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宇宙大戦争

宇宙大戦争 DVD 宇宙大戦争

販売元:東宝
発売日:2004/10/29
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東宝特撮映画において、唯一怪獣、巨大生物、巨大ロボットの出てこない、純粋なSF物である。 その為、案外目だたない作品ではないだろうか。

しかし、私は好きだし、高く評価している。

私が子供のころ、正月のテレビ番組で、ほとんど毎年放送されていた。 そして、親父とともに、コタツに入りながら楽しんで見ていた。

私の親父は大正生まれのガンコ物だが、なぜか、SF物が好きであった。それに私も付き合って観ていたというわけ。 

東宝のSF物では「妖星ゴラス」もある。 ある時、親父と観ていたら、トドの怪獣が出現したところで、親父はチャンネルを切り替えてしまった。

親父の頭には、

怪獣が出てくる=子供向け=子供だまし=観るに耐えない、

という式が成り立っていたのである。 

であるから、テレビ放映の「モスラ」などは、一切観なかったし、見せなかった。

こういう精神構造は、私にも若干影響している。怪獣ものは正直言って、観たかったのだが、たとえ一人でも、やはり観たり、話したりするのは、なんとなく恥ずかしかったのである。こういうことだけは大人じみていた。

したがって、私の観るものはキグルミの出ない特撮SFがメインとなってしまった。

親父の好きな円谷プロのミニチュア特撮テレビ物は、唯一「マイティジャック」であり、これは一切怪獣が出てこなかった。 親父は私にも見せてくれた。

さて、この映画、月の描写などにバイロン・ハスキン、円盤のデザインにジョージ・パルの映画の影響がみられるが、逆に、多くのSF映画に影響を与えているのではないだろうか。

「スターウォーズ」のルーカスは若かりし頃、横須賀の映画館で、この映画を観ている。 「オレもいつか、こんな面白い映画をつくりたい」と語ったエピソードがある。 ただし、この映画は世界公開しており、英語名は「BATTLE IN OUTER SPACE」。 ルーカスがこの映画の邦題を知っていたかどうかは分からない。

円盤と防衛軍宇宙艇の、光線によるバトルは「スターウォーズ」に劣らないシーンである。

スタンリー・キュブリックは「2001年宇宙の旅」の準備段階に、世界のあらゆるSF映画を観て、制作の参考としているが、当然この映画も観ている。

この映画には月を移動する探検車が出てくるが、空中に浮上・移動することができる。 「2001」のムーンバスも同じ飛行方法である。同じタイプのものは、後年のアンダーソン夫妻の「UFO」でも登場する。

各国の科学者を前に、熱線砲の発射実験を行う場所は、白黒のまだら状のトンネルであり、これはアーウィン・アレンの「タイムトンネル」のデザインそのものだ。

また、コントロールルームの計器類のセットと、従事するオペーレータなどの描写は、デザインこそ違うが、同じくアレン物のSF物によくみられる。

というように、以後の映画のヒントがいくつも見つけられ、世界SF映画史上、忘れてはならない存在だと私は思う。

この映画の欠点を挙げるとすれば、物理的根拠が怪しいことで、重力の原理は原子の核振動であり、絶対零度になれば、重力がゼロになると、もっともらしく説明していることである。

「妖星ゴラス」脚本制作時のように、大学の先生に相談するべきである。

そのもっともらしく説明している科学者は池部良であるが、彼へのインタビューで、特撮映画の主人公を演じていることには、こう答えている。

-- ひどくみっともないんだよ。 はっきりいうと、要するに俳優の出番がないんだよ。あれだけ俳優がいるんだけどね。なんとか博士、なんとかパイロット、というだけの話であってね。その博士が「ああでもない、こうでもない」という気持ちをこねまわす類の映画じゃない。ストーリーの90%は特撮で、俳優じゃないから。」 --

池部良が最後に出演した特撮物というと、「スターウォーズ」公開前に拙速で制作された「惑星大戦争」ではないだろうか。

参考文献 : 

「映画俳優 池部良」 志村三代子、弓桁あや 編 ワイズ出版

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コメント

スタンリーさんがSFにお詳しいのは、お父様の影響だったのですね。親子でSF映画を見ている光景って、微笑ましい。
私は小さい頃、怪獣映画を映画館まで観に行ってましたよ。
子供じみてましたから(笑)。
「タイムトンネル」は観たような記憶があります。TVドラマですよね?何かと混同しているのかもしれませんけど^^;

投稿: マーちゃん | 2007年11月 5日 (月) 23時36分

マーちゃん。おはようございます。
私も怪獣映画は観にいきましたが、3本だけでした。
昭和43年ごろですが、子供料金は120円くらいだったと思います。 経済的になかなか見にいけなかった。(笑)
「タイムトンネル」はそのころのテレビ番組です。
「タワーリングインフェルノ」のプロデューサーの番組です。
時間を越えるトンネルは輪っかがいっぱい並んでいました。

投稿: スタンリー | 2007年11月 6日 (火) 08時10分

こんばにや
私のところも年末年始というと、必ず東宝特撮映画が
テレビ放映されていて、それが楽しみでしたね~。
これは、未見ですが、地球防衛軍が出てきそうな
雰囲気がくすぐりますねぇ。
こんど、レンタルしてみます♪

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年11月 6日 (火) 22時11分

ぱんだうさぎさん。
ようこそ我が街へ。保安官のロバートです。
(ファーストネームで言うのオカシイでいよね)
その我が街のレンタルショップには置いてないのです。
LDはあるのですが、画質がよくないですね。
DVDで観たいです。
防衛軍は伊福部のマーチで大活躍です。
ルーカスもウハウハしたと思いますよ。

投稿: スタンリー | 2007年11月 6日 (火) 23時01分

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