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身の毛もよだつアシュケナージの演奏

 ウラディミール・アシュケナージは身長・体重とも日本人に負けないくらい小柄であるが、彼の奏でるピアノ音楽においては、フォルテシモは、厚き氷河が崩壊するかのような轟く音であり、早いパッセージのピアニッシモはヒバリの飛翔のごとき軽やかさである。 

 彼の録音において、私が思わずゾー!と鳥肌が立った演奏は、ショパンの練習曲、作品25の三度の和音のレガート曲である。 あらゆるピアニストの中で彼ほど、あのように、滑らかに弾ける人がいるだろうか。しかもピアニッシモで。ノンペダルで。 この演奏の下降部分を聴くたびに、私は意識がフット途切れるかのような恍惚感覚をきたす。 この曲でショパンコンクールの並居る審査員を「あっと」言わせたのも理解できる。

 もう一つはリストの「超絶練習曲」の「鬼火」。 これまたピアニッシモでかなり早いテンポで、あの複雑に編みこまれた綾縄のようなパッセージを軽やかに弾いているのだ。 たいていのピアニストはどうしても力が入ってしまい、フォルテで演奏してしまうのではないだろうか。 

 おそるべきアシュケナージである。 

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