特に二人の年齢設定が次第におかしくなっていく。

朝吉は太平洋戦争前に軍隊に徴兵されるが、そうすると大正生まれである。これはだいたい、二作目までは状況にあっている。戦後のドサクサでも30代前半である。しかし、昭和35年ごろの話では相変わらず30歳前後の格好で、変だと感じた。

また、清次はシリーズのあるエピソードで、昭和8年生まれであると分かっている。すると初登場する大阪闇市が舞台の三作目は、戦後すぐのごろと思われ、まだ中学生ではないか。

脚本は、ほとんど依田義賢氏であるが、シリーズを重ねるにしたがって、やむをえず、映画の公開している昭和30年代に、二人の設定を合わせていることが分かる。

ただし、清次の生年月日が分かるエピソード「悪名太鼓」は、藤本義一氏の脚本で、製作者ともども、ウッカリしていたのかもしれない。昭和元年生まれくらいにするべきであった。

追記:シリーズ最終作「悪名一番勝負」は朝吉、番外編で、原作・監督はマキノ雅弘がやっている。 この映画の朝吉は完全にヤクザで、ケンカでも刃物を使う。田宮二郎は出演していない。 私はヤクザがきらいで、堅気の朝吉を応援していたのだが、この映画では以前の悪名シリーズのように、完全に素手で、チンピラをコテンパンに叩きのめすという期待を裏切られる。 したがって途中で観るのを止めた。 私はヤクザ映画は観たくない。

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座頭市

座頭市あばれ凧 DVD 座頭市あばれ凧

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「おめーさんたちゃ あっしを斬ろーてのかい。 ハハハ いのちゃ大切にした方がいいすょ」

「ど〇〇〇って三度言ってみな いのちゃねーよ」

勝新の座頭市は文句なしに面白い。

この映画で、社会性だの芸術だの論ずるのはナンセンスである。

この映画は何を訴えているのか、などという青臭い議論は勝新の居合い切りで真っ二つにされてしまう。

ただ、料金払った分だけの面白さは絶対ある。

観ていてワラッテしまうサービス満点の爽快感もある。

居合い切りでは、トックリや、厚い碁盤、はたまた石灯篭までレーザーカッターのように半分コになってしまう。 ルパンⅢ世のゴエモンの原型といってもいい。

座頭市は兇状持ちであり、かたぎの通る道は避け、裏街道を歩く。

そのロケがすばらしい。昭和40年ころの里山の風景や、朽ちかけた橋などの撮影は絶品で、それを観るだけでも価値がある。私の子供のころ走り回った野山や田圃がそこにある。

