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「ガ級」 ミニチュア特撮 1999ガメラ3

 1999年制作 「ガメラ3」をDVDで初めて観て驚いた。 前2作よりさらに冴えているのだ。CGなどのテクニックは、当然向上しているが、ミニチュア撮影はよりすばらしい内容となっている。 まず渋谷の破壊からして違っている。 実写と見間違えてしまう。 自分が道路に立って破壊の恐怖を目の当たりにしている気分だ。 卓球の愛ちゃんに良く似た女の子(名前忘れましたゴメンネ)の回想シーンのビル破壊やガメラの落下爆発も実写に見える凄い迫力(ひょっとして前作からの流用かもしれないが)。  また CG合成と組み合わせた燃焼の炎の動きが良くなりましたね。 あのくらいのゆっくりした炎が巨大感を出すのです。 過去の日本の特撮は炎の動きが早すぎて、実物のスケール感を損なっていました。

 前作同様、ミニチュアセットがすばらしい。いやさらに気合が入っている。京都駅の造形と破壊様式は日本ミニチュア特撮の頂点と言ってよい。 ミニチュアの制作には13人もの専属スタッフが携わっている。 あなた方の仕事は永遠にフィルムに刻まれます。 脱帽、土下座

 それから、爆発後に飛び散ったり、落下してくる鉄骨などの効果音もちゃんといれてありました。 過去の日本映画では、よくこういうことがサボッテありました。

 合成がまたすばらしい。 自衛隊が森の中でイリスと対峙するシーンは、ライブ撮影との違和感が全くない。 

 その自衛隊の小銃発射は、うれしいことに実際の隊員による本物の空砲射撃で、その衝撃、反動、発射音は迫力があり、ホットとしました。 あれが撮影用のモデルガンを使ったのでは、パチパチとなさけない炎と煙を銃口から出して、映画を台無しにしてしまいます。 おそらく本物の銃を使った映画撮影は近年ではこれが最初ではないか。 自衛隊へのネゴシエーションをよくやりましたね。

 さて私は、今になってこの映画をDVDで観たのであるが、1999年に観るべきであった。 日本のミニチュア特撮映画は、ここしばらくゴジラとガメラであったが、ガメラ1が放映された1995年で、もうこれに匹敵するものは無いであろうと判断し、このての映画の鑑賞を控えていたからだ。 東宝の川北特撮によるゴジラも大体想像つき、観るに及ばないと放っていた。 しかし、ガメラの樋口特撮はさらに進化していたのですね。 観ないで惜しいことをしました。 

 ところでその東宝のゴジラは1999年以降制作されてましたっけ。 あるのでしたら、この1999ガメラ3を日本の標準的なミニチュア特撮の基準として、比較しながら観てみたいと思う。 ガメラの影響をうけて進歩しているだろうか。

 戦艦のクラスを比較するのに「ド級」という言葉がある。これは1905年ごろ建造されたイギリスの戦艦「ドレットノート」のドをとったものだが、そのド号は以前の戦艦の造りや常識をくつがえす、遥かに優れたコンセプトによる戦艦であり、当時驚きの目で迎えられた。 そしてそれ以降の新しいドレットノート型の戦艦を「ド級」といい、以前の陳腐化してしまった戦艦と区別されるようになったのである。 ちなみに戦艦大和は「超ド級」といいますね。漢字では「弩」の字をあてます。

 私は日本のミニチュア特撮史において、この「1999ガメラ3」は、戦艦ドレットノートの出現に匹敵する画期的な作品だと考えます。 そして、もし以後この映画に値するミニチュア特撮映画が現れたら、「ガ級」特撮と宣言し、特別なものとして区別したい。

 1999年以降造られた映画「ゴジラ」がはたして「ガ級」といえるかどうか、そして「ガ級」映画がこれから日本で造られていくか、それともこのガメラ以前の陳腐化した映像を相変わらず作り続けていくのか動向が楽しみである。

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コメント

ガメラは、そこまでいっちゃっているのですね。
日本特撮史で、ガメラ3以前、以降と呼ばれたりして。
「弩級」のうんちく面白いです。知らんかったー。
ガメラシリーズ未見です。特撮ファンの端くれとして
「ガ級」の醍醐味この夏に味わってみます。

投稿: つのきち | 2007年8月14日 (火) 12時36分

「ガメラ」、代1作を見た年代物のおばさんです。
その後もうちの子供がよく座布団をしょって、ガメラ遊びをしてたのが懐かしい思い出の映画です。

投稿: バルおばさん | 2007年8月14日 (火) 18時56分

つのきちさん。暑いなかコメントありがとうございます。ガメラ3の映像いいですよ。でもストーリーはちょっと分かりづらかったです。
特撮に夢中で。(笑)

投稿: スタンリー | 2007年8月14日 (火) 20時15分

パルおばさん。こんばんは。ガメラ第一作目は白黒の映画でしたね、本郷浩二郎や、上田吉次郎がいたと思います。旧ガメラも、案外大人も楽しめる作品でした。

投稿: スタンリー | 2007年8月14日 (火) 20時22分

ガメラ3、私の周りでは評価が低いのですが、私は好きな作品です。しかし・・スタンリーさんにかかるとここまで詳細に分析されてしまうんですね^^
私はラストシーンに鳥肌が立ちました!

投稿: ぴろQ | 2007年8月15日 (水) 02時28分

おはようございます。私もラストシーン、好きです。ちょっとシンミリしました。映画の内容としては、MANAの説明が不十分でしたね。 ガメラにはもっと破壊してほしかったです。

投稿: スタンリー | 2007年8月15日 (水) 09時49分

こんにちは。今更のコメントでごめんなさい。ガメラ3は劇場で見てしまいました。渋谷破壊はリアルでしたねえ。行き慣れた場所だけに少し怖いくらいでした。

その惨状をテレビのワイドショーがとりあげる(草野さん)シーンは面白かったけれども、インタビューを受けるオバチャンがあまりにもセリフ棒読みなのは惜しかったです。

投稿: ogat | 2007年8月24日 (金) 09時02分

egatさん。コメントありがとうございます。 そうですね。渋谷のシーンなど、円谷ファミリー特撮の「神様の目線」のカメラアングルから樋口特撮の「人の目線」アングルとなり、臨場感が違いますね。 インタビューのオパチャンはロケ弁目当てのエキストラでしょうか。

投稿: スタンリー | 2007年8月24日 (金) 10時59分

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