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2007年9月

大魔神怒る

大魔神怒る DVD 大魔神怒る

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2007/10/26
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秋になった。 とうとう「大魔神」を書くときがやってきた。

大魔神の音楽は伊福部昭氏である。この人の曲は秋に合うのだ。

引きずるような強烈な管楽器の音とストリングを多用した短調の物悲しいメロディーにピアノの低音ゴン・ゴンのリズム。

眼をつむると、 曇り空のススキの原っぱ、 夕焼けをバックにしたお寺、去っていく座頭市、ゴジラの後姿、そして変身する前の大魔神のハニワ像がある。

「神さま オラたちを助けてください」

昭和40年頃の小学生たちが、学校で休み時間にふざけてやる動作とくれば、スペシウム光線の手の形、 フライデーが作動板を取られたときのダラーンとした腕の状態、 そして大魔神の腕を交差した怒りの変身である。

悪いことをすれば必ず罰を受ける、身をていして良いことをすれば、報いがある。子供のしつけに貢献した映画だ。 

2.3歳の子供になら、「そんなことすると、大魔神やってくるよ」、これでいいのだ。

大魔神シリーズは大映のベテランスタッフが全力を挙げて制作しているのを感じる。 決して子供向けでない。 しかし、子供にも理解できる内容だ。

特撮監督は黒田義之氏。 当時、助監督が本業であったが、特撮も初期からまかされていた人である。また、円谷プロなどに撮影のアドバイスに行ったこともあるという。

この特撮がいいんですな。 そもそも大魔神は8メートルくらいの大きさ。それを等身大の人間がやると、ミニチュアセットは4分の1くらいの縮尺となる。美術スタッフが実物大セットのように丁寧に制作組み付けし、撮影すれば、ほぼ実物に近い写真が得られる。

あれくらいの大きさのセットなら、ハイスピード撮影も3倍で実物に近い動きになるはずである。

建物が壊れ、屋根瓦が崩れても、ホコリが舞ってもチャチに見えないのだ。

すばらしいシーンは大魔神が、石積みの壁を崩す場面。さらに城の門とその周辺の屋敷をブッコワス場面だ。特に家屋の崩壊は大勢のスタッフのタイミング合わせが難しい筈だ。 極上の撮影となっている。

そして大魔神シリーズで特筆すべきは、ブルーバック合成が、当時で、最もすぐれていることだ。 それは櫓にいる雑兵を大魔神の腕で叩き潰すシーンで発揮されている。 境目の縁は目立たない。

大魔神を演じているのは橋本力氏で、元プロ野球選手である。ブルース・リーの「怒りの鉄拳」に悪役日本人としても出演している。(ほんとうは勝新太郎がリーに呼ばれたのだか、代役で彼が香港に行った)、大魔神にも本人の顔で出演しているし、他の大映作品にも出演しているのでお見逃し無く。

黒田監督のこだわりは、大魔神の眼だ。 決して怪獣のようにガラス眼で内側からランプで光らせることはしない。 と宣言して制作した。 

あの充血した怒りの眼は、本当に怖かった。

橋本氏は、監督から決して目をつむるなと指導されたという。 しかし、スモークや風で舞うホコリで、いくつかのシーンではパチクリをやっている。

一つ書き忘れていた。この映画のカメラのピント合わせが実にうまいと感じた。

ピント合わせはあらかじめ距離を計り、ファインダーを覗いていない撮影助手が行うのだが、そのタイミングは絶妙だった。

 

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まぼろしの旅客機

ディスカバリーチャンネル Extreame Machines 垂直離着陸機の誕生 DVD ディスカバリーチャンネル Extreame Machines 垂直離着陸機の誕生

販売元:角川書店
発売日:2004/05/28
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 三菱重工業で国産旅客機を開発するという。

国産ではYS-11が活躍していたが、日本国内ではとうとう引退してしまった。

今度、開発するものは、やはり、近距離用の小型旅客機ということで、日本のお家芸である、軽量、省燃費が特徴であるという。 本田の低燃費のビジネスジェットも数年したら活躍するようだ。

ところで、日本の小型旅客機の構想では、15年ほど前、なんと垂直離着陸(VTOL)の旅客機開発の話があったのである。

100人乗り程度のものであるが、実現すれば、世界最大のVTOLであり、世界最初のVTOL旅客機である。

VTOLというとハリアー戦闘機のように、直接ジェットを地面に向けて噴射し、浮き上がるタイプを想像しがちである。

しかし、この方法は実にエネルギー効率が悪く、燃料を大量に消費するうえ、騒音でも問題なのだ。 

それに、仮に100トンの重量の旅客機だとすると、その方法では、100トンを持ち上げる以上のパワーのエンジンが必要で、ボーイング777のエンジンなら3機必要となってしまう。結局、このジェット噴射方式では実現不可能である。

さて、そのVTOL旅客機はどういう仕組みかというと、形状はコンコルドのようにデルタ翼となっている。 エンジンは尾翼付近、胴体後部に3機ついている。推力は1基あたり10トン程度のものである。 

これでどうやって垂直離着陸できるだろうか。

仕組みはこうだ。 左右の主翼の中に、直径5メートル程度のリフトファンが装備されているのだ。 リフトファンとはつまり大きな換気扇である。ジェットエンジンの一番前で回転しているのと同じものと思っていただければよい。 

それを回転させて、ヘリのように上昇下降するのだ。

それを回転させる動力であるが、私はハーフジェットと勝手に名付けている。

ジェットエンジンをちょうど半分にカットしたような構造で、燃焼室と低圧タービンたけのシンプルなものだ。コンプレッサー部分が無いのである。だから全長が短く、翼の中に押し込めることが可能である。  

そのコンプレッサーなしのエンジンの燃焼室に高圧エアを供給するのは、胴体にある3機のジェットエンジンである。 エアを頂いて、パイプで導く。

リフトファンを回転させるのはエンジンの低圧タービンの力による。またタービンから噴出した高温のガスも推力アップに寄与する。 

リフトファンはヘリのローターと同じで、低燃費で大推力を発生する。ジェット噴射より効率がいい。

ある程度垂直上昇したら、本体の後ろ向きのエンジンの推力を上昇させ、水平飛行に移る。

翼のリフトファンにはシャッターがあり、水平飛行の際、閉じる仕掛けになっている。もちろんそのエンジンは停止させる。

これが垂直上昇から水平飛行のシーケンスであるが、着陸はこの逆を行えばよい。

なお、垂直飛行時はハリヤーのように機首、機尾、翼端に微調整の高圧エアのスラスターが必要であろう。 操縦は普通の飛行機より難しそうであるが、コンピューターがなんとかしてくれる。

この旅客機が実現したらどうだろう。滑走路はいらなくなる。田舎にある軽飛行機用の広場があれば十分である。 リフトファンは翼の上下に向いており、騒音も少ない。 空の交通革命と言っていいのではないか。

私の町には空港がなく、東京に行くにも現在の交通機関では、5時間程度かかってしまうが、この旅客機があれば、40分でついてしまう。 

ぜひとも実現してほしかったが、その当時予想開発費として、1兆円ということで、現在なら2兆円近く必要ではないだろうか。

しかし、リニア新幹線の建造コストよりは低いと思う。また世界に売れば、赤字になったYS-11より、採算が合うのではないか。

実に惜しい構想であった。

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宇宙からのメッセージ

NO,2

再確認したいがレンタル店にDVD無し。  SF映画史で忘れ去られた存在か。

東映作品、深作監督  1978年ごろの公開か。 スターウォーズ公開以前か後の公開か記憶ない。  深作は1968年に「ガンマ宇宙船・・・」とかのSF物の経験で今回やらされたか。

プロデューサー 岡田氏?  「赤頭巾ちゃん」の俳優。 現在は東映専務か社長か。 最近、映画のデジタル撮影とデジタルプロジェクターの可能性をフィルム撮影と比較し、論破するのをテレビで見た。 あいかわらず、甘えん坊的フェイス。

この映画の公開前も、岡田氏が、テレビカメラで撮影された宇宙船をフィルム映像に合成する新しい手法を使ったと、得意げに話していたが、実際に映画を観てみると、走査線が目立ち、バック映像とマッチしておらず、鑑賞に値しないしろものであった。 この手法は黒澤「夢」でもハイビジョンで行われたが、やはりスクリーンでは不自然。

東映のヤクザ物俳優が出演。 演技過剰。  成田の宇宙人、似合わないが、逆に面白い。

ビック・モロー出ている。 特に印象なし。

コスチューム、メーク、ばかばかしい。大学祭演劇部のレベル。 ヘルメットに角が生えている幼児的デザイン。

デザイン、原案は石の森章太郎。 八犬伝の宇宙版ということだが内容忘れた。何かを探しにいく話。

志穂美悦子の衣装にセンタクバサミがくっついていた。 丹波哲郎はロールスロイスに乗って登場。 いつの時代の設定か。 その遠景に高圧鉄塔見える。  アホか!