あのころは、まだ携帯の中継アンテナなど無く、撮影ロケも今より楽だったのではないか。

もっとも、鮮明なDVDにかかると、高圧線や電柱が見えてしまっているシーンがいくつかある。

座頭市も子供には苦手で、ついつい預かったり、面倒をみてしまう。

オムスビとお天道様が大好きで、茶店では顔中、黄な粉だらけにして餅菓子を食べていて健気だ。

そういうシーンには多分に勝新太郎のアドリブがきいている。

特に旅籠でご飯を食べるときが傑作で、オヒツから飯茶碗に盛るときはいつも笑ってしまう。 

テンコ盛にご飯をもり、こぼれたご飯つぶもちゃんと拾って、口がはちきれんばかりにご飯をほおばる。

目を白黒させて食べる。(もともと白目だが)その子供みたいなしぐさが可笑しい。

さて、「座頭市あばれ凧」は、市が鉄砲で危うく撃たれるところを河に飛び込んで難をのがれ、助けてもらった相手を訪ねていく話である。

やっと見つかったその恩人である女性は、河渡しの人足をまとめる親分の娘であるが、市に空腹であろうと食事をすすめる。

市は「いえ、もう食べてきましたから」と遠慮するが、出された膳を見る?、やいなやオヒツに飛びつき、飯をテンコ盛にしてガッツいて口に押し込む。

このシーンは勝新太郎の食事シーンの最高傑作といっていい。

娘の「よっぽどお腹がすいてたのね」という台詞の後、勝新のバストショットとなるが、口の中は150パーセントのご飯で返事の言葉も言えず、ただただ

「WUO? HOOHO」とうめくだけ。 

勝新はNG覚悟で、ほおばったまま笑っているのだ。

ここで、撮影スタッフの笑い声までマイクは拾ってしまっている。

ちょっとしたファンへのサービスシーンといってもいい。

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ヒコーキ映画のミス

「東京上空30秒」の映画で気になる描写があった。

航空母艦からB-25が発艦するのだが、無事上昇しきってしまったところで、副操縦士がフラップを下げていなかったことに気が付くのだ。

そんなことがありうるだろうか。

私はB-25の飛行性能を知らないが、あのクラスのプロペラ飛行機のローテーション速度(飛び上がるために操縦桿を引き起こす速度)はフラップを定位置に下げている状態で、ギリギリ最低時速100キロ前後だと思う。

もし、フラップを下げていなければ、離陸には時速180キロほど必要ではないか。

それでは、とても訓練で行った、500フィート(約150メートル)以内の距離では加速し、離陸できない。

ただし、かなりの強風が空母前方から吹いていれば、ひょっとして可能かもしれない。

空母は、発艦時は全速力で風上に向かって走っている。その速度は時速50キロくらいだ。

それに、仮に時速30キロの迎え風があるとすると、飛行機は甲板に停止している状態で既に80キロの速度を得ていることになり、そこからフラップを下げなくとも、100キロの速度を出せば離陸できることになる。

実際に、この東京初空襲の記録映像をみると、海は大荒れであり、強風が吹いている。離陸の実写では、B-25は見かけ上、時速30キロくらいの速度で、まるで飛行船のようにフワフワ浮いて発進しているものがあった。

だから、ひょっとしてフラップなしでも離陸できた幸運な飛行機があったのかもしれない。

キャプテンも副操縦士も興奮状態で、離陸手順を二人とも忘れてしまったのだろうか。 ただ、これが旅客機であれば、滑走路でオーバーランしてしまい、とんでもない事であるが。

ところで、この映画の日本語字幕に「水圧は異常ない」というのがあったと思う。

これがヒコーキファンには笑わせてくれることなのだ。

原語セリフの HYDRO PRESSURE は 航空工学では油圧のことである。

飛行機のメカは、水の圧力など利用していない。

この間違いは以前の航空パニック映画、たとえば「エアポート~」などにも何度かあった。

翻訳の方々。もうすこし理科になじんでいただきたい。

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「東京上空30秒」の特撮

リアプロジェクションを特撮とするならば、この映画のそれは、たいへんすばらしい。 

バックの映像は全くブレておらず、投影も完璧。バックスクリーンと気づかないほどである。

この映画のミニチュア特撮では、完全に円谷英二、およびその弟子たちの映像を凌駕している。

シーン1

B-25の空母搬入。クレーンで吊り上げられる部分。ゆっくりとした動きがいい。艦板に着地するとき、翼が振動する。ここでミニチュアと分かるが上質な撮影である。片一方のアンカーがゆっくり揺れているので、ハイスピード撮影であることが分かる。

シーン2

B-25の空母発進シーン。 空母の前方より撮影。実写では不可能なカメラアングルなので、特撮とわかるが、プロペラ飛行機の堂々とした離陸が良い。ワイヤーは見える。

シーン3

B-25のエンジン全開から空母発進。 飛行機のサイズは翼のスパン2メートルほどのものか。ゆっくりと滑らかに動き出し、円谷物のようにガタガタ・ブルブル振動していない。チョコマカしていない。艦板を滑走・離陸する姿は実写そのもの。ワイヤーは見える。作業員が人形であることが分かるので、実写でないと確認できる。

シーン4

ドーリットルが操縦するB-25が空母後方から低空飛行するシーン。

空母の上空をB-25が飛行する俯瞰シーン。 空母のディテールが良い。その周辺の波が良い。 ハイスピードカメラの回転が良い。B-25はプロペラ飛行機の適切な速度。円谷の操演だと、ジェット機の速度にさせてしまうだろう。

シーン5

東京工場地帯の爆撃シーン3カット。 実によくできた工場群のミニチュア。東京の複雑な道路、細道も徹底的に表現してある。 俯瞰でB-25の飛行を撮影。爆発炎上のパイロは破片と煙・炎上のコラボで、上空高く、バランスよく吹き上がる。ハイスピードカメラの回転も適切。

