2001年宇宙の旅 「シーハー」
著者:和田 誠,星 新一
小説家の星新一はこの映画を見た後こう言ったそうである。
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「シーハーの多い映画ですな」・・・シーハーとは呼吸の音のことである。
映画後半、休憩前にハルはアンテナ装置の不調を訴え、二人の船外活動が多くなる。
それにキューブリックはヘルメット内の「シーハー」の呼吸の音と、「シュー」というエアの音を入れた。
しかし、映画製作当初、ここには音楽が入る予定だったのだ。作曲家(アレックス・ノース、「スパルタカス」)も決まっており、録音も終了していた。 どんな音楽か今となっては想像も出来ない。
あのシーハーの音を聴いていると、映画も後半で、そろそろ疲れがきて、正直言って眠くなってくる。
実は、この船外活動が2度もあることや、二人の演技にメリハリがないことで、このシーンが長すぎるとの批評はよく聞くことである。
ところで、あの宇宙服、イギリスの海上救助の器具を造るメーカーに依頼したそうだ。 ヘルメットは別会社であるが、息の曇りがつかない工夫がしてあるはずである。
スペースポッドは今見ても、現物として使えそうなくらい完璧な乗り物である。
小型宇宙艇というより、潜水艇としても実用的なデザインのように見える。 あれは同じくイギリスのホーカーシドレー社が内部まですみずみ担当した。
戦闘機ハリアーの会社である。
映画では無線をディスコネクトするところとハッチの爆破シーケンスの装置ぐらいしか見られないが、どこにカメラを向けても、それらしく見える計器類が、ちゃんと文字を印刷され待機しているはずである。(内部撮影用ポッドは半分コになっている)
あの当時の日本映画では、SFなどに出でくる計器類に、秋葉原で売っているバーニアダイヤル、トグルスイッチ、パイロットランプ、電流計などがそのままセンス無く無造作に取り付けてあり、昔のラジオ少年が作った無線機みたいでがっかりする。
せめてカメラのアップで写るところは、それらしい文字をパネルに印刷すべきだ。
ボーマンがポッドから出てくるところ、および、ポッドから緊急脱出しエアロックに進入するシーンはカメラを下から撮り、上から本人を吊り下げ、ワイヤーが見えないようにしてある。 同じく後のハルブロック進入でも同じ。
「2010」では、同じくハル内部のシーンでボブ・バラバンは、長い棒に乗っかっておりました。
プールがハルの暴走により、エアチューブがはずれ、もがくシーン。 回転して、ポッドにキャッチされるのもスタントマンを吊って下から撮影した。
でも、まあ、これは皆さん言われなくとも気が付いてますね。
回転のカットの実際は、ハイスピードカメラを使っているので、かなり早く廻っており、アームにぶっかった時はスタントマンは失神寸前だったそうである。
よーく見るとぶつかった際、なにか宇宙服から破片が飛び散っているのでかなりの衝撃である。
この映画での事故はハルのセットからスタッフが落ち、腰の骨を折ったのが1件のみであるが、プールが回転ブロックに居たとき、照明が落ちて危うく大怪我というハプニングもあった。
彼はメシを食っているシーンで、天井に縛り付けられているが、俳優も楽じゃない。 この回転ブロックでの撮影は、いつケガ人が出てもおかしくない状態であった。
おまけに残業、休日出勤は当たり前で、一昔前の日本の映画撮影と同等である。 あ 今でも日本の映画撮影は同じですかね。
星新一は「2001」と同年公開の「猿の惑星」のほうを高くかっていたそうである。
参考資料: メイキング・オブ・キューブリック「2001年宇宙の旅」
ジェローム・アジェル編 山川コタチ 私訳
未来映画術「2001年宇宙の旅」
ピアース・ビゾニー著 浜野保樹・門馬淳子 訳
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