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銀嶺の果て

銀嶺の果て DVD 銀嶺の果て

販売元:東宝
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谷口千吉氏が亡くなった。95歳であった。

特に好きな監督といものではないが、この映画は、シンプルな脚本で、気に入っていたものの一つである。

谷口氏、監督としてのデビュー作。

悪党3人が銀行強盗をし、身を隠すため、日本アルプスに逃走する話だ。

そこで、山小屋で九死を得、志村喬のみ人間性を取り戻す。

脚本は黒澤と谷口との共同で、やはり黒澤が好みそうな話だ。男くさいのだ。

北アルプスでロケをしており、昭和22年ごろの制作だから、撮影はたいへんであったろう。 俳優も荷物運びを行った。

三船敏郎もデビュー作で、悪役からのスタートである。やはり芝居にかたいところがあるが、もう、あのフテブテしさを発揮している。 「酔いどれ天使」のヤクザ、松永の原型が見られる。

志村喬とのコンビ?もこの映画が初だ。 二人とも悪党というのは、最初で最後だと思う。

三船はその後、国際的大スターとなるが、世界の大概の人はサムライのイメージであろう。 デビュー作のピストルを構え、ポマードを塗って前髪たらしたヘアスタイルを見るとビックリするのではないか。

三人組の悪党のうち、小杉義男がいる。鬼瓦みたいな顔をしている名バイプレイヤーだが、少々、セリフにナマリがある。「どうなってもしらないぞ」が「どうなってもしんねーぞ」になる。 「七人の侍」でもタケヤリもって戦っている。有名な日本画家の甥だそうだが、東宝では新人の演技指導の先生もやっていた。三船も授業を受けており、共演はやりにくかったのではないか。

山小屋のジイサンは高堂国典で、私の好きな俳優だ。腰の曲がった老人役が多いが、背広を着て社長役などすると、背筋が伸びて、シャキットしている。声が大きく、朗々と響く。みんなコクテンと呼ぶが、ほんとうはコウドウ・クニノリである。

紅一点、若山セツコが山小屋の娘で出演している。当時18歳であるが、原節子の18歳と比べると、てんで子供で、14歳くらいにしか見えない。 この映画の前に「四つの恋の物語」山本嘉二郎監督では、なんとエノケンの恋人役である。

どうみてもエノケンは50歳くらいであり、ロリコンといってもいい不自然さを感じた。尚、その後、17歳年上の谷口監督と結婚して、数年で離婚している。

この映画の音楽は伊福部昭氏で、映画音楽の仕事はこれまたデビュー作。 

スキーのシーンの音楽で監督とモメたことは有名だ。  黒澤が仲裁に入ったという。

雪原を、三船と志村がラッセルして進む途中、「オールド・ケンタッキー・ホーム」の曲が突如流れ出し、驚いたものだ。 アメリカ人はズッコケルだろうか、驚くだろうか、うれしいだろうか。

山岳ロケでは、ほんとうの絶壁で、人を背負い、ロープで降りるシーンがあり、もちろんプロのスタントであるが、ハラハラする撮影である。 あんなことが出来るとは、山男は凄いものだと感じた。

谷口氏は若山セツコと離婚したあと、八千草薫と結婚している。年齢差は20歳近い。 

どうも谷口監督は若い子好みのようだ。

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コメント

谷口千吉は映画監督より「八千草薫の旦那さん」としてニュースになって興味です。

うーんかような監督さんでしたか。

投稿: sadakun_d | 2007年11月 1日 (木) 21時35分

なんか外国映画のポスターみたいです。
三船は特に好きな俳優ではないけど、やはりすごいインパクトの
ある顔でしたね。今のいわゆるイケメン俳優には絶対無い
オーラ、出まくり。

投稿: バルおばさん | 2007年11月 2日 (金) 00時04分

sadakun_dさん。コメントありがとうございます。
かような監督さんでした。
八千草さんと結婚したときは、世の男性、くやしかったでしょう。
本名は薫さんというのですね。
今回、新聞で知りました。

投稿: スタンリー | 2007年11月 2日 (金) 09時20分

パルさん。おはようございます。
三船はデビュー当時、つっぱった役が多いですね。
でも、同じく谷口監督の「ジャコ万と鉄」だったか、
三船のかくし芸が見られて面白いですよ。
変な芸なんです。あれはいったい何だ。

投稿: スタンリー | 2007年11月 2日 (金) 09時25分

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