このシーンがドキュメンタリーなどに使われていた。

シーン6

爆撃の様子をB-25の横窓から後方へ眺めたような、低空横移動の撮影。

これも丁寧に作りこまれたミニチュアを移動とともに、タイミング良く爆破させている。カメラは実際の空撮を模して、微妙に振動させている。円谷にこういう撮影センスはない。

以上がミニチュア特撮シーンであるが、もう1カット、リアプロジェクションをバックに輸送機の水平飛行シーンがある。これはたいした出来ではない。

ミニチュア撮影はすべて野外での撮影と思われる。 太陽光は、実写に近い陰影を与えてくれている。

1942年制作の東宝の「ハワイ・マレー沖海戦」の特撮は、誰がどう見たってミニチュアにしか見えなかった。

1940年代から、アメリカの名も知れない特殊効果マンによる、実写なのか特撮なのか分からない映像づくりが、いかに優れていたかがよく分かる。

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東京上空30秒

東京上空30秒 特別版 DVD 東京上空30秒 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
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特撮メモ、NO,13 レンタル

1944年、MGM、白黒、スタンダード、138分、画質・音質、良

アカデミー特殊効果賞、撮影賞

原題は日本語訳のまま。

監督- マーヴィン・ルロイ、 撮影- ハロルド・ロッソン、ロバート・サーティス

音楽- ハーバート・サーティス

特殊効果- A.Arnold Gillesoie 、 Warren Newcombe

Donald Jahraus

出演- スペンサー・トレイシー、ヴァン・ジョンソン、ロバート・ミッチャム

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前々から、気になっていたミニチュア特撮の映画を観ることができた。

よく、東京空襲のドキュメンタリーなどの空爆シーンに、実写映像とともに、流される特撮映像があった。

たぶん、映画から抜粋したものだろうと予想していたが、俯瞰で撮影された、爆撃シーンがたいへんすばらしかったのである。

なんという映画か分からなかった。ただ「東京上空」という名前の一部だけは、どこかで聞いたことがあった。

今回、レンタル屋で、その映画の題名のDVDを発見し、ようやく全貌を知ることができて、幸運である。

実写映像が大部分を占めるこの映画にあって、ミニチュア特撮部分は僅かであるが、おそらく、空爆のミニチュア特撮としては、歴史に残るものだ。

そのシーンは特撮ファンでなければ、実写としか見えないだろう。

よく、当時のレベルで、円谷英二は特撮の神様だ、日本の特撮が世界一だと、見当違いの発言をしている人がよくいたが、そういう方々は、この映像を観ていただきたい。考えが変わるであろう。

円谷、ツブラヤと1950年代、1960年代に大騒ぎしていた日本の観客と映画人は、「井の中の蛙、大海を知らず」ではないだろうか。

1944年のアカデミー賞を受賞しているのは、名も知れぬ特撮マンだ。それも画面の片隅に小さく記名されているだけで、どこかの国の特撮マンのようにデカデカと名前が画面に出てこない。これは今のアメリカ映画でも変わらない。

前々から言っていることだが、アメリカの特撮マンは観客に特撮と気づかれない映像作りを目指しているが、日本の特撮マンは「見てのとおりオモチャだけど本モノと思って見てください」という映像作りである。

物語の構成は後年の「戦略空軍命令」とよく似ていて、作戦の遂行と1パイロットの家庭の話である。ただし中国での逃避行部分が違う。

音楽はやはり、「戦略空軍命令」が盗作といわれてもいいくらいソックリである。

おまけに、パイロットの女房役とジューン・アリスンは似ている。

スペンサー・トレイシーがドーリットルの役をしているが、たいへんカッコイイ。

ヒコーキファンにはB-25の実写映像がうれしい。特に短距離離陸の実写は見物だ。

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独立愚連隊西へ

独立愚連隊西へ DVD 独立愚連隊西へ

販売元:東宝
発売日:2006/01/27
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邦画メモ、NO,16、レンタル

