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新幹線大爆破

新幹線大爆破 海外版 DVD 新幹線大爆破 海外版

販売元:東映ビデオ
発売日:2005/12/09
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私はオリジナル版を観た。

1975年公開の映画であるが、当時の景色がなつかしかった。ケンメリのスカイラインなどが走っている。

また東映映画であり、千葉真一や丹波哲郎などが出演し、その演出が「キイハンター」に似ていると感じたが、監督の佐藤純弥は実際にこの番組の演出をしていた。

乗客がパニックになるシーンは、相変わらず東映カラーの大げさな演出で、日本人が馬鹿に見える。 

名古屋駅を高速で通過している最中に、「降りる」と泣き叫んで大騒ぎする、覚せい剤患者のようなアホな人間がいるだろうか。

日本人は冷静な民族である。もう少し黒澤的リアリズムで人間を演出してほしい。

とはいえ、映画としてはよくできている。けっこう手に汗をにぎって終わりまで、時間を忘れて観た。

撮影にあたって、国鉄は完全に協力を拒否している。

なんでも、「新幹線危機一発」という題なら協力してもよい、ということだったらしい。 

ということで、撮影には作り物の車両を使い、窓外の景色もスクリーンプロセス(人物のエッジに影らしきものが写っているのでフロントプロジェクションかもしれない)が使われている。 その景色もゲリラ撮影のようで、安定していない。

宇津井健のいる、コントロールセンターはよくできているが、カメラのアップでは造りがお粗末である。

国鉄が協力したとしても、不可能なシーンはミニチュア特撮が使用されている。

その特撮に、日本で初めてシュノーケルカメラが使用された。当時、世界で3台しかなかったという。たぶん、レンタルであろう。

このカメラを使用する理由は、小さいミニチュアセットで、通常のカメラが入れない狭い場所の移動撮影ができる為である。

この映画では、運転席からの前方映像を得るミニチュア撮影で、新幹線の架線が邪魔となるため使用された。 通常のカメラを使用すると、かなり大きなセットを作らなければならないからだ。

下のレールと上の架線の間にシュノーケルカメラを突っ込んで、新幹線の運転席からのシーンを撮影した。

ただし、これはカメラのアーム部分の届く範囲か、架線の電柱の間しか移動できず、僅かなカットである。

(これは私の映像を見た上での推測であり、実際の撮影の様子は知らない)

もし、国鉄が協力していれば、コクピットの固定カメラで撮影でき、実写映像が得られた訳で、スタッフも苦労させられたものである。

このシーンは、オープンのミニチュアセットで撮影されていて、実写に近い効果をあげている。

また、ポイント切り替えで、車両が交差するシーンでも、通常のカメラが入りきれないところまでアップ、ローアングルの撮影がされ、このカメラをうまく使っていた。ミニチュアと分かるシーンであるが、その出来は良い。

新幹線が爆発する想像シーンのミニチュア撮影は、円谷のものと同等か、それ以下のレベルである。

また、新幹線のミニチュアは、客車の内部の作りこみや、乗客の描写が省略され、窓をスリガラス状で内部を見えなくし、ゴマカシとなっている。

であるから、夜間の走行シーンでも、内部にランプを点灯し、ただ窓のスリガラスから照らすという、「行燈方式」だ。

これは、東宝特撮のミニチュアビル群と同じで、私にはサボリに見えてならない。

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コメント

何年か前にTVで観ました。ハラハラドキドキの展開に目が離せませんでした。新幹線を舞台にしているところが時代を映していますね。
この映画が製作された時は、JRでなく国鉄だったのですよねぇ。
「キーハンター」懐かしいです。♪あの日~あの日愛した人も~♪

投稿: マーちゃん | 2007年11月27日 (火) 20時16分

マーちゃん。サイザンス。
土曜日の夜の「お笑い頭の体操」、そして「ドリフ」と「キイハンター」は必見でしたね。
今だに、思わず国鉄と電電公社という言葉を使うことがあります。
東京のホームに着くと「国電山手線はどこじゃい」となります。

投稿: スタンリー | 2007年11月27日 (火) 21時52分

「新幹線大爆破」へのコメントありがとうございました。
 この映画の撮影について、スタンリーさんの詳しい記述を拝読して、成る程と頷けるものが多々あります。
 特に、夜の新幹線車両の窓については、燈火だけで、車両の中の人物のシルエットさえ皆無だったのは、私もリアル性に欠けるなぁと思いながら見ていました。

>相変わらず東映カラーの大げさな演出
の文節から、私が昔、内外の映画会社について感じることをメモした覚えがあったので、取り出してみました。1954年11月15日のメモが見つかりました。東映については、(前略)寝ても覚めてもチャンバラ映画ばかり作っている。金が儲かればそれで良いのかもしれないが。“ひめゆりの塔”が今の繁栄の基礎になった事をよく肝に銘じるべきだ。と、生意気なことを書いていました。(笑)

>黒澤的リアリズムで人間を演出してほしい。
同感です。「天国と地獄」の演出、撮影と比較すると、雲泥の差を感じます。

>撮影にあたって、国鉄は完全に協力を拒否している。
やはり、そうだったのですか。東映が撮影に苦労した訳ですね。

スタンリーさんの、ほかの記事も興味があります。時々寄らせて頂き拝読します。つきましては、その便宜性を踏まえて、リンクさせて頂きました。事後報告で申し訳ありませんが、ご了承のほどを。

投稿: アスカパパ | 2009年1月 6日 (火) 17時49分

アスカパパさん。こんばんは。
私の文章を今読み返してみると文法のおかしさに、いまさらながら苦笑してしまいます。こんな文でコメントしていただき恐縮です。
「ひめゆりの塔」の件、勉強になります。私はこの映画は未見なのですが、あの時代にこのような内容の映画を社会に提示する会社姿勢に頭が下がります。
思うに東映のチャンバラやヤクザ物は岡田社長の方針ではないでしょうか。くわしくは分かりませんが。
パニック物ではよく乗客が自分勝手に大騒ぎしますが、ああいう演出はアメリカ人でしか似合いません。日本人は非常時でも冷静なんですね。冷静のなかで緊迫感を演出する工夫が面白いはずです。
「天国と地獄」の列車のシーンはすごかったですね。どうしてもこの映画と比較してしまいます。仲代の慌てながらも冷静にテキパキ判断しているのが感動を呼びました。
ミニチュアの窓の描写はおっしゃるとおりで、同じ感想の意見をいただき納得しました。日本のスタッフは完全に手を抜いています。
これでいいだろうと観客をナメているんですね。
リンク歓迎いたします。 
私も「お気に入り」にリンクさせてください。
アスカパパさんのお仲間に参加できることを光栄に思います。

投稿: スタンリー | 2009年1月 6日 (火) 20時58分

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