特撮監督は矢島氏。  東映に渡った円谷一家の人。  特に見るものない。 マザーシップも吊りで、微妙に揺れているのでスターウォーズ的巨大感なし。 小型船のドッグファイトはワイヤーワーク。 スタジオ然としている。宇宙の真空感がない。

音楽は森岡賢一郎氏、 公開当時、ハチャトリアンのパクリと言われた。  ハチャは剣の舞しか知らぬ。

公開時、アメリカの映画バイヤーが来て言った言葉、「あらゆる点でスターウォーズに似ているが、あらゆる点で劣る。」

アメリカでも公開されたらしい。  アア恥ずかしい。赤面。

  

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20000 LEAGUES UNDER THE SEA

本日より気になったミニチュア特撮をメモに記すこととする。

NO,1

ディズニープロ  シネマスコープ、テクニカラー、ステレオ録音、

1954年公開、初代ゴジラと同年

リチャード・フライシャー監督、エルモ・ウィリアムズ編集、トラトラトラコンビ

special Effects    jhon.hench  josh.meador   全く知らぬ。

音楽よろしい トムジェリみたいに楽器音で動作を表現。

ネモ、英語発音はヌィーモ。   ジェイムズ・メイスン  ヒゲ、パバロッティみたい

カーク・ダグラス 若そうに見えるが、アップでは老けている。 オットセイとアドリブよろし

博物館の先生、知らぬ。 アシスタントはチャーチル首相にソックリ。

ノーチラスの外部、内部デザイン19世紀的でよろし メーター類のバックライト、ブルーで雰囲気がよい。

動力帆船の撮影すばらしい。 ミニチュアに見えぬ。 大きさは3メートルくらいか。

ノーチラス号 大きくはない、1.5メートルくらいか。 眼がグリーンで光っていて良い。

回転数良い。 たぶん5倍くらい。波風の動きよい。野外プール撮影

すべて水中撮影。 円谷のようにスタジオで吊りではない。 スクリューから若干のアワ。

水上撮影では白波のアワあり。うまい

爆発水柱、迫力あり。 やはり銀のような粉が混ぜてある。

噴火口の中のネモの基地、パラボラなど丁寧なミニチュア、崖の描写よい。

ネモの島の大爆発、スバラシイ。 炎、煙り、回転数、実写映像そのもの。どうしてあれが円谷一家にマネできないのか。

実物オオダコはよくできている。ワイヤー見えぬ。ワイヤー操作に見えぬ。

 

 

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花のお江戸の無責任

花のお江戸の無責任 DVD 花のお江戸の無責任

販売元:東宝
発売日:2006/09/22
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 ご存知、植木等の無責任シリーズの一つであるが、特筆すべきは監督が山本嘉次郎であることだ。 

黒澤監督が助監督時代についていた監督である。 

黒澤が監督となって、マルチカメラを採用するヒントはそのときに得たといわれる。

また山本監督「馬」ではほとんどのシーンを黒澤が演出したという。

余談でこういうことを書いてはまずいかもしれないが、このときの出演者、高峰秀子は黒澤にぞっこんで、その後二人は婚約寸前まで話がいったが、高峰側の親族から交際を断られてしまったのである。 

閑話休題  

以外なのは、山本は黒澤監督の師匠的存在なので、一回りほど年齢差があると思ったが、山本は1902年生まれであるから、ほぼ同年代であることだ。

であるから、この映画が制作された1964年はまだ62歳であり、映画監督としてはまだ現役バリバリだということだ。 

「無責任シリーズ」の監督としては、ムチャクチャに破天荒な演出の古澤憲吾監督のもの。 少々常識的な坪島孝監督(つい最近亡くなった)のものがおなじみだが、ヤマカジさん演出とは。 もう引退していると思っていたので、正直いって以外であった。

山本監督はオールマイティの監督で、1940年「孫悟空」などでもそうだが、お笑い、ミュージカル、アクション、シリアスと、そつなくこなせる人である。

「無責任」はいきなり、植木が歌いだしたり、大勢で踊って歌うなど、彼向きといえるかもしれない。だから、東宝も彼に依頼したのであろう。

画面のサイズは現代調のシネマスコープの横長だが、なんというか、やはり戦前・戦中のヤマカジスタイルを感じてしまう。 といっても、私は彼の作品を5本しか観ていないのだが。 

例えば、有島一郎が高勢實乗(アノネのオッサン。知ってますか?)調のメークをして、大げさなアクションで笑わせる(大して面白くない)のは、エノケン映画を感じてしまうのだ。

また吉原で、三味線囃子や花魁、太鼓持ちが大勢で、スクリーンいっぱいで踊るところや、終盤の歌舞伎・助六のシーンなど、「孫悟空」調を感じる。

黒澤助監督もたぶん、当時、ああいうシーンがうまくはかどらないと、ヤマカジさんから「デコスケ!」と怒鳴られたんでしょうな。

なお、この映画では、植木は憧れの吉原一番の花魁(団玲子)を呼ぶのに、数十両の小判を渡してすぐ会っているが、実際は、そのクラスの花魁(太夫)と二人きりになるには3回ほど吉原に通って宴会を開き、百両近い金を使った挙句、ようやく側でご対面できたのである。    

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ゴジラ 対 メカゴジラ 1993年版

ゴジラvsメカゴジラ DVD ゴジラvsメカゴジラ

販売元:東宝ビデオ
発売日:2002/06/21
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 大人の鑑賞に堪えられる作品である。

入場料に見合った作品である。脚本も無理なく、話の前後が矛盾していたり、説明不足のところが無い。 これならお父さんも楽しめる。

特撮監督は川北氏である。 私は彼が担当した、「さよならジュピター」、「大空のサムライ」で、あまりいい印象を得ていないが、 東宝の映画としては、円谷英二を超えて、コンスタントに良い映像を造る人だ。

室内メカの描写のうまい人である。  ここらへんの映像はサンダーバードの撮影と肩を並べられる。 彼はその影響を受けていると思われる。

今回は京都や幕張で、思いっきりミニチュアを壊してくれ、堪能できた。

無人島にゴジラをおびきよす、という話が出たので、また低予算のバトルシーンを見せ付けられるかと思ったが、都心ではでにブッコワシを見せてくれたのはサービスがいい。

ビル群の窓の明かりは行燈方式に変わりないが、カーテンや最上階のラウンジ内の描写もあり、中野特撮より比較的ていねいである。

あの夜の丁寧な光の描写に、ダグラス・トランブルのテクニックで、光のニジミがあれば最高なのだが。

ただし、くどいようだが、ハイスピードカメラが遅い。回転を速くすると、撮影時、ゴジラの動きを、より機敏にしなければならず、大変であるが巨大感は増すはずである。

さらにくどいが、飛行体の垂直上昇やメカゴジラの水平飛行に物理的無理がある。

高嶋の作った飛行物体で、また反重力エンジンを乗っけてしまっている。あれはどういう理屈で浮き上がるのだろうか。一応ガスを噴射しているようだが、それにしては、飛んでいる下の樹木の葉っぱなどに何も変化がおこらないが。

音楽は伊福部氏で、オリジナルテーマとアレンジ曲がいい雰囲気を出している。 氏は大映でも多くの曲を書いている。 弦楽器を多用した物悲しい短調の曲が多い。

だからゴジラの去っていく後姿も「座頭市」のエンディングを思い浮かべる。

「やな渡世だな」 

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日本人の好きなリズム

トータル・リコール DVD トータル・リコール

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2004/11/25
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 民放テレビ番組で、よくミステリー物、あるいはUFOなどの超自然物、自然災害、衝撃映像のドキュメンタリー特集に使われる音楽はだいたい以下の音楽である。

