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平成 ガメラ作品

ガメラ監督日記 Book ガメラ監督日記

著者:金子 修介
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 平成時代になって制作された大映・徳間映画の「ガメラ」は、2作品観ているが、何れも印象に残り、ミニチュア特撮も、不愉快な思いもせず、上質な映像で、入場料に見合った作品であった。 

 監督は金子修介氏、特撮監督は樋口真嗣氏である。 まずミニチュア特撮は、全面的にカメラアングルが我々人間が地上に立った位置でのものが多く、臨場感がある、 そして圧巻なのは、セットの凄いこと、あんなに作りこまれたミニチュアは日本特撮史上かってない。 例えば日本の町並みは乱雑で、家のモノホシから屋根瓦、あるいは看板から、電柱、そのトランス、電線、信号、電話ボックス、商店街の八百屋、カーブミラー、コンビニ、と、もうカオスに近い状態であるが、よくぞあれほど再現したものである。 ミニチュアセットを作ったスタッフのみなさん。あなた方はいい仕事をしました。脱帽。 

 また、それを指示したのは、樋口監督であろう。あなたの演出は正しい。ビルディングのたたずまいも、箱を並べた感じではなく、ウェザリングも適切で存在感がある。そのビルの屋上などの電光看板も手抜きが無く、発光も自然である。

 その建築物の破壊、倒壊も物理的に実写に近い感じで、迫力がある。よくビルの爆破作業の映像をテレビで見せるが、大変なホコリが発生するものであるが、その描写も演出してあった。

 さらに、ミニチュア撮影は野外で行われたものが多く、太陽光での自然なライティングは実写感を盛り上げていた。 特に日本特撮の歴史的名シーンに数えられるのは、ギャオスが破壊された東京タワーで、太陽の逆光を背に、留まっている場面です。 

 例によって自衛隊が全面協力しているが、ほんの一部を除いて、それらのメカや、その動きがミニチュアを使ったものでなく、実物であるのは、映画をしらけさせず、リアル感を出している。 実際に存在する戦車などが、ミニチュアでカタカタと、砲身を揺らしながら動いていたのでは、興ざめである。

 少々残念なのは、やはり、カメラの高速回転が遅い点で、特に東京タワーの倒壊シーンは動きが速く、迫力に欠けていた。ああいう物はユックリ、ユックリ倒れるものです。

 ガメラのキグルミは表情がよくできていました。 コンビナートでのアニマトロニクスによる表情の変化はゴジラより良い。

 パイロテクニックも上々で、油脂を混ぜた爆発と、粉を混ぜた爆発を組み合わせ、厭きない演出でした。

 私は、平成ガメラのミニチュア特撮は、日本映画史上、最も優れたものと認めている。 

 そして、多分、公に言えなかったであろう、彼らスタッフの意思を代弁して私が言うと、 「東宝の特撮だけはマネしたくない。」 である。 いや東宝の特撮監督には申し訳ないが、彼ら大映系のスタッフは、東宝のミニチュア特撮を反面教師としているように私は感じる。 それはすでに昔の「大魔神」からでも感じることができる。 

 平成ガメラ作品は、円谷特撮にしばられてきた日本の特撮の考え方を翻す、最もエポックメイキングな存在であったと私は思っている。 また、私がやりたかったことを、かわりに実行してくれて、じつに爽快であったと同時に、少々悔しい思いもある。

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特撮物」カテゴリの記事

コメント

平成ガメラ・・本当に良くできてましたね。
1作目の前半、私が住む街、福岡がメチャクチャに破壊されたのも爽快でした!
博多湾の箱崎~東浜あたりからガメラは上陸して須崎~長浜と移動・・・百道浜の福岡ドームまでやってきます。私の家は避難勧告地域になっていました・・・
と、現実に起こった事のように、リアルに感じたものです。

投稿: ぴろQ | 2007年8月 9日 (木) 04時31分

しかし、ホントに突如ハイレベルなSFX作品が
現われた感じがありましたね。
今の若い製作陣は幼い頃から海外のSFX作品や、
アニメに親しんでいるので、細かいところまで感性が
鍛えられているのかもしれませんね。

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年8月 9日 (木) 09時51分

ぴろQさん。今晩は。福岡のガメラ勧告地域にお住まいということで、破壊されなくて良かったですね。 なんせガメラの離陸のロケツト噴射だけでも、家など吹き飛ばされますから。

投稿: スタンリー | 2007年8月 9日 (木) 20時41分

ぱんだうさぎさん。今晩は。私の子供のころ、大人たちが、「日本の特撮は世界一だ」と言っていたことへの、疑問と反発があるのかもしれません。私がそうであったように。

投稿: スタンリー | 2007年8月 9日 (木) 20時46分

こんばんわ。遊びに来ました。
ガメラ。なつかしいです。
あの頃は東宝ゴジラ、東映アニメという路線でしたね。
私は、なぜか大映のガメラを先に見ました。
映画館が近かったせいか、
空いていたからかも知れません。

投稿: おっさん | 2007年8月10日 (金) 00時59分

おっさんさん。こんばんは。ようこうそ。 先日、いきなり訪問して失礼しました。 私の子供のころは、親に理解が無く、なかなか映画を観にいけませんでした。あの当時入場料は120円位でしたが、それすらもらえなくて。 ということで、大映ガメラはTV放映とDVDで観ました。 黒田特撮監督の演出がすばらしかった。映画は大人の鑑賞に堪えられるものでしたね。 わたしのgenerationはご推察のとおりです。 カーペンターズが活躍中のころです。 カレンが死んじゃって悲しい。

投稿: スタンリー | 2007年8月10日 (金) 20時06分

アランさん こんにちは
またまた昔の記事にコメント失礼します。

いやはや本当にもっとはやくこのブログと
出会っていたかったです。
平成ガメラと言えば極限まで精度を上げた特撮...
などなど、あらゆる事をまたまた代弁してくれて
いるようで爽快感があります。

>大映系のスタッフは、東宝のミニチュア特撮を
>反面教師としているように私は感じる。

特にこの下りは、幼少期に夢を見せてくれた
東宝のスタッフには悪いですが同感です。

昔の作品を振り返り懐かしむ事は
私もしますので往年の作品を否定したりはしません。
ですが、東宝特撮ファンの方で
この平成ガメラシリーズを敵視している方も
いらっしゃり、同じ特撮ファンとしてとても
残念な気持ちです。

メーサー車やバラゴンを愛する気持ちは解りますが
どうして完成度の高い、後発で、しかも東宝以外の
特撮を素直に評価できないのかと.....

投稿: 特撮太郎 | 2012年4月 8日 (日) 16時53分

特撮太郎さん。こんばんは。
東宝特撮にも、良いシーンがあるのですが、ムラが多いのですね。その点、樋口監督のものは全体的にハイレベルです。
アニメの押井監督と樋口さんが、一緒に平成ゴジラを映画館で鑑賞した際、二人の共通意見は「どうしてゴジラやビルが巨大に見えないのだろうか」・・・だったそうです。樋口監督が「ガメラ」を撮る前の事です。
この話は特撮太郎さんと私にも当てはまりますね。
 
「大魔神」特撮監督の黒田さんは東宝へ特撮のアドバイザーとして呼ばれています。円谷監督が現役のころです。大映の特撮はレベルが高かったのですね。といっても私は昭和ガメラはそれほど評価していませんが。

投稿: アラン・墨 | 2012年4月 8日 (日) 22時34分

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