用心棒
販売元:東宝
ご存知、黒澤の最大娯楽映画である。
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用心棒<普及版>
発売日:2007/11/09
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大変儲かった映画であり、社会的な重いメッセージや問題提起もなく、とにかくヤクザめザマーミロの快感がある。 こういう映画をもっと沢山作ってほしかった。
この映画を私のようなものがトヤカク言うのは恐れ多いことなので、映画的手法や内容については省略。 黒澤本は山ほどある。
ただ、黒澤の映画を手本とする映画作家は多いが、市川監督は、映画の撮影に入る前、必ずこの映画を観るという。
この映画でおそらく誰も書いていないことで、いくつか気がついたこと。
① 江戸の社会をよく知らないと分からない。
私がこの映画を見たのは18歳であったが、まだ名主の存在とか、ヤクザの兄弟仁義、親子関係のありかたなど、よく知らなかった。 だから、居酒屋での権爺(東野英次郎)の宿場の人間関係の説明がよく分からなかった。 親分が自分の息子に代を譲って、どうして一の子分が承知しないのだろうか。 名主っていったいなんなのだ。 八州回りというのも知らなかった。 ま 私の勉強不足、世間知らずが原因である。 しかし、外国人に、あの関係が分かるだろうか。だから私は英語字幕が見たいのだ。 字幕スーパーでは相当意味が省略してあるはずだが、それでも外国人にあの複雑な関係が理解できるだろうか。
② どうして三十郎はヤクザの手打ちで困るのか。
「ヤクザが仲直りをするのはな。もっと大ゲンカをするためだ」と言って困った顔をする。 しかし、そうなれば三十郎は用心棒としての値がさらに上がるではないか。もっと喜んでいいはずである。
③ 三十郎はいくら儲けたか。
結局、丑寅からもらった前金30両(今で300万円ほど)は農民夫婦にくれてやり、一文なしで、三十郎は宿場を去ったようにみえるがそうではない。
熊さん、八っつぁんをふんずかまえて、清兵衛に人質にするよう二人を突き出すが、そのとき山田五十鈴から2.3両もらっている。30万円ほどである。これで権爺への飲み食いの支払いは済んだはずだ。
その人質の情報を丑寅に提供し、その報酬として、「いまはこれだけでいい、用心棒になる話は考えとくわ」と、巾着から銭をつかんでいる。 たぶん一分金や二分金、一分銀、豆板銀、などが10個くらい、にぎり拳の中に納まったはずだ。6.7万円くらいである。
結局、以後の権爺への支払いを済ませても、まだ2両ほどあったはずである。 もっともその後、丑寅にとっ捕まるので、その金もふんだくられ、やっぱり無一文になったかもしれない。 しかし、ちょっと苦しいが、ふんどしの中に隠すという手もある。
少なくとも権爺は三十郎に食い逃げされていない。
④ その権爺の居酒屋で三十郎が飲み食いしたもの。
まず、初めに権爺から「なんにもねーぜ、メシも冷てーが」と一膳メシとタクワン二切れをもらう。(二切れとは確認できないが、当時の居酒屋のツキダシの漬物は二切れと決まっていた。理由は杉浦日向子さんなどの本を参照のこと)
丼でなく、小さなメシ茶碗で三船が湯漬けをかき込むのは、ちょっとアンバランスなおかしさを感じる。 その後 酒を飲むが楊枝をくわえて出てくるので、なにかメザシのような肴を齧ったはずだ。 後のシーンでもウジウジした土屋嘉男の去った後、ニガニガしい顔つきで、なにか鱈の干物のような硬いものを齧っている。
ところで、その咥えた楊枝を、次のヤクザをたたっ切った後の場面で、ポンと空中に跳ね飛ばすが、普通の楊枝など、とてもあのロングショットに写るものではない。おそらく三船は白いコヨリなどで作った鳥の毛ほどの大きさの物を放っているはずだ。 しかもそのバックは目立つように真っ黒の空間である。
三船の飲んでいる酒のとっくりはかなり大きい。実にうらやましい。あれくらいのものを今の居酒屋で出すだろうか。たぶん3合入るだろう。1本600cc。三船は3本ほど呑んでいるし、熊と八は10本ほど空けている。一人で2升近い。 江戸人はすごい呑兵衛だ。 銀2枚はあれで使ってしまっただろう。
三船は権爺の居酒屋で、煮物を食うシーンがある、ハフハフとじつにうまそうだ。あれはサトイモではないか。黒澤のことだから、おいしく食べられるよう本格的に調理してあるだろう。 清兵衛の家でも、三船はサトイモのようなものをパクツイて酒をうまそうに飲んでいる。
私は時々、でっかいトックリで酒を燗し、サトイモとメザシを肴に三十郎ごっこをして悦にいっている。
「おやじ もう一本つけてくれ」
「こきやがれ からっけつのくせして」
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コメント
おっしゃるとおり、クロサワさんのこういう娯楽時代劇を
もっと観てみたかったですね。
現代アクションだったらどういう風に撮ったでしょうねぇ。
そういえば、この映画の続編「椿三十郎」のリメイク版が
年末公開されるらしいですね。
監督森田芳光、三十郎=織田裕二。。
偉大なオリジナルを観ている人たちにとって、どうなんでしょう?
投稿: ぱんだうさぎ | 2007年10月 4日 (木) 09時57分
ぱんだうさぎさん。いつもありがとうございます。
次の作品「椿三十郎」も肩の力が抜けていて、たいへん見やすいですよね。 この作品も大好きです。
市川監督のようなサービス精神が黒澤にあったら、もっと面白い映画がたくさん見られたとおもいます。
リメークでは織田に、あの三船やイーストウッドが演じたようなウスギタナイ素浪人、流れ者を表現できるでしょうか。
彼はどうも甘チャン的に見える。若侍のほうが似合ってる。
投稿: スタンリー | 2007年10月 4日 (木) 19時20分
昨日、時代劇専門チャンネルで放送された『用心棒』を観ました。
(録画したおいたものです)
黒澤作品は、数えるほどしか観ていないので、
手法がどうのこうのということは、よくわからないのですが・・・・・
三十朗が冗談を言ったりして、おちゃめでした。
オープニングの音楽もユニーク。
スタンリーさん、目の付け所が鋭いですねぇ。
三十郎は食い逃げしてますよね。私も気になりました(笑)。
投稿: マーちゃん | 2007年10月16日 (火) 09時08分
マーちゃんさん。ありがとうございます。
観ましたか。 黒澤一番の娯楽番組ですね。
「荒野の用心棒」を観ると、また面白いですね。
音楽にはチェンパロが使ってあり、ユニークです。
またセリフが楽しいですね。
「自慢じゃねーが、悪いことで、やっちゃいねーことは、ひとつもねーんだ」なんてね。
投稿: スタンリー | 2007年10月16日 (火) 10時46分