1960年、東宝、シネスコ、白黒、107分、画質・音質、良

制作- 田中友幸、 監督- 岡本喜八、 脚本- 関沢新一、岡本

撮影- 逢沢譲、 音楽- 佐藤勝

主演- 加山雄三(デビュー)、佐藤允、堺左千夫、江原達治、

中谷一郎、平田昭彦、フランキー堺、中丸忠雄、水野久美

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前作、「独立愚連隊」とは全く関係ないストーリー。

もう戦死したことになっている愚連隊が、軍旗を探しに行く話。

進軍の歌、「イー、アル、サン、スー・・・・」、明るい無邪気な歌。

前作で中国軍に対する描写で批判があったので、両軍、対等の描き方をしている。

いつ死ぬか分からない過酷な状況でありながら、日本兵たちは戦争をエンジョイしてるかのように見える。

例によって、兵隊同士、上官・下士官関係なく、よそよそしい関係。

「いや、それは知りませんでした」。「いや、こちらこそ失礼しました」。

加山のデビュー作が、こんな明るい映画とは。

堺左千夫さん。大活躍。準主役級。 あんなに出番が多く、セリフの多いのは初めて。

ソロバン占いで「パーっといきましょう」という感じ。

フランキーが話しの分かる中国軍仕官役。中国語しか話さない。

両軍が一時的に休戦する場合、白旗掲げた軍使が相まみえ、協議する。

戦争映画では他に例を見ない描写。実際にああいうことがあったのだろうか。戦争に関する本を数多く読んだが、いっさいそういう事は記述されていなかった。

中谷一郎、今回は前作ほど活躍しない。どんな役だった思い出せない。愚連隊のガイド役だったか。中国の子供を引き取る。(金で買ったと言っていた)

中丸忠雄、また怪しげな役。しかし最後はチョット、カッコイイ。

水野久美。まだ初々しい。「マタンゴ」の色気はない。

中国軍ゲリラで、いきなり天本英世が出てくる。死神博士っぽい。

全面的に富士山でロケ。 「蜘蛛巣城」、「乱」と同じ地形ばかり。

中国軍兵士。市街戦で、またゴギブリの大群のように湧いて出てくる。300人は居る。

軍旗をめでたく奪還、しかし、愚連隊は転属命令。

それでも「イー、アル、サン、スー」、アヒル引きずって「終」のマーク。

悲壮感全くなし。

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モーツァルト交響曲41番のことなど

スコア モーツァルト 交響曲第41番 Book スコア モーツァルト 交響曲第41番

販売元:全音楽譜出版社
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ちょっと酔っ払って、久しぶりにステレオで、モーツァルトの「ジュピター」を聞く。

手前味噌であるが、私のオーディオシステムは、いかに安い予算で最良の音を出すか、に工夫したもので、全費用20万円位であるが、100万円クラスの音がしていると自負する。

その仕掛けは簡単なもので、安いプリメインアンプの全く同じメーカー、同じ機種のものを2台準備して、おのおの、片チャンネルのみ使用するというものだ。

こうすると、シングルアンプと同じ効果があり、歪の少ないピュアな音質となるのだ。

聞くCDはウィーンフィル、バーンスタイン指揮のモーツァルト交響曲41番「ジュピター」。

録音はDDDのデジタル録音である。(別にデジタル信奉者ではないので念のため)

この場合、よりピュアな音を楽しむにはアンプのスイッチをソースダイレクトとする。

ただし、ソースダイレクトで聞くにはボリュームの位置を11時以上にしなければ、低音が貧弱となる。

しかも2台のアンプのボリュームは右と左、適正の位置にセットする必要がある。

これで、マッキントッシュやJBL、マランツに負けない音が出る。

「ジュピター」の第四楽章に毎回、涙してしまう。

モーツァルト最後の交響曲であり、たった2週間で作曲された。

どう考えても神様が作らせたとしか思えない。

神さまは、天国にモーツァルトが必要であると感じたのであろう。

地上の人々に与えるシンフォニーはこの曲を最後にして十分と思ったのか、以後、彼にシンフォニーを作曲させず、3年後にモーツァルトを、アチラに連れていってしまった。

だから、特に第四楽章には、神がかり的なパワーを感じる。

フーガで繰り返し奏される「ターラーラー」という音は、力強い祈りの声の洪水と言ってもいい。

どのような宗教にも悪魔や、邪悪な神が存在するが、この曲を聞けば、すべて退散するだろう。

エクソシストや霊能者による除霊など必要ない。この曲を大音量で流せば済むことである。

人生に悩んでいる人、うまくいっていない人もこの曲を第一楽章から聴いてほしい。きっと力が湧いてくるはずだ。(第40番から聞けば尚よろしい)