映画「トータルリコール」のテーマ・・・・・・ジェリー・ゴールドスミス

このテーマに使われてるリズム音の「カーン!」という音の打楽器は「椿三十郎」や「ウルトラQ」のオープニングに使われているものだ。 また芥川也寸志の「忠臣蔵」のテーマにも使われてる。

どうもこの音は日本人の脳幹に響くようで、「トータルリコール」のこの楽器のリズムを表現すると、こうである。

  ①   2   3   4   ①   2   3   4

  ♪      ♪       ♪    ♪  ♪

S・セガールの「沈黙の戦艦」の音楽も良く使われる。リズムはこうだ

        ①      2     3     4     

        ♪♪♪♪  ♪ ♪  ♪ ♪

このあたりの緊張感のあるリズムも、どうも日本人の耳に親しむようだ。

私が思うに、歌舞伎や芝居で鳴っている音やリズムが、日本人のDNAにインプットされてるためではないか。

他には「ブレードランナー」の規則的な16部音符の伴奏のエンドテーマも、衝撃映像特集のエンドミュージックに良く使われる。

あのテーマは、人間とは救われない物であるが、かといって、見捨てるわけにはいかない。 という意識を感じる。

追記:

カーペンター監督、音楽の「ハロウィン」のテーマもおなじみだ。この曲は犯罪の再現映像などに使われる。イライラする、カンに触るリズムが繰り返し鳴らされる。 5拍子というのが、不安感を煽るのだ。

          ①   2   3   4   5 

           ♪     ♪    ♪  ♪   

  

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ゴジラ 対 メカゴジラ 1974年版

ゴジラ対メカゴジラ DVD ゴジラ対メカゴジラ

販売元:東宝ビデオ
発売日:2002/11/21
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 大人の鑑賞に堪えられない。「東宝・・・まつり」のレベル。

映画館に子供を連れてきた親たちはかわいそうである。

予算が限られて造らされているスタッフがかわいそうである。

予算が無いのか、スタッフのレベルが低いのか分からないが、相変わらず、東宝の1960年代後半の怪獣映画のように、地面がバウンドしてしまうような簡単な無人島セットもどきでプロレスごっこを見せる。 

怪獣特撮物の面白さは都会のビルや橋を次々にブッコワスことだ。 それをお預けにしてしまっている。  入場料返せである。

私は東宝特撮で、円谷英二から続いている撮影方法が、今もって理解できない。 

それは、ハイスピードカメラの回転がしょっちゅう変わることだ。 怪獣たちのバトルでは、ハイスピードでない撮影まである。 フィルムがもったいないからですか。  もし東宝の元スタッフの方がいたら、この謎を説明していただきたい。

怪獣の動きを毎秒24コマで撮っても、さっぱり迫力がありません。

特撮監督は中野氏であるが、この人は燃焼の大好きな方だ。 必ず石油コンビナートが大爆発する。 しかし、上手ではない。以後の映画でも進歩がみられない。 戦艦大和の最期でも大量にガソリンを使っている。しかしその炎は不自然である。

ゴジラの顔や体形はソフビ人形タイプで怖くない。さらに歩く方向と眼の視線が一致していなく、マヌケな顔となっている。

別の記事でも私は指摘しているが、特に声を大にして抗議したいのは、爆発などの効果音だ。 

この映画は1974年製作であるが、相変わらず1960年頃からの録音テープから同じ音をひっぱりだしてハメ込んでいる。

爆発音に限らず、宇宙人の要塞の中のブーンという音(ウルトラQでの一之谷博士の研究室の音)、 自動扉の開閉音、車のブレーキ音(どうしてジャリ道でタイヤの鳴く音がするのだ)、ピストル音・・・・私は昭和30年代のカビのはえた映画と間違えそうであった。

いつまで、このサボリ効果音を採用しているだろうか。この指摘は他のブログの記事でも見られるので、多くの人が当時から気にしていることである。

私はこのようなバンクシステムは、お金を払って観に来ている観客をバカにしていると思う。

新車で買ったトヨタカローラのスピードメーターに15年前のカローラのメーターが付いているようなものである。

バンクシステムではテレビ「鉄腕アトム」でも画像として採用してあったが、当時幼稚園生であった私は、アトムのアップや飛行シーンにいつも同じ場面が出てきて、「あ インチキだ」と思ったものである。 

バンクシステムなとどいう都合の良い名前でなくサボリシステムと言ってくれ。

制作現場の合理化も大事であるが、肝心のお客さんに不快感を与えることはすべきでない。

ゴジラがやられるシーンで「椿三十郎」もどきの血液ブシューをやってしまっている。 やるべきでない。 田中友幸はどうしたのだ、本多監督はこういうシーンは絶対避けた人だが。

この映画で、1974年当時の人のスタイルや、ケンメリのスカイライン、ギャランGTOなどの車が懐かしかった。

沖縄の音階を使った佐藤勝氏の音楽は良い。

ただそれだけである。

 

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STRATEGIC AIR COMMAND 戦略空軍命令

 ゼロ戦から調子に乗ってヒコーキ映画へ。

この映画こそ、私をヒコーキファンにしたてあげた張本人である。

いや、それ以前にジェットエンジンに興味はあったが、ヒコーキ全体のメカの楽しさと、フォルムの美しさをこの映画で知った。 テレビの深夜放送にてである。

監督はアンソニー・マンで、出演のJ・スチュアートとJ・アリスンとともに前作「グレン・ミラー物語」からそのままのシフトだ。

観たのは高校時代であり、スチュアートは知っていたが、アリスンは全く知らない女優であった。 顔もたいして美人でないし、背も低くグラマーでもない。声も枯れているし、ミスキャストだなと当時感じたが、後になってアメリカ男性のお嫁さんにしたいナンバーワンの女優さんとわかり、考えを新たにした。

この映画でも、「GM物語」でもアリスンは家庭を守り、夫を支えるよき妻である。

アメリカ男性も結局、モンローより、家庭では当時の日本人女性的な人を嫁さんにしたかったわけである。 たしかに西洋人から、嫁さんにするは日本人女性が一番という言葉をよく聞く。(ただし昔の蝶々夫人的な日本女性だと思いますよ)

その日本人女優でアリスンに匹敵する人はだれであろうか。

「宮本武蔵」でお通さんを演った八千草薫さんであろうか。そういえば八千草さんはイタリア映画で蝶々夫人を演じていた。  どちらも恋する人、夫を慕い続け、一生男性につくしたい女性である。

私、八千草薫といいます。 

いえ、八千草薫・・・ の ファンです。

そのジューン・アリスンもつい最近亡くなった。

ヒコーキファンにたまらないのは本物の実写映像で、B-36爆撃機とB-47爆撃機が見られることだ。 これは貴重である。

B-36はガソリンエンジンとジェットエンジンが合わせて10コもついているオバケみたいなヒコーキで、そのデサインは見方によっては醜悪である。だが飛行機雲をなびいて堂々と、優雅に飛行するさまは、まさに空の王者というところである。 日本にも、映画に出てきた横田や嘉手納に来ていたヒコーキだ。

一方、B-47は初めて後退翼を採用した爆撃機で、現在の旅客機の原型(エンジンをパイロンで吊り下げる形)となった美しいヒコーキである。

映画では、スチュアートが格納庫で初めてB-47に対面し、やっぱり「美しい」と叫び、家に帰ってアリスンにも興奮さめやらぬ感じで説明していた。

このヒコーキたちの空撮は「トコリの橋」なども担当したカメラマンで、その映像はビクター・ヤングの優雅な音楽とあいまって、天国にも昇る気分である。

なお、一部、不時着シーンや嵐の中のアプローチシーンにミニチュア特撮があるが、1955年の映画としては当時の円谷物よりはるかにうまい映像である。

あの当時のアメリカには、エンドクレジットの片隅に、目立たない小さな名で載っているうまい特撮監督がたくさんいた。

グレンミラー物語 DVD グレンミラー物語

販売元:ファーストトレーディング
発売日:2007/01/25
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残念ながらソフトがありませんので、この映画をご参照ください。

