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ハワイ・マレー沖海戦

NO,4

東宝 昭和17年公開  山本嘉次郎監督、 特殊技術 円谷英二

出てくる役者  原節子 、大河内伝次郎 、新藤英太郎 、藤田進 、河野秋武 、二本柳寛 、菅井一郎 、柳谷寛 など、

フィルム節約のためか、キャスト紹介のロール一切なし。

海軍省後援なのに、空母や戦艦の姿形を全く教えてくれなかったという。 

ゆえにミニチュア造形の参考に、ライフ誌のアメリカ戦艦の写真を元にしたとのこと。

ドキュメンタリータッチということだが、カットされている感じ。物語の進行が説明不足。

ミニチュア特撮第一シーンは空母の夜間着陸訓練より。 ヒコーキのスピード速すぎる。これは以後の円谷のヒコーキものすべてにいえる。 空母の揺れが多すぎる。速すぎる。

着艦失敗シーン。 ミニチュア然としている。 カメラの回転遅い。

真珠湾出撃の空母への物資搬入。 これもミニチュア然としている。搬入部分のみのアップシーンにするべき。

ハワイ山間部の飛行シーン。 飛行機の速度が速い。 木が風で揺れるが、ハワイの山間部の岩肌にあのような樹木が生えているだろうか。しかし有名なシーンではある。  特に下手でもないが、すばらしい特撮でもない。

クレーン撮影での戦艦爆破シーン。三角垂の爆破水柱、大きすぎる。この失敗は円谷も認めているという。 しかしカメラの回転数は適切。 

爆破の煙と火花は良い。だが、ガソリン系のパイロが全く無いので画面がさみしい。

このクレーン撮影のカットが短く、もったいない。

ミニチュア飛行機のアップによる急降下、爆弾投下はミニチュア然である。特に爆弾投下のアップは完全にオモチャ的動き。24コマで撮影している。これは後年の映画でも変わらず、センスを疑う。

その投下爆弾による石油タンク群の爆発は最良のシーンである。走行トラックが巻き込まれ、吹き飛ばされる、タイミングも良い。回転数も良い。 ガソリンパイロでないのがもったいない。

ホイラー飛行場の爆撃シーンは、小さく写った飛行機が大変いい姿勢で、適切な速度で飛行している。爆発のタイミングも良い。 その上から撮ったアングルも良い。実写映像に近いシーン。

マレー海、英国艦船のシーンは海軍の要望で追加されたもの、9日間の突貫撮影で、あまり良くないが、唯一逆光の波頭で進む戦艦が映像的に良かった。

尚、戦後この映画を見たアメリカ軍が、真珠湾攻撃シーンを実写映像だと信じて疑わなかったという話を聴いたことがあるが、円谷信奉者の作った伝説であろう。 だれがどう見たってミニチュア撮影にしか見えぬ。 

しかし、真珠湾のみごとなセットを全部生かしきれずモッタイナイ。 ハイスピード撮影はフィルムを大量に使うので、撮り切れなかったかもしれない。 当時のフィルムは配給制だったはず。円谷も悔しかったのでは。

          

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コメント

いつもながら、スゴイ観察力!
おみそれです。m( _ _ )m
むかし、円谷さんの特撮で感心したのは、
飛行機をピアノ線で逆さに吊って、撮影も逆さ撮りした
話でした。ホント盲点ですね。
それまで意地悪な私は、ピアノ線を見つけるためジ~っと
飛行機や円盤の上のほうを見つめてましたから(笑)

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年10月 7日 (日) 13時35分

ぱんだうさぎさん。ありがとうございます。
上下逆に撮影するものは、ロケットなどでありました。
逆に下の方ばっかり注視したりしてね。

投稿: スタンリー | 2007年10月 7日 (日) 20時52分

アメリカが特撮を見抜けなかったという都市伝説は嘘くさいですよね。日夜迷彩された陣地や工場を写真判定して潰してきたアメリカが、あれを見抜けないわけないですし。
向こう流の「敵はよく戦った、しかし我等はもっと強かった」という手合いのリップサービスを真に受けたんでしょうね。

投稿: 小西六 | 2007年10月 8日 (月) 14時20分

小西六さん。ありがとうございます。
これを実写と思ったアメリカ人がいたとすれば、真珠湾攻撃のパイロットにドイツ人を見たという、眼が節穴の人なのでしょう。

投稿: | 2007年10月 8日 (月) 15時59分

円谷さんは確かにすごいんですが、神格化されすぎた面がありますよね。読売放送での長嶋茂雄のような(笑

東宝から南海の花束がリリースされますよ。
大日本航空の九七式大艇がたくさん出てきます。燃ゆる大空と同じ阿部さんが監督で、飛行機好き、特撮好き必見の戦中映画です。

投稿: 小西六 | 2007年10月 8日 (月) 20時42分

小西六さん。ありがとうございます。
「南海の花束」は楽しみにしている一つです。
「燃ゆる大空」は幾度か見ました。
特撮メモのために改めて観ます。
円谷の特撮は出来、不出来が激しいですね。

投稿: スタンリー | 2007年10月 8日 (月) 21時11分

早速のお返事ありがとうございます。
私は円谷戦記作品では、太平洋奇跡の作戦キスカでの、巡洋艦阿武隈や霧の航海シーンが良くできていると思いました。モノクロでのごまかしという部分はありますが。
しかし、キスカは細部の特撮云々よりストーリーが一番秀逸な気がします。

投稿: 小西六 | 2007年10月 8日 (月) 21時26分

小西六さん。ありがとうございます。
私も「キスカ」は本編と特撮両方について、佳作だと思います。
霧の中の撮影は円谷のスタジオ撮影でも仰るとおり秀逸ですね。
ただ、船の爆発シーンがないので、ボロが出ないというのも
その理由ですが。(笑)
船のミニチュア撮影ではアメリカの「駆逐艦ベットフォード作戦」が最も私の記憶に残っています。
円谷物では「緯度0代作戦」、「日本海大海戦」も記憶にあります。

投稿: スタンリー | 2007年10月 9日 (火) 22時33分


駆逐艦ベットフォード作戦は私も見ましたが、潔癖症・減点主義の艦長の影響で艦内がピリピリして破滅するという、一昔前はやった成果主義のなれの果てという感じでしたね。
船モノだと、眼下の敵での潜水艦と駆逐艦も、なかなかの出来だったと記憶してます。あれもアボットの作でしたね。

投稿: 小西六 | 2007年10月10日 (水) 22時00分

小西六さん。ありがとうございます。
「ベットフォード」はかなり大きいモデルを使って撮影していて迫力ありました。実写と見間違えました。
「眼下の敵」はアボットの出世作ですね。彼は水中物が得意です。

投稿: スタンリー | 2007年10月11日 (木) 07時52分

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