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日本誕生

日本誕生 DVD 日本誕生

販売元:東宝
発売日:2007/02/23
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特撮メモ NO,10

1959年公開、東宝、シネスコ、カラー、約180分 、日本映画技術賞

制作- 藤本真澄、田中友幸  、監督- 稲垣浩

撮影- 山田一夫、 特技監督- 円谷英二、 音楽- 伊福部昭

出演- 三船敏郎、杉村春子、中村雁二郎、原節子、他東宝オールスター

東宝映画制作1000本記念で制作された。

円谷特撮で未見のものであった。大作で楽しみにしていたが、映画の出来は良くない。あくびが何度も出た。

伊福部の音楽も特に目立たない。

ドライアイスの煙の多用は、一種のゴマカシに見えてしまう。

稲垣監督の失敗作といってもよい。監督もやりたくてやったものでないだろう。

各俳優の芝居もなんだか素人の舞台劇のようで、古代の人物を演出する監督も、演技する俳優も戸惑っているように見える。

三船も例のドロドロした低い音程の声で吼えてばかりで、空廻りしている。

古代のコスチュームでは、三船の出始めた腹が目立ってしまった。

話が右、左に振り回され、どこに焦点を向ければよいか分からず。

ただ、俳優さんの意外な一面、かくし芸が見られた。

特に乙羽信子の、ブス顔メークの踊りは傑作であった。宝塚出身であることが確認できる。 原節子の厚化粧による天照の神、(草笛光子にソックリ)も意外なキャスティング。 左ト全はハレンチ学園の格好といってよい。

円谷の特撮はかなり力を入れている。合成でも以前より進化している。兵器や飛行機などでなく、すべて自然現象であることが、功を奏している。

      ◎特に良い特撮、合成

・冒頭、日本列島誕生の、ドロが渦を巻いているシーンは、ウルトラQのタイトルの原型といってよい。 なにかグリスのようなものをスクリューで回している。

◎ 三船がヤマタノオロチを退治するシーンは、ワイヤーワークとはいえ、八つの首を動かし、壷の酒を飲ます演技は、キングギドラの操演よりしっかりしており、ケチがつけられない佳作である。 ただし、ワイヤーは見える。

ハリーハウゼンはこの手をコマドリで行うが、私はどちらも甲乙つけがたい特撮だと思う。

◎ 手漕ぎ船のミニチュア撮影は円谷の特撮でも、最も成功したものである。モーター仕掛けで漕ぐ人形を動かしているが、櫂をもどす時は動きが遅く、凝った演出である。

かなりの時間を、この撮影にさいていると思われる。カット数が多い。

ハイスピート撮影による、海の波、風の演出は世界的レベルで標準的。 とくに感心するものでもない。 

・荒れた海を、女が飛び込んで鎮めるシーンは波の動きが演技をしていて、大変良い。

・湖の反乱、鉄砲水が襲うシーンはミニチュア撮影は普通の水準だが、逃げ惑う人との合成は当時の水準を考えると良くできている。 「ラドン」の合成より良い。 

合成は、初めてバーサタイル・プロセスを使用とのこと。シネスコ用合成マシン。

◎ 一部、走る猪を横移動で撮影しているのは、メカ駆動の人形で、実写に近い映像。「フランケンシュタイン対バラゴン」でも応用されている。

◎ 三船と司葉子が、原っぱで火炎に包まれる合成シーンは、今のレベルでも通用する。

・火山の噴火は「ラドン」からの技術。溶けた鉄を溶岩にみたて流す。 「ラドン」より良い。ただし、ミニチュア感が否めない。 もうすこしハイスピード撮影にしたほうが良い。

溶岩流の実写映像を見慣れた現代人には、この溶岩はサラサラしすぎ。しかし、セットに水分があれば、爆発する恐れのある危険な撮影で、スタッフの苦労がしのばれる。

撮影監督はラッシュを観て、この溶岩の色に不満だったのではないだろうか。もうすこし赤く写っていればよい。

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コメント

凄い豪華キャストではありませんか!内容は神がかりっぽいし。
なのにイマイチだったのですか・・・あらまぁ。この映画は未見ですが、乙羽信子さんのメーク踊りの部分だけ、見た事があります。TVの何かの特集で取り上げられたと記憶しています。左朴全氏の「ヤメテケレ、ヤメテケ~レ、ゲバゲバ」を思い出しました。

投稿: マーちゃん | 2007年11月24日 (土) 20時17分

マーちゃん。こんばんは。
スターはたくさん出演していますが、当然、みんな出番が少ないのです。コスチュームもイマイチでした。でも一見には値します。
乙羽さんのダンスは面白かった。明るい、丸い顔なので、本来はああいうキャラかもしれません。
ズビズバー左ト全はゲバゲバでしたね。ヒゲゴジラのスタイルです。
小林桂樹、三木のり平、有島一郎の「社長」連中もゲバゲバでした。
原節子はケバケバでした。

投稿: スタンリー | 2007年11月24日 (土) 20時50分

この10年ぐらいの間にテレビではじめて観ました。
超豪華キャストでしたね♪おまけに監督が稲垣浩に、
脚本が“黒澤組”の菊島隆三!
でしたから、期待しない方がウソになる。
でも評判をあまり聞いたことの無い映画。。。
おそるおそる観て、やっぱり。。。orz 笑
世間の人様の評価というのは、正確ですね。

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年11月25日 (日) 13時14分

ぱんだうつぎさん。こんばんちは。
私も期待したのですが、特撮が見たくて、いくつかの踊りなどのシーンは早送りしてしまいました。
黒澤がやったら、美術と衣装は怒鳴られるでしょうね。
伊勢の神社の建築はマアマアでしたが。

投稿: スタンリー | 2007年11月25日 (日) 16時50分

すいませんが、私リアルタイムで見た記憶が…!
すっかり忘れてましたが、音羽信子の踊りというキーワード?で
幼い頃がフラッシュバック。
映画好きな母と行ったと思うけど、天の岩戸の前でやたら
エロイ服装(当時としてはね)で、音羽信子が踊りまくってた
あの映画でしょうかね。

投稿: バルおばさん | 2007年11月25日 (日) 21時10分

バルさん。こんばんは。
この映画だとおもいます。
たしかに薄い着物で、足なども見えていましたね。
伊豆肇のラブシーンも始めて見ました。
岩戸をこじ開けたのは、なんとかという相撲取りでした。
あ 三船の女装は面白かったです。

投稿: スタンリー | 2007年11月25日 (日) 23時04分

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