最後、ホルンが高らかと鳴る。

悪魔よ、思い知ったか。我々の勝利であるぞ。(マダ酔っている)

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ゴジラのことなど

1974年のことだったか、テレビの民放局で「ゴジラ誕生20周年記念」という特別番組があった。

番組には宝田明、平田昭彦、志村喬が出演していたと記憶する。

その当時、私はまだこの映画を観ていない。20周年記念リバイバル上映というものがあったのか覚えていないし、テレビ放映もあったかどうか定かでない。

私の思い違いかもしれないが、どうも東宝はこの映画の出し惜しみをしていたように感ずる。特に他のゴジラシリーズとは別に、2番館での上映は許さなかったのではないか。

というわけで、観る機会の少ない、この昭和29年制作の「ゴジラ」は、私にとって憧れの映画だった

ところが、この映画を映画館で観たのか、テレビで観たのか全く記憶がない。

まともに観たのは10年くらい前に、WOWOWで無料で放送されたものということになる。

改めて観ると、画面も内容もたいへん暗い映画であることが分かる。

ゴジラの出現はすべて夜間。顔が良く見えない。容姿もあいまいな感じ。それは、ミニチュア特撮のアラをカバーできるというメリットがある。

初めての巨大怪物映画(まだ怪獣という言葉が出ていなかったと思う)で、円谷英二もスタッフも戸惑いがあり、自信がない部分もあるように思える。暗い夜のシーンばかりなのはその為だろう。

円谷は当初、「キングコング」と同じ、ストップモーションで撮影を計画していたらしい。ところが、時間的に不可能と判断、キグルミ方式に変えたということである。

映画の一部分にコマドリ撮影があるので、その片鱗が伺える。

しかし、キングコングの方式であったら、どんな映画になっていただろうか。その後の映画の流れが変わったはずだ。

ストップモーション映画では、レイ・ハリーハウゼンという巨匠が、当時活躍し始めていた。彼はキグルミ方式を全く認めていない。毛嫌いしているようにもみえる。 私はどちらもテクニックの一つだと思っているが。

ゴジラは戦争をよく知っている人たちが作った映画である。ゴジラの破壊した街は空襲により爆撃された様子そのままで、避難民や負傷者の描写はほぼ10年前の出来事と変わらない。 制作スタッフも役者も気が重かったことだろう。

昭和29年といえば、日本はもうアメリカの占領から独立しており、自由に映画を作れた。もしそれ以前だったら、あの被害を受けた悲惨な描写はGHQの検閲でカットされたことだろう。「ゴジラはアメリカの化身か」ということで。

事実、アメリカ版「ゴジラ」ではその部分がカットされているという。

宝田、平田、河内の新人俳優の演技もまだ固く、そんなことも映画を暗くしている一因である。

ゴジラは退治され、ヨカッタヨカッタという終わり方ではない。しかしそういうアプローチの映画の作り方もあったはずである。

山根博士は、しきりに学術的見地からゴジラの保護を訴えるが、私はどうも理解できない。ゴジラを生け捕りにしたいのだろうか。しかしクマやサルではないのだ。ゴジラの死体でも十分研究できると思うが。

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ゴジラ

ゴジラ ゴジラ
販売元:TSUTAYA online
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特撮メモ、NO,12 wowow

1954年、東宝、スタンダード、白黒、97分

制作- 田中友幸、 監督- 本多猪四郎、 撮影- 玉井正夫、

音楽- 伊福部昭、 特技- 円谷英二

出演- 志村喬、宝田明、河内桃子、平田昭彦、堺左千夫

小川虎之介、村上冬樹、高堂国典、

藤木悠(船の無線通信士)、佐原健二(観光船のアベック)

菅井きん(モーレツ国会議員)

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ゴジラのテーマ、変拍子リズムで面白い。楽譜を見てみたい。

