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2001年宇宙の旅 人類の夜明け

 地球、月、太陽が一直線に並びますね。月からの太陽の日の出。地球は夜の側で、暗くなっています。ちょっとガッカリでしたね。観る前の予想としては、地球はやはり、青いというイメージがあったので。

 でも太陽の逆光を捕らえるとなると、こうなりますか。実際は望遠レンズで捕らえても、月はあんなに近く見えないでしょうが雄大なカットですね。 なにせ今までのSF映画では、宇宙から見た地球や月というのは、たいていカキワリの安っぽい絵でしたから。 

 映画タイトルが大きくドンと出ますが。試写ではこの段階で、招待された観客や初めて観るMGMの幹部は、相当期待したでしょう。なにせ、家族一家で楽しめる、超大型娯楽SFのつもりで観に来ていたのですから。

 猿(原人直前)のシーンのはじまり。 アフリカのすばらしいスチル写真が使われています。キューブリックが写真家であることが良く分かりますね。(但し撮影したのは彼とは限らない)写真は数千枚撮影されたそうです。

 その一部はフロントプロジェクションに使用されていますが、これは大成功ですね。スチルだからうまくいったのです。ムービー映像だったら、カメラ固定の撮影で、ぜったいボロがでます。手前のセットに比べ、投影した映像は微妙にブルブル動いているはずです。キューブリックがそんな映像を許すわけありません。

 本格的にフロントプロジェクション(FP)が使われたのはこの映画が始めてとのことですが、1963年東宝「マタンゴ」にもFPが使われていました。ヨットの嵐のシーンです。でも一部、ヨットの帆などに光が薄く写りこんでしまい、成功とはいえません。 FPは以後たくさんの映画に使用されていますが、中には影が見えてしまった失敗もいくつか観ました

 それにしても、大きなスタジオに見えますが前知識のないマニアでない方は、ロケだと思ったでしょう。 そのパンフォーカスのショットでは、照明(2500個のライト)をガンガンに照らすので、猿の役者もつらかったと思います。 猿の中身は、バレエダンサーや、痩せてるパントマイムの役者です。 特殊メイクは「猿の惑星」と、どっこいですが、アカデミー賞はむこうにとられましたね。

 死んだシマウマと豹のカット。シマウマは死んだ馬にペイントで模様をしたそうですが悪臭がひどかったとのこと、豹の目が光っているのはFPのせいでしょう。

 モノリスが現れますが、今回DVDで観たら、スクリーンではそう思わなかったが、その表面と角の直線の美しいこと。 磨きあげた黒曜石という感じ。私の墓石にしたいね。 しかしそれを触るエイプたち(類人猿を猿というのは間違い)の手の動きはちょっとまずいのではないか。完全に人間の手である。エイプはあんなに器用に指がまっすぐにならない。

 モノリスを触ったエイプの一人(脚本では「月を見るもの」)が骨をもてあそび、そして道具の発見となりますが、 この映画の前知識を散々積み込み、そして初めて見る私は、このシーンで骨を投げ上げ、宇宙ステーションにいくものだとばっかり思っておりました。 おそらく、1979年の2001年初体験組みはそう予想したのではないでしょうか。 しかし、次の、骨を武器に使うシーンが必要なのですね。あわてることはなかったのです

 この映画が日本で初公開となったとき、この「人類の夜明け」部分がカットされていた上映があったそうです。今となっては信じられません。やはり、前知識の無い人にとっては、意味が分からないのでしょうか。 説明不足なのでしょうか。当初、キューブリックは、この部分を含め、かなり、節目の部分で説明のナレーションを準備していました。それを削除してしまったのは、逆にキューブリックの作戦だったのかもしれません。

参考資料: メイキング・オブ・キューブリック「2001年宇宙の旅」 

          ジェローム・アジェル編 山川コタチ 私訳

         未来映画術「2001年宇宙の旅」 

          ピアース・ビゾニー著 浜野保樹・門馬淳子 訳         

 

 

 

 

 

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コメント

こんにちは!私のblogの「ソラリス」でコメントいただいた者です。
私も大好きな「2001年宇宙の旅」をこんなに細かく検証いただいて感動しております。
私も79年のリバイバル公開で初めてこの映画をみました。(子供でしたが)その時の衝撃は未だに忘れられません。
私がこの映画を見るとき、いつも疑問に思っていた「猿の演技指導」については、このエントリーで初めて知りました。<痩せたバレエダンサーやパントマイム師>
この映画にはナレーションは不要ですよね。

投稿: ぴろQ | 2007年6月28日 (木) 04時36分

ピロQさん。 コメントありがとうございます。雑なプログの画面でゴメンナサイ。「ソラリス」は手に入りましたでしょうか。私の町のツタヤにはレンタルがあったと思いますが。
「2001」は、仰るとおり、ナレーションはいりませんね。 でも、昔、SFを「荒唐無稽」で処理していたイマジネーション無き人々には、歌舞伎でやっているような字幕説明がいるかも。(笑)

投稿: スタンリー | 2007年6月28日 (木) 08時35分

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