« 日本映画のアクションシーンについて ***提言 | トップページ | 相撲のシーズン »

Forbidden Planet 禁断の惑星

禁断の惑星 DVD 禁断の惑星

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2000/04/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 1956年作品であるが、当時アメリカであっても、SF物といえば、低予算で、週末の映画館で、ティーンエイジャー向けに、何本か立てで見せる幼稚なものが主流であった。 また、日本ではなおさら、SFという言葉すら知られていなく、こういう映画は、「空想科学映画」と呼ばれ、まともな大人には「荒唐無稽」物で片付けられていた。 

 しかし、そういう大人にかぎって、「ロケットは、ガスの噴射によって、地球の空気を蹴飛ばして、その反作用で進むのだから、空気の無い宇宙では、前に進めない」という、いまとなっては信じられない、ばかげた勘違いをしていたのだが。

 いや、これはアメリカの新聞社が、月旅行の可能性を論じた、ロケット工学者のゴダートを批判する記事で書いた、本当の話である。

 という、時代にあって、この映画は、今でも大人の鑑賞に堪えられるSF映画史における傑作である。 オープニング、西暦2200年では、人類は、光速を超える宇宙船を開発し、銀河の他の惑星に進出していることを、ナレーションで、さらりと解説している。 安物の映画だと、宇宙船に乗り込んでいる素人の乗客に、博士が、くどくど説明するところである。 

 宇宙船は円盤スタイル。 当時、巷では「フライングソーサー」事件が相次いでいたので、トレンディーだったかもしれない。 日食の描写がすばらしい。 また宇宙空間の星々も、日本の特撮物のようにスタジオ的に見えず、上々である。宇宙船の動きも滑らか。 感心したのは、宇宙からみたアルテア星の表情で、立体的で、大気圏突入時のアップにも耐えられるものである。

 オープニングのタイトルから、電子音楽が使われている。 マルチ録音か、いくつかの音が重なっており、時には不協和音のようで、時々不快であるが、見知らぬ惑星への不安感は盛り上がってくる。 あの当時であるから、音作りは真空管による発振を利用しているはずだが。

 惑星に着陸してから、ロボットの「ロビー」がビークルで走って来るシーン。あのカキワリの間で、スモークを動かすのは、ちょっとお粗末です。まるで人形劇のバックみたい。

 ロビーは知らない人はいない、今でもブリキオモチャでは、大変値の張る人気者だ。 デザインしたロバートキノシタは、プラスチック整形の専門家で、ロビーの頭や、宇宙船の慣性装置の透明カバーの制作は慣れたものでしょう。 TV「ロビンソン」でも、活躍しています。この二つのロボットと宇宙船は良く似ている。 また、ロビーは、この映画の以降、20世紀フォックス、ユニバーサルなどに呼ばれ、大活躍している。 

 このロボット。人には危害を加えない、その命令を受け付けないという、アシモフ的ロジックにより動く。 よく観ると足から電線ひきずってますね。 私はあのしゃべるときの青いネオンの光が大好きです。

 さて、この映画の原作は、シェークスピアの「テンペスト」であるが、外国文学の、それも古典というのは、どうも苦手で、読んだことがない。 ベートーベンが自作の、あるピアノソナタの作曲の動機を問われ、「テンペストを読みたまえ」と言ったエピソードがあり、多少興味もあるので、読んでみるとするか。 ロシア文学のように、人物が舌をかみそうな名前ではないしね。

 出演者のレスリーニールセンは、まじめに演技してますね。いまでは、お歳ですけど、レーザーブラスターを裸の銃に換えてガンバッテいます。 20何年前「カトちゃんケンちゃん」にゲスト出演したけど、「禁断の惑星」のパロディでもやれば面白かったのに。 モービアス博士のウォルターピジョンはやはり舞台役者だけあって、太い芯のある声でしゃべりますね、演技もやっぱり舞台ぽい。 イギリスでは、本当にシェークスピアをやっていたのかもしれない。

 イドの怪物がアニメ(ディズニーから出向したアニメーターによる)によって描写されますが、ちょっと肩透かしだと、非難されるところ。 でもまあ、MGMのライオンの楽屋落ちだと思えばいいですか。

 あるエネルギーによって(詳しく言わないので映画を観てね)分厚いドアが溶けてきますね。 赤くなってくるのは、最初観たとき合成によるものだと思いましたが、本当にボロボロと熱で溶け出すのには驚きました。 また地下ファクトリーのマット画もいいですが、これは当時の標準レベルでしょう。

 この映画は日本公開時、東宝「地球防衛軍」と二本立てだったそうで、このマット合成に、両方とも良く似たシーンがあるのです。偶然の一致でしょうか。

 アルテア星の最後のシーンのずばらしいこと。破片が飛び散るのでなく、超新星のように光輝く。 「2001年」的クールな撮影。

 「禁断の惑星」は人間の心理に、高度に発達した異星人の文明(まるで2001年宇宙の旅のモノリスを地球に送った生命体の一歩手前の存在)をからめた、屈指の映画です。

 映画の邦題を英語の直訳にした配給会社に拍手を送りたい。 「宇宙の~」とか「ロビーの~」なんてタイトルだったらイヤだよ。

この映画で好きなセリフ。 「指揮官に必要なのは、頭脳より大きな声だ」  

 

 

|

« 日本映画のアクションシーンについて ***提言 | トップページ | 相撲のシーズン »

特撮物」カテゴリの記事

コメント

まずこの映画が50年以上前のものであることが驚きですね。早すぎた名作でしたねぇ。
やっぱり、「テンペスト」が下敷きなんですね!
今ひとつ確信が持てなかったのですが、
やっぱりそうでしたか!いい情報ありがとうございました。

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年7月 8日 (日) 18時37分

ぱんだうさぎさん。こんばんは。いつもありがとうございます。 ロボットのロピーの存在は「テンペスト」にはないそうです。

投稿: スタンリー | 2007年7月 8日 (日) 20時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/412224/7061676

この記事へのトラックバック一覧です: Forbidden Planet 禁断の惑星:

« 日本映画のアクションシーンについて ***提言 | トップページ | 相撲のシーズン »