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ゼロ戦について

大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫) Book 大空のサムライ〈上〉死闘の果てに悔いなし (講談社プラスアルファ文庫)

著者:坂井 三郎
販売元:講談社
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 「トラ・トラ・トラ」から調子に乗ってゼロ戦の話へ。

本当は「零式艦上戦闘機」という。 なぜ零かというと軍に採用された昭和15年は天皇の歴史が始まって2600年にあたるので、末尾の数字0をとって零式となった。 アメリカ軍は1940年の末尾0だと勘違いしていたようだ。

だから2601年だったら1式になったはずであるが、それは陸軍の「隼」戦闘機になった。

海軍のパイロットは、オフィシャルでは「零式戦闘機」と呼んでいたはずだが、現場では「ゼロ戦」と呼んでいたようである。 

話はそれるが、戦時中、日本は敵の言葉である英語を禁じたが、それをかたくなに守ったのは陸軍だけで、日本海軍は、もともと英国海軍じたてでもあることから、現場ではドンドン英語を使った。それは、陸軍への反発もある。 昔から陸軍と海軍は仲が悪く、反対のことをしたがるのである。

アメリカ軍は日本海軍の戦闘機に女性の名前をつけて識別していたが、ゼロ戦だけは「ZEKE」ズィークと呼んだ。だが映画や記録フィルムでは単に「ZERO」と発音していることが多い。 ZEKEは私の辞書にのっていないが、「あの野郎」という捨てゼリフのような言葉でないかと思う。どなたかご存知か。

映画「1941」ではジョン・ベルーシが丁寧に「MITSUBISHI・ZERO」と言っていた。 しかし、三菱がすべて設計・製造を請け負っていたのではなく、エンジンは中島飛行機(今の富士重工)製である。 

今の自動車に例えれば、ランサーエボリューションにインプレッサSTIのエンジンを乗っけたようなものである。 

そのゼロ戦の数値的諸性能については、本がたくさん出ており、ここで私がクドクドと言う事も無いので省略。

ただ、真珠湾攻撃より以前の日中戦争の頃から、すくなくともミッドウェイ海戦までは圧倒的に強かった。

その当時のエピソードで面白いのを紹介しよう。

日中戦争時、ゼロ戦は中国軍が使ったソ連の戦闘機をバタバタと撃墜した。その様子に驚いたアメリカ軍の顧問は、本国にむけて、日本軍の新型戦闘機の詳細を写真付きで報告し、ハワイ、フイリッピン方面の指揮官に警告した。

ところが、全く無視されたのである。 アメリカ本土の軍首脳たちは、もしそれが本当ならば、アメリカ軍の戦闘機より性能が良いことになり、劣等民族である黄色人種の日本人が、そんな引き込み足の高性能の飛行機を造れる筈がないという理由で、一蹴したのである。 

さらに真珠湾攻撃では、実際にゼロ戦の攻撃を受け、その事実を受け止めることとなるが、それでもなお、 一部の将校は、日本人は体格も貧弱で、いつもメガネを掛けていて視力が弱く、まともに戦闘機の編隊飛行ができない、だからきっとドイツ軍が編隊の先頭にいて指揮しているに違いない。と のたまわっていたのだ。 さらにパイロットの中にドイツ人を見たという者まで現れた。彼らこそメガネが必要である。

マッカーサーは当時フィリッピンの司令官であったが、飛行場や航空機をゼロにコテンパンにやられた。 彼は日本の空母が近海にいるはずだと考え、索敵を命じたが、とうとう発見できなかった。 

それもそのはずである。ゼロは台湾から発進し、戦闘した挙句、また台湾に帰っていたのだ。往復約1600キロ。 当時の欧州の戦闘機の航続距離はせいぜい500キロ程度であったが、ゼロは3000キロ以上飛行できたのだ。

「アイシャル リターン」はゼロのパイロットのセリフといいたい。 マッカーサーは戦後になっても、空母がいたはずだと信じて疑わなかった。

ゼロの燃費性能はたとえるならトヨタプリウスというところだ。 15時間も飛べるのである。巡航速度を220キロ前後にするとリッターあたり5キロ近くの燃費で飛行できるのだ。(初期型)

これはスカイラインGTRが時速200キロで走行するときの燃費より良い。 排気容量28000cc、950馬力のエンジンの飛行機がである。 しかし、この高性能は逆にパイロットを困らせた。疲労と生理現象にである。

我慢できず、もらしたパイロットはだいぶいた。 また、場合によっては12時間の飛行任務から帰還し、わずかの休養の後、ヒロポンを注射してまた出撃させられた。

緒戦になると、ゼロにとって、アメリカのF4Fグラマンなどヘビに睨まれたネズミであった。 

敵前逃亡というのは軍法会議物であるが、当時のアメリカ軍の飛行ルールのひとつに、「積乱雲とゼロに遭遇したら逃げろ」、というのがあった。 

ゼロの名は戦中・戦後もアメリカ国内でも浸透し、神秘的意味合い、なにかを消滅させる意味で使われることがあった。

たとえば女の子をナンパしてうまくいけば、「彼女をゼロみたいにモノにした」というぐあい。 アメリカの80歳以上のジイサンなら知っているはずである。

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トラ トラ トラ の俳優さん

 どうも印象に残るので、記してみます。

DVDというのは、画質がよく、つい最近撮影されたかに見え、出演している俳優さんが、みな生きている。

「トラ・・・・」で私の心に生きている俳優さん。 

山村聰。(山本)  

・・・・東大卒のインテリ派。 お医者さんや大学教授、大臣が似合う。 しかし、小津の「宗方姉妹」では、どうしようもない男を演じた。今回の山本役はピッタリかどうかは私は判断できない。実際の山本はもっと小柄な人ではあったが。私が幼児の頃「ただいま11人」というテレビドラマに父親役で出演していたのを憶えている。

東野英治郎。(南雲中将)

・・・・若かりし頃は悪党役が多いようだか、いつのころか好々爺ばかり演じているように思える。  「しかしこの作戦は完全なる奇襲でなければ完全に失敗する。」 と ツバキを飛ばしながら力演していました。 あまり似ていない息子さんも亡くなってしまった。

藤田進。(南雲にたてつく参謀、山口多聞少将

・・・・戦時中は戦闘機乗りか、無骨な軍人役が多いが、「姿三四郎」以来、女心が分からないデクノボー的役もある。九州なまりがぬけないせいでもある。昭和30年代後期からほぼ引退状態であり、以後の黒澤の映画に出演してもセリフは二言くらいのものだったが、請われて出演していた。怪獣映画では、だいたい自衛隊幹部役で、ウルトラシリーズにもチョイ役で貫禄を見せてくれた。

須賀不二夫。(大艦巨砲主義派の参謀)

・・・・あのツラなので悪人が多い。 悪人でなくとも何か企んでいるヤツというイメージ。 でも若い頃は二枚目役だったとか。 小津の「早春」で岸恵子を詰問するのもなにかコニクラシイ。 今もお元気かどうかは不明。

三橋達也。(源田)

・・・・実生活ではたいへんな狩猟マニアで、映画でもショットガンを手にする姿は板についている。 「天国と地獄」の秘書が印象的。 ただし、ちょっとカマッぽい役やマザコンなどもやり、コメディーでもうまかった。 最近亡くなりました。

千田是也。(近衛首相)

・・・・怪獣映画でよく博士をやる人。 実際の近衛はスリムな人なので、あの体格は似合わない。眉毛のつながった太った犬みたい(失礼)。葉巻の端をかじり取る演技が当時の悩み多き立場を表現している。 今なら元阿倍総理。

内田朝雄。(東條英機)

・・・・この人も軍人役が似合う。 「兵隊やくざ」で連隊長を演じていた。そのクラスの軍人から、今回は陸軍大臣になり大出世。 

北村和夫。(政府首脳幹部)

・・・・セリフのカツゼツのうまい人である。今村一家の人だ。この人も最近亡くなられた

島田正吾。(野村大使)

