« まぼろしの旅客機 | トップページ | LOGAN‘S RUN »

大魔神怒る

大魔神怒る DVD 大魔神怒る

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2007/10/26
Amazon.co.jpで詳細を確認する

秋になった。 とうとう「大魔神」を書くときがやってきた。

大魔神の音楽は伊福部昭氏である。この人の曲は秋に合うのだ。

引きずるような強烈な管楽器の音とストリングを多用した短調の物悲しいメロディーにピアノの低音ゴン・ゴンのリズム。

眼をつむると、 曇り空のススキの原っぱ、 夕焼けをバックにしたお寺、去っていく座頭市、ゴジラの後姿、そして変身する前の大魔神のハニワ像がある。

「神さま オラたちを助けてください」

昭和40年頃の小学生たちが、学校で休み時間にふざけてやる動作とくれば、スペシウム光線の手の形、 フライデーが作動板を取られたときのダラーンとした腕の状態、 そして大魔神の腕を交差した怒りの変身である。

悪いことをすれば必ず罰を受ける、身をていして良いことをすれば、報いがある。子供のしつけに貢献した映画だ。 

2.3歳の子供になら、「そんなことすると、大魔神やってくるよ」、これでいいのだ。

大魔神シリーズは大映のベテランスタッフが全力を挙げて制作しているのを感じる。 決して子供向けでない。 しかし、子供にも理解できる内容だ。

特撮監督は黒田義之氏。 当時、助監督が本業であったが、特撮も初期からまかされていた人である。また、円谷プロなどに撮影のアドバイスに行ったこともあるという。

この特撮がいいんですな。 そもそも大魔神は8メートルくらいの大きさ。それを等身大の人間がやると、ミニチュアセットは4分の1くらいの縮尺となる。美術スタッフが実物大セットのように丁寧に制作組み付けし、撮影すれば、ほぼ実物に近い写真が得られる。

あれくらいの大きさのセットなら、ハイスピード撮影も3倍で実物に近い動きになるはずである。

建物が壊れ、屋根瓦が崩れても、ホコリが舞ってもチャチに見えないのだ。

すばらしいシーンは大魔神が、石積みの壁を崩す場面。さらに城の門とその周辺の屋敷をブッコワス場面だ。特に家屋の崩壊は大勢のスタッフのタイミング合わせが難しい筈だ。 極上の撮影となっている。

そして大魔神シリーズで特筆すべきは、ブルーバック合成が、当時で、最もすぐれていることだ。 それは櫓にいる雑兵を大魔神の腕で叩き潰すシーンで発揮されている。 境目の縁は目立たない。

大魔神を演じているのは橋本力氏で、元プロ野球選手である。ブルース・リーの「怒りの鉄拳」に悪役日本人としても出演している。(ほんとうは勝新太郎がリーに呼ばれたのだか、代役で彼が香港に行った)、大魔神にも本人の顔で出演しているし、他の大映作品にも出演しているのでお見逃し無く。

黒田監督のこだわりは、大魔神の眼だ。 決して怪獣のようにガラス眼で内側からランプで光らせることはしない。 と宣言して制作した。 

あの充血した怒りの眼は、本当に怖かった。

橋本氏は、監督から決して目をつむるなと指導されたという。 しかし、スモークや風で舞うホコリで、いくつかのシーンではパチクリをやっている。

一つ書き忘れていた。この映画のカメラのピント合わせが実にうまいと感じた。

ピント合わせはあらかじめ距離を計り、ファインダーを覗いていない撮影助手が行うのだが、そのタイミングは絶妙だった。

 

|

« まぼろしの旅客機 | トップページ | LOGAN‘S RUN »

特撮物」カテゴリの記事

コメント

大魔人、今でもたまにお笑いネタで例の表情の激変するのを
やってたりします。
不変なのはやはり相当根強い人気なんですね。

投稿: バルおばさん | 2007年9月30日 (日) 22時15分

凄く丁寧に作ってましたね。あれを映画館のスクリーンで見たらぶっ飛んでいたと思います。

ずいぶん後に北朝鮮映画「ブルガサリ」を見て・・同じやん・・と思いました。
完成度は「大魔神」の方が断然良い!!

投稿: ぴろQ | 2007年9月30日 (日) 23時26分

おっしゃる通り伊福部氏のあの音楽を聞くと
秋祭りの頃のうらぶれた村の雰囲気を感じますね。
あの頃の、高田美和嬢も素敵でした。。。(′∀`)
いやぁ、また今日も素晴らしい記事を見していただきました。
ハハハッ・・・さて、寺へ帰るか・・・。

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年10月 1日 (月) 00時54分

パルさん。ありがとうございます。
大魔神もそろそろ、リバイバルするかもしれませんね。
でもCGはいやですね。
コメンタリーで魔神役の佐藤さんも、しきりにリバイバルをやりたがっていました。

投稿: スタンリー | 2007年10月 1日 (月) 19時58分

ぴろQさん。ありがとうございます。
そうですか。プルサガリよりいいですか。
あれは東宝のスタッフがアチラに行ったのですよね。
やっぱり、特撮でも映画会社で違いますね。

投稿: スタンリー | 2007年10月 1日 (月) 20時01分

ばんだうさぎさん。ありがとうございます。
そうでした。1作目のヒロインは高田美和でしたね。
今回のは藤村志保でしたが、可憐でした。
ちょっと田中絹代に似ている。
悪党の神田隆がコニクラシイ。大映の悪役俳優はうまいです。
伊福部氏の音楽は東宝の怪獣映画に差し替えても
わかんないですね。(笑)

投稿: スタンリー | 2007年10月 1日 (月) 20時09分

そうです。まさに私は
『そんなことすると、大魔神やってくるよ』と言われていた
子供組です!!
あれは子供の目には恐かったです。
でもそのおかげ?か今は、不動尊で不動明王に妙に
親しみを感じてしまうのは私だけ??

投稿: kuro | 2007年10月 2日 (火) 23時52分

kuroさんありがとうございます。
不動明王。 あれも子供には怖いですね。
レイ・ハリーハウゼンなどに人形アニメで動かしたら
おもしろそうですね。

投稿: スタンリー | 2007年10月 3日 (水) 03時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/8177387

この記事へのトラックバック一覧です: 大魔神怒る:

« まぼろしの旅客機 | トップページ | LOGAN‘S RUN »