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2001年宇宙の旅 TMA-1

 フロイド博士の演説。 やはり会議室のテーブル、イスなどのデザインは大阪万博ですね。 コスチュームは少し英国的に感じる。 ま この映画はほとんどイギリスで造られましたので。 

 月の重力は地球の六分の一で、当然物理的な動きは変わってくるはずですが、会議室の人間の動きは完全に1Gですね。 これにはキューブリックも、如何ともできなかったわけで、下手にノロノロした動きでは逆に変なので、そのまま演技させたのでしょう。 オオメニミテネ ということ。

 カットされたシーンがあり、フロイド博士の娘(ブッシュベイビーがほしいといってた落ち着きのない子はキューブリックの娘)が月面基地内の広場で、みんなとお絵かきをしているところにフロイド博士がやってくるというのがあります。

 冷たい真空の月面を、リゲティ作曲の合唱にのってムーンバスが飛んでいきます。 青白い光とクールな女性の声の合唱曲。 なにかペパーミントのような清涼感。

 ところで月面を移動するのに、あのように宙を飛行する方法は有効であろうか。 真空なので、翼による揚力は使えず、水平飛行中でも、常に垂直方向にロケットを噴射しなければならないが、そうなると燃料は5分もつかどうかである。 バスの重量を仮に6トンとすると、ロケット推力は1.5トンもあればよいが、やはり燃料タンクは大きくなるはずで、あの構造では、とても30分や1時間は飛行できない。

 ムーンバスの撮影も露光時間1コマ数秒の正確なコントロールで行われています。窓内の人物の合成はフィルムを巻き戻し、窓以外のミニチュアを黒くし、映像を窓に投影して、同じ動きによる再撮影で焼付けます。

 フロイド博士一行がモノリスと立ち会うシーンは1965年の映画最初の撮影でおこなわれました。 手持ちカメラが使われていますね。 日本では「貧乏ゆすり」と呼ばれる撮影テクニックです。 撮影はキューブリック自身が行いました。小型カメラだと画質が劣化するため、ひとりではとても持てない、65ミリの大型カメラを使い、助手に支えられながら撮影したのです。 あの人は根本的にカメラマンですな。

参考資料: メイキング・オブ・キューブリック「2001年宇宙の旅」 

          ジェローム・アジェル編 山川コタチ 私訳

         未来映画術「2001年宇宙の旅」 

          ピアース・ビゾニー著 浜野保樹・門馬淳子 訳   

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コメント

確かにキューブリックはカメラに関しての
面白いエピソードが多いですね。
あの月面飛行のリゲッティの音楽も良かった!
キューさんは前衛音楽の使い方がホントうまいですよね。

投稿: ぱんだうさぎ | 2007年7月18日 (水) 20時03分

ぱんだうさぎさん。こんばんは。 ほんとですね。キューさんは撮影監督としても才覚を出したでしょうね。 どのシーンでも、ほとんどカメラをのぞいていたらしいです。 「シャインニング」でもいち早くエアリアル撮影やステディカムを採用してますね。 失礼。 言われなくても、あなた御存知ね。

投稿: スタンリー | 2007年7月18日 (水) 20時47分

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