・・・・新国劇の名優。「赤城の山も今宵限り」である。大友柳太郎とともに、渡世人を演ったら天下一品。 あのヤクザの巻き舌のしゃべり方が抜群にうまい。 一変して、重い責任の大使役で、日米両方の撮影を難なくこなしている。苦悩の表情がいい。 流暢な英語の部分は吹き替えである。

十朱久雄(来栖大使)

・・・・今回はあまりセリフがなく、しかも軍国主義的な役であるが、本来はコメディーの似合う俳優だ。娘の十朱幸代に叱られるが、頭は加藤茶のハゲオヤジみたいで、たよりないお父さんという感じ。子供のころ観たテレビ「まるでダメ男」でボロットを作ったお人よしの発明家のお父さんを演っていた。「とうちゃんハラヘったガソリンちょうだい」 「なんだもうガス欠か、よしよし」。

その他バイプレイヤー

・・・・日本側は東映が撮ったので、室田日出男が爆撃機にいた。井川比佐志もいた。 あのあたりが深作の撮影であろう。 しかし東映の俳優さんは少なく、フリーの方ばかりのような気がする。

「近頃の海軍さんはたるんどる」の釣り人のオッサンは中村是好ではないか。エノケンの相棒である。 「四つの恋の物語」ではアノ顔で「ボッカチオ」のベアトリ姉ちゃんを踊っていてケッサクである。  

日本大使館で、モタモタとタイプを打っているのは久米明さんだ。 「すばらしい世界旅行」の人である。上着を脱ぐのは彼の自主的演技だそうだ。

海外版(DVDで見られるのがそう)ではカットされたが、日本版に渥美清と松山省二?が、赤城の厨房で、ボケとツッコミを演っていて笑わせた。 

ただし、日付変更線をネタにしたショーモないギャグで私は笑わなかった。

フライシャーは日本側の演技がオーバーで困ったそうだが、東映系監督の演出は今でもオーバーである。あれが東映のカラーである。私はきらいだが。

ところで、「紅の豚」のポルコのセリフをまねすると、

    「女がひとりもイネー」。 

あ いや、ゼロ戦に手を振る遊郭の女、4人ほどいました。

アメリカ側の俳優では一番の大物はジョセフ・コットンか。 メークがくどくて彼だか分かりにくい。この映画に出演する前に、東宝に呼ばれ、「緯度0大作戦」に出演しているが、その時からジイサンになったなーと感じた。(DVDを最近観て)

マーチン・バルサムはハワイの司令官であるが、この人もB級俳優という感じ。 「私に当たればよかった」のセリフを最初拒否したそうである。その態度は大物俳優。

その他バイプレーヤーでは悪漢一筋のネビル・ブランドが常識ある軍人として出演、彼が叱り飛ばしていた上官がリチャード・アンダーソンである。

アメリカのワシントンあたりを忙しげに伝令する男優さんと女房役の女優さんは観たことがあるのだが不明である。

B-17のキャプテンも見たことがあるが不明。

空母に乗っている眉毛のつながった提督は「ショーシャンク」でブロックスを演じているが、名前を忘れた。最近観た「コンバット」にもゲスト出演していた。

ハル長官を演じたのも知らないがうまい人だ。 おそらく1800年代の生まれであろう。

 

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TORA!TORA!TORA! トラ トラ トラ

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 この映画の日本シーケンスは黒澤が監督するはずであった。

しかし、数々のゴタゴタにより、黒澤は監督の座を降り、撮影は30分ほどのフィルムで終え、中断した。

その部分も結局使われず、深作、舛田監督に委ねられた。

深作はアクションの担当、舛田は人物部分を担当した。

このへんのいきさつは何冊の本にも書いてあり、あえて説明に及ばないが、没になったフィルムを観たいものだ。 黒澤は素人の俳優を使ったのだ。 

総合監督はR・フライシャーで、この人のお父さんは映画版「ポパイ」のアニメーターであったマックス・フライシャーである。

アメリカ側の撮影では、日本側に比べ、たいした役者を使っておらず、いろいろ非難されるが、これはドキュメンタリータッチとするため、あえてビッグスターは使わなかったということだ。

ちなみに、山本役に三船も候補に挙がったが、既に東宝「山本五十六」に出演済みでもあったし、黒澤と決裂しており、気を使って出演しなかったということであるらしい。

制作総指揮は、ダリル・ザナックで、あのカイザー髯をはやしたアナクロじいさんである。

当時、20世紀フォックスは経営がピンチで、ザナックが前作で一発あてた「史上最大の作戦」の第2弾ものとして企画された。

制作費は当時3000万ドルで、現在ではどのくらいになるか見当もつかぬ。

演出のコンセプトは、日本側の描写は、規律と統制であり、アメリカ側は後手に廻った怠慢の様子である。 したがってこの映画、アメリカでは当然ウケなかった。

日本軍の攻撃を予測しながら、連絡がうまくいかず、アタフタした様子がうまく演出してある。  

なお、映画中のことは全て事実であり、フィクションではない。 それは映画の冒頭でtrue storyということで説明がある。フライイングスクールの場面も実際にあったことである。

ただし、当時のルーズベルトが、日本側の真珠湾攻撃の暗号を既に知りつつ、あえて、だまし討ちを演出したという解釈は憶測にすぎない。

映画の冒頭で、旗艦長門の実物模型が出てくるが、ベニアで造られたにしては実によく出来ている。日本側のスタッフが制作したのだが、フライシャーもコメントで驚嘆していた。 ただし九州の干潟に造られたこの模型、カメラに写らないウォーターラインの辺は土台の骨組みだけです。 

日本軍の攻撃シーンの90パーセントは実写映像であり、圧倒的な効果がある。

特に驚異的な映像は、滑走路でのカーチス戦闘機の暴走シーンで、無線操縦のこのヒコーキは予期せぬ動きとなり、スタントマンを危機にさらしたが、その映像はそのまま使用された。 

あのシーンは何度観てもすごいがケガ人はゼロだったということだ。

ゼロ戦を演じているのは、テキサンT-6という練習機で、ヒコーキファンにはおなじみである。 ところでこの練習機、戦時中も日本のパイロットから、「敵さん」に通じることから知られ親しまれていた飛行機である。

実物の撮影ではどうしても不可能な部分はミニチュア特撮が使われている。

担当したのは、Lyle Billy Abbot(L・B・アボット)とA・D・フラワーズである。

ハワード・ライデッカーも参加しているようだ。

このアボットという名前は、小学生の頃から知っていた。いや崇拝していたと言ってもよい。

私は、小学校1年生ごろから映画やテレビで円谷特撮に触れていて、それなりに面白がっていた。

しかし、2年生から始まった「宇宙家族ロビンソン」のジュピター2号の飛行と探検車(英語でチャリオット、フランス語でシャリオ)、それに一つ目巨人のミニチュア特撮でアボットの映像のすばらしさに開眼し、 さらに「原子力潜水艦シービュー号」の水物の描写、水中、特にフライングサブなどのシーンに圧倒されていたのだ。

またアボットとは別に「サンダーバード」の小さい模型ながら、迫力のある特撮とも比較して円谷英二の時代などもう終わりだと思っていた。 

それで、中学1年の時、この「トラ・・・」である。 

私のミニチュア特撮のスタンダードは、まだ観ぬ「2001」を除き、70年代後半のsfxブーム以前ではL・B・アボットが決定的となった。 

さて、この映画において、彼のすばらしい撮影は、まずハイスピードカメラの回転が安定していて、その適切な速度により、迫力ある爆発燃焼を見せている事だ。 

カメラの回転数は5倍程度である。 

これは見る人によっては、遅く感じ、海面の波の動きなど、水飴のように見えなくもないが、あの速度がミニチュアのスケールと比較し、実物映像に近いものと私は確信している。 これを3倍程度の回転数ではどうしてもミニチュア然となってしまうのだ。

私がそのシーンでいつも舌をまくのは、マーチンバルサムが流れ弾に当たりそこなう直前の、窓外からみたアリゾナなどの爆発特撮シーンだ。 あれはもう上記写真のような真珠湾攻撃の記録フィルムに近い。