あの当時の東宝のダビングオーケストラの演奏が下手。

船のミニチュアが小さい。カメラの回転は適切。

堺左千夫の新聞記者が漁民たちに取材し、伝説のゴジラを紹介する。

漁村の嵐のミニチュアシーンは標準的。

フリゲートマーチはテンポが遅い。

「七人の侍」の村人がたくさん出ている。大部屋俳優さんたち。

山根博士、恐竜のいたジュラ期を200万年前といっている。間違い。当時の学術レベルか。

スライドで見せるゴジラの山から現れた写真、まったく絵にしか見えぬ。いつも思うが東宝のマット画のレベルは低い。

島の少年が、いつのまにか山根博士の家に住み着いている。博士が保護したという説明部分がない。

島の少年。芝居がうまいが、その後の映画では出演の記憶がない。直ぐ引退したか。

ゴジラに襲われる観光船はミニチュア然としている。

芹沢博士の家、江戸川乱歩的、不気味な洋館。いい感じ。

芹沢博士の実験室、すばらしいセット。ウソくさくない。「地球防衛軍」から登場するネオン管発光器が既にある。カラー映像ならいい色だろう。

水槽をはさんで、河内から平田への、左から右への横移動カットがいい。

ゴジラの出現シーンに「ドン、ドン」という音が入る。足音だとしても、海上では不自然。

高圧鉄塔が溶けるシーン。光と溶ける速度が良い。世界の特撮の歴史に残る名シーン。

ゴジラの都内破壊、最初のシーン。

人間の立っている位置からのカメラアングルがいい。電車の架線、電柱の電線ごしに、仰いで見上げるゴジラ。怪獣特撮映像の基本だと思う。

列車の運転席窓からの映像、鉄橋の下でストップするわずかなカット。シュノーケルカメラがあれば、もう少し進めた。

ミニチュア電気機関車の機関部の横移動撮影は、カメラの振動が効果を出している。

ゴジラが列車を咥えているが、縮尺が変ではないか。列車はあんなに小さくないはず。

橋の破壊シーンはカメラの回転が遅い。鉄骨の重量感がない。

動物園の鳥小屋をはさんだゴジラの顔の合成。すばらしい効果。

上部のキャビンが火災になっている鉄塔が倒壊する。その下からの写し方、カメラの回転数は適切。迫力ある映像。

消防車の暴走・転倒はストップモーション撮影。 オモチャ然としている。私ならカットする。

無線通信士、本文の前に必ず「アー」という。 笑ってしまう。 あの当時はそういう無線方法か。

街の遠景火災のシーンは、ハイスピードカメラの回転が遅い。 シーンによってハイスピード撮影の回転が変わり、安定しないという円谷特撮の欠点が早くも露呈している。

銀座和光の時計台破壊シーンもカメラの回転が遅い。チョコマカと崩れる。

日劇のゴジラのしっぽによる破壊は、一部ストップモーション撮影。なくてもよいカット。

国会議事堂破壊シーン前のビルデイングの倒壊がすばらしい。上から下に順番にくずれていく。円谷特撮でもすぐれたシーン。

中継放送中の鉄塔の崩壊は、もう少しカメラの回転を早くしてもいい。おしいシーン。

ジェット戦闘機による攻撃シーン。なぜかハイスピート撮影でなく24コマの撮影。まるでロケット花火遊びではないか。不可解。チョコマカした動き。 なぜこうしたか意味不明。

ジェット戦闘機のミサイル発射も、ワイヤーが丸見えでオモチャ同然。 この撮影法は後年でも変わらず。進歩がない。

焼け跡廃墟から、負傷者の収容施設への描写は、この映画の最も心打たれるところ。

監督からスタッフ・役者もすべて戦争体験者なので実感がこもっている。子供の泣き声が涙をさそう。 すぐれた反戦映画といえる。

実験室での芹沢博士と宝田のもみ合いシーンで、いつのまにかテレビのスイッチが入っている。 少女の合唱シーンは少々長い。

水槽のガラス越しでゴジラの断末魔を撮影。いいカット。

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          2008年 謹賀新年

今年もよろしくおたのもうします。

元日起きたら40センチの積雪。

マイッタ・マイッタ・マイケル・チミノ

雪かきで汗がダクダク・カーク・ダグラス

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