尚、話がそれるが、円谷の特撮で、10倍以上のハイスピード撮影はテレビ「マイティジャック」で観られる。 マイティ号の浮上発進シーンはそのせいで迫力がある。 

さらにアボットは(アメリカの特撮監督は)ミニチュア撮影で、可能なことなら、できるだけ野外の太陽光で行うことだ。 太陽の光はスケールダウンしたミニチュアでも実物と変わらない陰影を表現できる。 そのため、この映画でも実写部分とのつながりが実に自然である。 

このやり方を日本で積極的に実践しているのは、平成ガメラの樋口監督であるが、円谷にも大プールでの野外撮影はある。 しかしどうもうまく見えない。

爆発では水柱も実に自然だ。 実写シーンでも観られるように、浅い海面で爆発が起こると、細い長い水柱となる。それをうまく表現してあった。

それは、火薬の下に銀粉を敷き、吹き上げた時、細かい水滴に見えるように工夫してあるためでもある。 

これを円谷がやると、「ハワイ・マレー沖海戦」や以後の水物映画などでは三角錐の水柱となってしまう。 あれは不自然である。第一、投下魚雷の炸薬は50キロ程度で、あんな大きな爆発はありえない。

円谷は「日本海大海戦」で圧縮空気による爆発水柱を表現している。 ユニークな方法であるが、このアボットのやり方のほうが自然に見える。

空母赤城などの走行シーンもすばらしい。ミニチュアもかなり大きいが、スモークを焚いた夜の海の状況は、奥行き感があり、適切なハイスピード撮影とあいまって、雰囲気をよく出している。 波の動き、船の周りと後になびく白波は特殊な薬品により作り出す工夫をしている。

というわけで、私が東宝のミニチュア特撮に辛口になるのは、このLBアボットやサンダーバードのデレク・メディングスの存在により、無理からぬことなのだ。

だが、円谷特撮でも感嘆するシーンがたくさんある、以後紹介できればと思う。

尚、この「トラ トラ トラ」、おしむらくは、この映画でこれらミニチュア特撮の部分が少ないことだ。 アクションの主役は、やっぱり実写映像なのだ。 

時間の関係か、ミニチュア撮影は かなりカットされているはずである。もっと観たかった。

また、ミニチュア撮影部分に飛行機が登場するのは1カット一瞬しかなく、あえてボロがでそうなものは、省いたのかもしれない。

本編撮影が終了し、公開されるまで1年以上かかったそうだが、それは特撮と編集に時間がかかったためだという。

トラ・トラ・トラの暗号は「突撃 雷撃機」の意味で、和文モールスで

トラ は ・・-・・ ・・・ である。

 

 

 

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生きる

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 昨夜に引き続き黒澤映画のリメークドラマを観た。

しつこいようだが、フィルム撮影できないものだろうか。 本人とブローカーが遊びつくす夜のキャバレーや御通夜のシーンなど、照明に工夫をすれば、光の陰影、色合いなどは、ビデオテープよりもっと深みが増すはずだが。

ただし、今回の演出は昨夜の「天国と地獄」より良い。 

うまい俳優がそろったというのも理由のひとつであるが、無理のない脚本だったと思う。

ただオリジナルから言われていることだが、若夫婦が親父の体の異変に全く気づかないのは変である。

さらに変なのは、御通夜の席に本人の同僚しかいないことで、親戚はどこにいるのだろうか。 別の席が設けてあるのだろうか。

役所を辞めた女性が、御通夜の席に現れてもいいと思うが、そうなると、話がややこしくなり、回想シーンも無くなる為、省いたのだと思う。

きりがないが、この映画が、世界の名作の一つであることは、間違いない。

私はこのリメークでも涙があふれてきた。

オリジナルでは主人公、渡辺を志村喬が演じたが、半年近い撮影期間、役づくりに悩み、胃カイヨウを起こしてしまったそうで、ほんとうにガンを患ったような様子に見えた。 

しかし、松本幸四郎は、収録期間も短いためか、あまり衰えていく感じがしなく、残念である。 これはメークにもよるが、やはりフィルム撮影なら強調できたかもしれない。

ただし、オリジナルの志村はメークがくどすぎて、表現主義的に見え、好かないという批評もあった。

ドラマの御通夜のシーンでは各俳優熱演しているが、やはりオリジナルの俳優さんと比較して見てしまう。

黒澤映画に出る俳優さんが、個性が強烈すぎるのだ。

田中春男、日守新一、左ト全などみんな忘れられない演技である。

しかし、終盤、ユースケのさびしそうな演技は、印象に残った。

オリジナルのマネだけはできないという、演出家の意向がよく分かる場面であった。

ところで、オリジナル「生きる」の映画出演者でまだ存命の役者さんは陳情団の中の菅井きんさんだけではないか。 その中にも本間文子さんがいたが、今どうされているか。

一番若いと思っていた小田切みきさんも最近亡くなってしまった。

 

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天国と地獄

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 黒澤の映画がテレビドラマでリメークされる。

たぶんビデオ録画であろうが、やはりフィルム撮影で緊迫した雰囲気を味わいたいものだ。

リメーク物を観る楽しみは、本家オリジナルにどれだけ接近できているかである。

なにしろ黒澤の映画は、すくなくとも、演技・カメラワークの完成度が高いので、リメークする側もやっかいなことだ。 黒澤のマネをするわけにはいかないからだ。

失敗すると、オリジナルと比べられ、それみたことかとけなされる。

だから、私が監督だったらリメークはイヤだね。 まして黒澤の映画は。

この映画を劇場で観たのは、黒澤ブームの頃で、私も含めて若い人でいっぱいであった。 当時、ビデオソフトは出でおらず、伝説の映画を垣間見たわけである。

権藤邸のリビングでのシーンはマルチカメラにより、長廻しが多い。 そのため室内での緊迫した空気を感じる。 面白いのは舞台の演劇に見えることだ。

つまり、俳優もワンカットだけの出番ではなく、大勢の俳優との連続芝居となり、観いてるこちらも、生芝居のような緊張感を感じる。

その場面で、木村功は、長い芝居のあと、一番最後にチョコット自分が現れるシーンでは、NGを出せば、前の部分が全部だめになるので、たいへん緊張したと述べている。

列車のシーンでは東宝のカメラをほとんど使い切って撮影された。 列車も撮影用のチャーター便のようで、なんとなく一発勝負の撮影であることが分かっているので、観ているこちらも大変な緊張感である。 現場はもっとすごかったであろう。

このシーンが終わった後、劇場では「あー」「おー」とか、「ふー」などの感嘆の音声が聞かれた。

なお、私の見解だが、列車と新一を迎えにいく車に、父親の青木が乗っていないのはちょっと変である。

横浜署(伊勢崎署?)での刑事合同ミーティングのシーンは黒澤の「圧縮された画面」として有名である。 多くの映画監督がお手本としている。 黒澤監督は夏の描写がうまいが、暑さとともに刑事の熱気が、詰まった画面から伝わってくる。

ところでこの映画、黒澤物としては外国では不人気だという。その理由の一つに日本の警察が、あんなに科学的に組織的に犯罪を捜査できるはずがないというのだ。 私は刑事でないので、なんともいえないが、日本人には不自然ではありませんがね。

逆に外国人にはヘンだと思われるシーンは、戸倉警部が「犯人は竹内と断定して間違いない」(セリフに記憶違いがあるかもしれません)と言ったあと、刑事全員が兵隊のように一糸乱れずスクット立ち上がるところだ。

 西洋のゲージン(外人)は、まずああいう行動はしない。

画面が詰まったシーンでは横浜の場末の食堂のところもそうだ。

あれは完全に再現されたな巨大セットであるが、エキストラが飲み食いしている酒や食べ物は全部本物ということだ。 黒澤は妥協を許さない。

戸倉警部の判断と予測が、新たな殺人を招いてしまい、よく評論家から非難されるところだが、「しまった」と失敗を認めるシーンがあるので、私はそう思わない。たしかにモルモットにされた女の人は気の毒であるが。

権藤と竹内が面会する、ガラス越しに相手の顔が反射している刑務所のシーンは以後の多くの映画にマネされている。

あの対峙シーンはこの映画の一番最初に撮影された。

当初ではこのシーンのあと、権藤と戸倉警部との会話シーンがある予定であったが、編集でカットし、シャッターが閉じて映画を終わらせている。 

こうしたのは、山崎勉の要望だということだ。 彼はこの映画の熱演により、以後注目されることとなる。

この緊迫した、重い映画でもちゃんと笑わせるカットを黒澤は準備している。

重いテーマの「生きる」でもそうだが、黒澤はサービスを忘れない。

この映画では木村功がコメディーリリーフの役だが、私が最も好きなのは藤原釜足の焼却場のオッサンだ。

軍手にタバコを挟んで 「燃えねーもの持ってきやがって・・・ブツブツ」

「ブリキは燃えねーってんだよ!」  ガンガラ、ガンガンガン

何度観ても笑ってしまう。 いやあの藤原さんの演技に感嘆してしまう。

竹内が逮捕されるシーンでは、夜なのにサングラスをかけていて、花畑では彼がまるで毒虫のように見える。 これは淀川長治さんの言葉。

ここで「オーソレミーオ」が流れているが、黒澤監督はプレスリーの歌を流したかったらしい。 しかし版権の問題で出来なかったそうだ。

追記 : 

テレビドラマのほうを観たが、こどもを誘拐し、預かっている間どうだったかの描写があり、私も前から気になっていたところで、いいアプローチだと思う。

でも、みんな、芝居よくないですね。もう一度発声訓練でもしたらどうか、早口になり、語尾が曖昧になる俳優が多かった。

早口の俳優では過去には加藤大介などそうであったが、それが彼の持ち味であった。 

中途半端なカツゼツと演技ではボロが出てしまう。

          

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2001年宇宙の旅 「シーハー」

きまぐれロボット (フォア文庫) Book きまぐれロボット (フォア文庫)

著者:和田 誠,星 新一
販売元:理論社
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 小説家の星新一はこの映画を見た後こう言ったそうである。

「シーハーの多い映画ですな」・・・シーハーとは呼吸の音のことである。

映画後半、休憩前にハルはアンテナ装置の不調を訴え、二人の船外活動が多くなる。 

それにキューブリックはヘルメット内の「シーハー」の呼吸の音と、「シュー」というエアの音を入れた。

しかし、映画製作当初、ここには音楽が入る予定だったのだ。作曲家(アレックス・ノース、「スパルタカス」)も決まっており、録音も終了していた。 どんな音楽か今となっては想像も出来ない。

あのシーハーの音を聴いていると、映画も後半で、そろそろ疲れがきて、正直言って眠くなってくる。

実は、この船外活動が2度もあることや、二人の演技にメリハリがないことで、このシーンが長すぎるとの批評はよく聞くことである。

ところで、あの宇宙服、イギリスの海上救助の器具を造るメーカーに依頼したそうだ。 ヘルメットは別会社であるが、息の曇りがつかない工夫がしてあるはずである。

スペースポッドは今見ても、現物として使えそうなくらい完璧な乗り物である。

小型宇宙艇というより、潜水艇としても実用的なデザインのように見える。  あれは同じくイギリスのホーカーシドレー社が内部まですみずみ担当した。 

戦闘機ハリアーの会社である。

映画では無線をディスコネクトするところとハッチの爆破シーケンスの装置ぐらいしか見られないが、どこにカメラを向けても、それらしく見える計器類が、ちゃんと文字を印刷され待機しているはずである。(内部撮影用ポッドは半分コになっている)

あの当時の日本映画では、SFなどに出でくる計器類に、秋葉原で売っているバーニアダイヤル、トグルスイッチ、パイロットランプ、電流計などがそのままセンス無く無造作に取り付けてあり、昔のラジオ少年が作った無線機みたいでがっかりする。 

せめてカメラのアップで写るところは、それらしい文字をパネルに印刷すべきだ。

ボーマンがポッドから出てくるところ、および、ポッドから緊急脱出しエアロックに進入するシーンはカメラを下から撮り、上から本人を吊り下げ、ワイヤーが見えないようにしてある。 同じく後のハルブロック進入でも同じ。

「2010」では、同じくハル内部のシーンでボブ・バラバンは、長い棒に乗っかっておりました。

プールがハルの暴走により、エアチューブがはずれ、もがくシーン。 回転して、ポッドにキャッチされるのもスタントマンを吊って下から撮影した。

でも、まあ、これは皆さん言われなくとも気が付いてますね。

回転のカットの実際は、ハイスピードカメラを使っているので、かなり早く廻っており、アームにぶっかった時はスタントマンは失神寸前だったそうである。

よーく見るとぶつかった際、なにか宇宙服から破片が飛び散っているのでかなりの衝撃である。

この映画での事故はハルのセットからスタッフが落ち、腰の骨を折ったのが1件のみであるが、プールが回転ブロックに居たとき、照明が落ちて危うく大怪我というハプニングもあった。 

彼はメシを食っているシーンで、天井に縛り付けられているが、俳優も楽じゃない。 この回転ブロックでの撮影は、いつケガ人が出てもおかしくない状態であった。 

おまけに残業、休日出勤は当たり前で、一昔前の日本の映画撮影と同等である。 あ 今でも日本の映画撮影は同じですかね。

 星新一は「2001」と同年公開の「猿の惑星」のほうを高くかっていたそうである。

 

参考資料: メイキング・オブ・キューブリック「2001年宇宙の旅」 

          ジェローム・アジェル編 山川コタチ 私訳

         未来映画術「2001年宇宙の旅」 

          ピアース・ビゾニー著 浜野保樹・門馬淳子 訳 

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ジェットエンジン馬鹿

トゥルーライズ DVD トゥルーライズ

販売元:日本ヘラルド映画(PCH)
発売日:1999/01/20
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 今夜のテレビで「ばかデミー賞」というのをやっていて、その中に「ジェットエンジン馬鹿」が出てきて、私のことかと笑ってしまった。

わたし、中学生くらいの頃から、ジェットエンジンが気にいっているのである。

ガソリンエンジンのようにドッカンドッカンと間欠的に爆発するのでなく、連続的にスムーズに燃焼し、タービンが滑らかに高速回転し、ガスを噴射するのは爽快な気持ちである。 私、ちょっとオカシイデスカ。

番組の中の男はトイレにジェットエンジンをつけて走らせていた。

アメリカ人はああいうことが好きで、よく排気口から炎を出してデモンストをするが、あの炎はアフターバーナーではなく、トーチングといい、ただ燃料を排気筒の外に噴射し点火しているだけの見世物なので勘違いしないでほしい。

アフターバーナーというのは、排気筒の中で燃料を噴射し、燃焼(1700度と高温)させ推力アップさせる方法である。 外であんな弱弱しい炎を燃やしても屁にもならない。

「インディペンデンスデイ」などの映画ではCGによる戦闘機が出てきて、見てるとアフターバーナーが常に点火しているが、あの状態では20分で燃料が無くなる。

バーナーを点火すると推力はせいぜい1.5倍くらいの増加にすぎないが、燃料消費量は3倍近くになるのだ。しかも排気筒が高温にさらされるので、使用時間はせいぜい5分から10分程度である。

だから離陸時か、急加速、急上昇にしか使われない。 

つまりCGづくりの、スタジオにこもってばかりいるオニイチャンたちは全然わかっちゃいないんですな。

他の映画を観ていると、747などの旅客機のエンジンまでCGでアフターバーナーの炎が描写してあり、吹き出してしまう。 

おいおい、ファンジェットエンジンにABなんか付かないチューノ。

昔、東宝の「エスパイ」を観ていたら、やはり、ミニチュアの747の排気管から炎が出ていた。 特撮も出来が悪く、失笑を通り越し怒りすら感じた。

映画に出る戦闘機の描写で、もう一つ気になるのは、ハリアーである。

イギリスで開発されたこの飛行機は垂直離着陸が可能だ。

こいつが活躍するのは「トゥルーライズ」であるが、見ているとしょっちゅう離着陸し、さらに長時間ホバリングをしている。 これはありえないことだ。

エンジンはフルパワーであり、あの状態を繰り返していたら、これまた燃料はおそらく20分で無くなる。

シュワちゃんはビルに向かって30ミリ機関砲を発射する前に、どこかで燃料を補給しなければならない。

なおハリアーのジェット排気口は4箇所あるが、前の2箇所はファンで圧縮したエア(80度位の温度)を噴射し、後ろの2箇所は排気ガス(400度位の温度)を噴射している。

だから、映画のCGで、排気口の熱のユラギを描写するときは、後ろ2箇所のみでよい。 

CGづくりのオニイチャン、間違えないでね。世の中よく調べてね。

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ムービーカメラ

カルメン故郷に帰る DVD カルメン故郷に帰る

販売元:松竹ホームビデオ
発売日:2007/06/27
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ついでに映画のカメラについて。 ただし、ぜーんぜんその方に詳しくないので、ひょっとして、日大芸術学部映画科の学生さんや先生がこのブログを観たら笑止と一喝されることうけあい。

今の映画撮影は日本映画でもアメリカのパナビジョンを使っている。 これはどうやらレンタルだということだ。映画会社が所有しているものではないらしい。

それは映画のエンドクレジットの一番最後あたりに出てくるので分かる。 あのトルビーシステムやらアメリカの映倫のマークが出てくる時分だ。 

余談だが、終わりまで、几帳面にたくさんのキャストの名を追っていくと、おしまいの文字がストップしたとき、眼ん玉が上に寄ってしまう。

このパナビジョンというカメラのレンズがものすごくシャープなことは以前から感じていた。 日本映画でこのカメラか、それ以前のカメラを使っているかは、分かりやすいことである。 

これ以前の映画のカメラというと昭和30年ごろから、トイレットペーパーサイズ(溝口健二がそう呼んでいたそうである)のシネマスコープのものがその中の一つだ。

35ミリのフィルムに圧縮して焼くので、なにか歪みやボケがありそうだが、そんなことも感じない。 映写するときは逆に拡大するレンズが使われると思うが、どういうものか見てみたい。

問題はシネスコ以前の映画だ。スクリーンのサイズは「スタンダード」やちょっと横長の「ビスタ」である。 ビスタはどうなのか不明だが、35ミリフィルムのカメラでは、よくミッチェルという名が聞かれる。

例えば、スタッフのこぼれ話で「重いミッチェルを担いで山の中までロケに行った」など。 ま カメラはたいていみんな重そうですが。

そのミッチェルで撮られた望遠のショットが凄いんです。 グルグルと渦を巻いているのです。 

森の中のシーンだと林や葉っぱや枝が、ブラックホールの重力レンズで歪められた、はるか彼方の銀河のように渦状になっていて、今にもそこからワープできそう。

家の中のシーンで日本間を撮ると、障子の格子やタンスが膨らんで見えます。

あれはどこのメーカーのレンズなのだろうか。標準や広角ではそういうことはないのだが。 しかも松竹や大映の映画ではあまり感じられず、東宝の映画に多いような気がする。

日本には無かったように思うが(思うばっかりの無責任でゴメンネ)もっと昔には、テクニカラーという撮影方式があった。

ディズニーの映画や「風とともに去りぬ」などで使われた。

なんでも、一本のレンズからハーフミラーを通して、3原色に分解し撮影するという。 つまりフィルムマガジンが三ついるということである。

1本のフィルムは白黒と同じなので、色あせがなく、永遠に色彩を保てる。

しかし、ものすごくバカでかいカメラでしょうな。 残念ながらそのカメラを写真でも見たことがない。

カラー映画のことでは、日本での最初のカラー映画は松竹「カルメン故郷に帰る」で、普通のカラーフィルム(アグファカラー方式)を使い、当時コダクロームがあったにもかかわらず、フジフィルムが使われた。

ただし感度はASA10くらいのもので、撮影もほとんど昼のピーカン時ばっかり。 銀レフで俳優さんがまぶしそうである。

この映画のカラー撮影は実験的でもあり、撮影や現像がうまくいかないことが懸念された。それで万が一の為に白黒フィルムの撮影テイクもあり、そちらのほうが芝居や演出のできがよいということだ。

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ペンシ゜ー のミス

ベンジー DVD ベンジー

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007/04/27
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犬が大活躍する映画というのは結構ある。

犬が主役であるから、思うように撮影がはかどらず、監督さん泣かせとなる。

大監督でも動物と子供には勝てないという。

その私の子供のころはテレビで「名犬ラッシー」や「名犬リンチンチン」を放送していたが、日本のその時分の犬といえば、エエトコの家でもせいぜいスピッツであったので、ラッシーのコリー犬を見かけることなど、まずありえなかった。

まして、ディズニーの「101」のダルメシアンなど、まるで想像上の犬であった。

だから、1年に1回コリー犬なんか見つければ「 あ ラッシーだ」と少年たちは叫んだものである。

その「ラッシー」の映画版をBSで放送されたので、懐かしく拝見できた。ほんとにカシコイ犬ですね。 

たぶん撮影用に似たようなのが2.3匹くらい控えてあると思います。

そのラッシー一家のお母さんは、ジューン・ロックハートで、後に「LOST IN SPACE」宇宙家族ロビンソンのモーリン役をやった女優さんである。

まあこの人、アメリカのいいお母さん、良妻賢母の見本である。 ラッシーの頃はちょっと太めですが。

「ベンジー」というのがありませんでしたか。 かなり前です。 あの犬はなんというのかな。 テリアかな。 

ストーリーは全然覚えていないのですが、その中の数シーンに録音用の吊マイクが完全にスクリーンの上部スレスレに写ってしまっていたのです。 

私は、アレどうしたものかと思いましたが、制作側も、公開が迫り、撮り直しができず、涙を飲んでフィルムを使ったのでしょう。 今、DVDで観れば、たぶん上手にトリミングかデジタル処理で消してあるかもしれません。

この映画に使われた撮影カメラはパナビジョンシステムのものだと思いますが、これで使われるカメラのファインダーはいったいどうなっているのだろうか。 

1眼レフカメラのように、見たまんまがフィルムに写るのだったら、こういうミスはありえないので、レンジファインダーカメラのようにズレが生じたのかもしれない。

(たしかこのカメラのレンズとファインダーとのズレを   パララックスといったはず。私、写真部でした。)

私は映画撮影のカメラに大変興味があり、ぜひ現場でファィンダーを覗いてみたいものだ。 

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裸の大将 オニギリでなくオムスビ

裸の大将一代記―山下清の見た夢 Book 裸の大将一代記―山下清の見た夢

著者:小沢 信男
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テレビで新しい「裸の大将」が始まる。 前作では雁之助がやった。

しかし、雁之助さんには悪いが、私は堀川監督の同名映画による小林桂樹の山下清のほうが好きだ。

小林桂樹さんは好きな俳優のひとりで、お調子物のサラリーマンから東條英機までなんでもこなす、演技キャパの広い人だ。 人柄か悪人の役は少ない。

物を食いながらセリフをしゃべるのがうまい人で、黒澤の「椿三十郎」なんかタイミングもぴったりで絶品の芝居の一つである。

山下清も実にうまい。 直接本人に会ってしゃべり方やしぐさを習った?そうである。 特に「アッアアイ」という返事の仕方。

山下清本人も、よく他の映画(この映画にも出てていたはず)にチョイ役で出演しており、比べると小林さんのしゃべり方はぴったりという感じ。

映画の冒頭、柳家金五郎と温泉につかっていて、金五郎に唐突に質問する。

「い 色気があるというのは どどどういうことなのかな」  金五郎、困惑した顔

「に 日本の旗というのは白地に赤で、簡単だけど、あ アメリカの旗というのは星がたくさん並んでいて、ああいうのを い 色気があるというのかな」

 金五郎さらに答えようがなく、うなっている。

ちょっとセリフに記憶間違いがあるが、こんな風でオープニングからホノボノとして笑ってしまう。

走って逃げるところなど本人には失礼だが赤塚不二夫のバカボンに見えて楽しい。(ひょっとしてこれがモデルか)

この映画には彼の母親役で、三益愛子さんが主演しているが、彼女の芝居のまたうまいこと。 川口浩隊長のお母さんである。

ところで山下清はオニギリのことをオムスビという。東京浅草生まれで、当時はそういうのが一般的だったのだ。

「お おなかがすいたら オ オムスビをつくってもらいなさいと 死んだ(ウソ)お母さんが言ったノデ~」 が正解である。

だからオニギリと書いている今夜のドラマの脚本家は勉強不足。 

 

  参考文献: 「映画の昭和雑貨店」 川本三郎  小学館

 

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